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大切なもの 藍

身体が重い。

今は何時なんだろう?


目を開けようとするが瞼が開かない。

俺は、起きるのを諦めそのままゆっくりと力を抜いた。

手で辺りを確認すると横には温かくて柔らかいものがある。


それはとてもとても気持ちが良くて幸せで俺は体勢を変え、それを抱きしめる。

そして優しくキスをして、また昨日の続きを始める。

可愛いらしい声が耳を刺激し、またあの初めての快楽の世界へと俺を誘う。



次に目が覚めたのは、暗闇の中だった。

俺はハッと飛び起き、サイドテーブルの明かりを点け隣を確認する。


藍だ。

藍は、スヤスヤと眠っている。



俺は、そっとベッドを出てキッチンへ向かう。

まるで自分の家ではないくらいに綺麗に磨き上げられたピカピカのキッチンで、俺は水をガブガブと飲んだ。


藍なんてどうでもいいと思っていたけど、あっと言う間に藍が俺の心を満たしていて、パソコン以上に夢中にさせている。


藍は計算なの?

いや、どう考えても天然だ。


誰かを好きになるってこういうこと?

今迄俺は、女に落とされたことなんて一度も無かったし、そもそも藍のことだって最初は興味がなかった。

でも今は、なんだか胸がドキドキして何度でもああいうことしたいって思ってしまうんだ。


俺は、ペットボトルの水を持って藍のもとへ向かう。

藍を起こし、水を飲ませるとのどが渇いていたのか一気に飲み干す。



「藍、俺は藍のことが好きです。

お付き合いしてください。」

俺は藍に人生初の告白をした。


「え?

あ…。神様。

藍も神様のことが大好きです。

お付き合い勿論OKです。

寧ろこちらからもお付き合いお願いします。」


藍は、可愛い声で返事をする。

それは、愛くるしくてますます俺をドキドキさせる。


そして俺からキスをして、また甘い甘い世界へと落ちていった。



どれくらいの時間が経ったのだろう?

「神様ー。

起きてください。


お腹がすきました。」


「え?あ…。

今何時?」

俺はまどろみながら、ぼやけた視界の中で時計をさぐる。


「もう11時ですよ。

午前の。」


「学校……。」


「もう始まってますよ。

それより、ご飯ください。

昨日は何も食べてないんです。

もうお腹がペコペコです。」


藍の儚げな目と、可憐な口元が俺をまた誘う。

だが俺も我慢できない程にお腹が空いていた。


「ま、いっか。

怠いし休もう。」


「ご飯ー。」


「行こう!行こう!

その前にシャワー一緒に浴びる?」


「え?えーーーーー!!??

神様!えっち。」


藍は、頰を赤らめながら嬉しそうな顔でこちらを見てくる。

可愛いよ。藍。

本当に可愛い。


でも俺は、ちょっと意地悪したくなってしまった。


「嫌ならいいや。」


「あっ!あー!

嫌じゃないです。

一緒にシャワー浴びたいです。」


藍は、潤んだ目でこちらを見てくる。

それがまた悶えてしまいそうなくらい可愛いんだ。

俺は藍を抱き寄せ耳元にキスをし、耳元でそっと囁く。

「今日服買ってちょっと高い店行かない?」


「え?

そんなの勿体無いですよ。

神様は働いてるとはいえ公務員でしょ?

ちゃんと節約しないと。」


ちょっと怒ったように心配するように言うが心の中では嬉しいんだとわかる。

俺は念を押す。


「だってお祝いだよね?

初めて結ばれた記念と初めて付き合った記念しなきゃ!」


「え?あー!

えと…、はい。」


「それが終わったら10年分の分厚い手帳を買って、毎年忘れないように初めて結ばれた記念と初めて付き合った記念書き込まなきゃ!

それから俺たちが出会った記念とAI創った記念日。


パソコンにも毎年通知が来るように設定しておくよ。」


「はい。」


俺達は忙ぎで支度をし、一緒に外へ出た。

日が差しキラキラと俺たちを照らし、初めてのデートに胸が高鳴る。


手を繋ぎ俺たちは、歩き出した。

一歩二歩と同じ歩調なのが楽しい。

まるでこの世界のすべてに祝福されてるみたいだ。


俺はパソコンを触り出してから、ここまでパソコンと離れるのは初めてのことだった。

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