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ティンポニックバトル  作者: 九夜
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初めての日を僕は覚えてる

「流石に遊びすぎたな…早く帰らないと」

帝と別れた僕は足早に自宅に向かって歩いていた。

時刻は21時30分、このあたりは人通りも少なく街灯はほぼ無い。家に帰るには通常であれば大通りをぐるっと回っていく必要があるが、近くの裏道を使えばかなり早く家に帰ることが出来るはずだ。

地図アプリを開きながらそんな事を考えていた僕は裏道へと進路を変えた。

たどり着いたその道はビルの谷間の細い道だった。街灯の無いその道を僕はスマホのライトを頼りに進んでいく。

おそらく半分を超えたぐらいの時だったろう、暗いビルの間を進む僕の耳にか細い叫び声が聞こえてきたのは…


僕は言葉にできない胸騒ぎを感じて声の方向へ早足で進んでいく。

街灯の光が見えてきたその時、通りから野太い男の声が聞こえてきた。

「ティンポニックバトラーの気配を感じたと思ったんだがなぁ、お嬢ちゃん1人か。まぁいい、偶然にもこの場には俺とお嬢ちゃんしかいない、少しばかり俺と遊んでくれないか?」

僕は裏道から目を凝らして状況を確認した。

スキンヘッドのハンマーを持った男と、うちの制服を着た女子学生が怯えた表情でへなへなと座り込んでいる。

あの黒髪…間違いない、二菜先輩だ!!

そう気付いた時には既に無意識に僕は飛び出していた

「まっ…ままま待てよ!」

よろけながら駆け出した僕は裏返った声で叫び先輩と男の間に割って入った。間近でみるとハンマーを持った男からはすごい威圧感を感じる。正直怖くて逃げ出したくて震えが止まらない。

「なんだボウズ、俺たちのせっかくの楽しい時間を邪魔しないでくれや、それともお前さん…ティンポニックバトラーなのか?」

何を言っているんだこの男は…一体どうすればこの状況から僕は先輩と無傷で逃げられるんだ…

「10秒待ってやる。10秒以内に武器を手に取るなら相手にしてやる、それが出来ないならここを去った方が身のためだぜ。」

男のカウントが聞こえる…思考が白に染まっていく…僕にはどうしようもないのか…

「ゼロだ。ちっ…ただの包茎野郎だったか、期待外れだぜ」

男に襟首を掴まれて僕は盛大に投げ飛ばされた。

男に投げ飛ばされた僕は二菜先輩の前にごろごろと転がった。

「ぐっ…うぅ…」

「あなた今朝の!?」

投げ飛ばされた僕と目があった先輩は今朝ぶつかった僕の顔を覚えていたようでここに僕が何故いるのか驚きを隠せないようだ。

「すいません…助けに来たつもりだだったんですが…

二菜先輩は僕の目を真っ直ぐに捉えて真剣な顔つきでこう言った。

「聞いて、あなたにはティンポニックバトラーの素質があるわ。勃って、勃って戦って」

何を言っているのか意味が分からなかったが僕は痛む体に渾身の力を込めて立ち上がった。

「ごめんなさい説明不足で。確かに戦うには立たないといけないのだけれど私が勃って欲しいのは…こっち」

先輩がそう言いながら指をさした先は僕のちんぽだった。

「こんな状況で勃つわけないじゃないですかあああ!!」

絶叫した。意味が分からなすぎて絶叫した。

「うん、そうだよね……よし、ちょっとだけ後ろを向いてくれるかな」

僕は後ろを向いた、スキンヘッドのマッチョと目があった。親指を立てながら思う存分やってくれ、俺は面白そうだからいくらでも待つぜ!と言っている気がする。

「いいよ…こっち向いても」

ゆっくりと後ろを振り向くと二菜先輩は恥ずかしそうにしながら僕にだけ見えるようにスカートを少しだけたくし上げていた。白い聖域が今朝の光景をフラッシュバックさせる。

「恥ずかしいけど私も頑張るから、がんばれっ!」

それだけで十分だった、股間が燃えるように熱い。思考回路が白くショートしていく。それでも次に自分が何を発するべきか自然と理解していた。

「真性包剣!!来いっ、ティンポニックブレード!!」僕の股間を中心に世界は白く染まっていく。

光が収まると僕の右手には透き通るような白色の剣が握られていた。

思考がクリアになり体も軽い。そして凄まじいほどの開放感だ。今ならあいつと戦えるそんな気がした。

「いい目になったな…俺の名はコヴガンだ!さぁ来い、相手をしてやるぜ!!」

「俺は茎、包城 茎だ!!」


僕は地面を強く蹴り間合いを一気に詰める。

「うおおおおらあああああ!」

コヴガンは豪快な横薙ぎを繰り出してきた。

当たれば骨が砕けるような一撃をギリギリの所でスライディングでかわし、後ろへ回り込む。

そのまま流れるように背後からの一撃を叩き込んだ。浅い、よろけたところにもう一度剣を叩き込む。

ガキンッ!武器と武器がぶつかり合う鈍い音と右手に走る痺れ。とっさにバックステップで間合いをとり剣を握り直す。

「お前さんなかなか骨があるな…残念だがこれで終わりだ!」コヴガンの持つハンマーが光を増していく。

直感的に理解できた、これが最後の攻防になると。

意識を下半身に集中させていく。

今朝の風景、先ほどの恥じらう二菜先輩、思う程に剣はその輝きを増していく。

「ティンポニック…インブラストオオオオ!!」

「グレイトハンマアアア!!」

お互いの全てを乗せた一撃がぶつかり合う。

「お前の…勝ちだ、おめでとう。」

コヴガンは地面に膝をつきながら茎を称賛した。


「包城くん!!」

二菜先輩が笑顔で僕に駆け寄ってくる。

そして僕の左手を握りながらこう告げた。

「私と一緒にティンポニックバトルをしましょう!」

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