ピカピカお部屋
「おかえりなさいませ。神様。」
「藍。ずっと部屋の掃除してたの?」
「はい。」
藍はガッツポーズで、頑張りましたというアピールをする。
部屋を確認すると、どこもかしこもピカピカで窓枠にさえ塵一つ落ちていない。
クローゼットの中は、アイロンが掛けられた俺の服がすべて整理整頓されていた。
「神様。」
藍は褒められると思ったのか、自信満々のドヤ顔で俺にそれを期待する。
「あのさ…。
俺の服はいいって言ったよね?」
「洗濯はしなくていいとは言われましたけど、整理整頓やアイロンはダメだと言われていなかったので。」
藍は、これでも褒めて貰えると思ってる。
「あ、パンツも!!」
「はい。勿論です。
藍は、神様のお嫁さんですから。」
俺は恥ずかしくなり、苛々して藍に当たってしまった。
「もう!俺の服はいいって言っただろ?
それに部屋だってこんなにピカピカにしなくても、週一くらいでいいんだよ!」
「あ…、でも。
時間もありましたし、藍はAIですからお掃除のテクもアイロンのテクもデータとしてあるのです。
藍の知る限りですと、これは最高の出来だと思います。」
藍は両手を頰に当て顔を高揚させ、まだ褒めて貰えると思っている。
「もういいよ!
確かにこれは完璧だ!
俺の実家よりずっと綺麗。
モデルルーム並み。」
「ありがとうございます。」
藍は嬉しそうだ。
俺は藍に根負けし、ついに藍を褒めてしまっていた。
でもなぁ。
ここまでされたんじゃ、明日から藍のすることが無くなってしまう。
また変なことに巻き込まれても困るし、俺はどうしようかと悩んでいた。
「ねぇ。
料理好きなの?」
「料理が好きかどうかはわからないですが、藍の中のレシピは豊富にあります。
神様のお好きなものを作れます。
あ、でも、神様の為に料理するのは大好きですよ。
好きな人の《美味しい》の顔は、嬉しいものですから。」
藍は、笑顔で俺に価値観を語る。
この時不覚にも藍を可愛いと思ってしまった。
「別に専門的なフレンチやイタリアンを期待してるわけじゃないんだ。
明日から家庭で作れる範囲で美味しいものをよろしく。」
「神様。
はい!頑張ります。」
藍は大喜びで俺の申し出を承諾する。
どうやら料理の腕も相当自信がありそうだ。
別に家庭料理なんて期待していないが、俺はなんだか楽しみになってきた。
「フライパンでも鍋でも必要なものを1万円で買っておいで。
家、アパートで収納場所があまりないからそれも考えて買うんだよ。
それから食材費は最初は調味料とかいるだろうから1万円渡すね。
これも収納場所を考えて。
その後は1日3000円で朝昼晩とお弁当も作って。
できる?」
「はい。わかりました。」
一般的な2人暮らしの食費と比べるとちょっと多いのかもしれないが俺は料理好きな藍を喜ばせたくて、この値段でと提案した。
藍のことは好きなわけじゃないし、どうでもいいのだがこの時の俺は藍の話に乗せられて、藍の喜ぶ顔が見たいと思ってしまっていたのだ。
「あとお小遣いは少ないだろうけど、月1万円。
その他で必要なものがある時は俺に言って。
俺のTシャツやジャージやサンダルはいつでも使っていいから。」
「ありがとうございます。」
「それから、下着洗濯したのはわかるんだけど……。
透けてるよ。
まさか、下も履いてない?」
「あっ!あっ!
ごめんなさい!!
私、はしたないとこ見せちゃって。」
藍は照れながら胸を隠し、見えてないかスカート丈を確認し慌てている。
隠そうとしているつもりが逆に俺の本能を刺激してしまったようだ。
「お前がはしたない女なのは、パソコンから出てきた時から知ってる。
気にしなくていい。」
俺は、目を逸らす。
「え?」
「お前ははしたない。
3万円渡すから、明日下着と普段着買ってきて。」
「ごめんなさい。
ごめんなさい。」
顔を真っ赤にしながら謝る藍は可愛い。
焦っているところも可愛い。
俺は柄にもなく照れてしまって、その時生まれて初めて女とヤりたいと思ってしまった。
その夜、藍からキスをされて、気づけば藍に身を任せていた。
藍の細くて白い指先が俺の大事な場所に当たり、可憐で小さな口がそれを吸う。
初めてのことで声が漏れてしまって恥ずかしいと思った瞬間、目の前が白くぼんやりとし快感だけが俺のすべてを包んでいった。
次になにかを考えることが出来た時には、自分が藍を襲っているのがわかった。
だけど身体に力が入らないんだか、入ってるんだかよくわからなくて、もうコントロール不能。
そして、そのまま意識は途絶え快楽と刺激だけが俺を動かしていた。