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『アルビトリウム』の世界 登場人物紹介 用語解説  作者: 新条満留
補足『アルビトリウム』の世界(ここは既読者のための項目です)
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『調和点』について

『調和点』について


 『調和点』とは対立する二つのものが調和を保てる状態のことである。


 〈生者にとって相応しい、或いは在るべき理想の、そして生者が到達し得る最高の『在り方』〉


 を『調和点』という。

 例えば、「善」と「悪」について考えてみると、そのどちらか一方に偏った状態は好ましくないし、また様々な制限の中で存在している生者にはそのどちらも極めることはできない。悪く言えば、どちらも中途半端だということである。それは『より高度な存在者』の領域である。そうした考え方に基づいている。物語の中でそれを極めて体現しているのが『天界』の者たちである。

 生者は物事を理解するために言葉というものに多く頼らざるを得ない。では言葉というものはどういうものか、ということになる。言葉は生者が互いの意思を伝達するために発達した手段である。自分の意思を言葉に変換しても、それは決して意思=言葉とはならないし、仮にそれらが等しく結ばれたとしても、相手にその言葉の意味するものがそのまま伝わるとも限らない。相手が誤解して受け取るということも屡々(しばしば)あるからである。つまり言葉は曖昧で完全ではなく、真理の理解を極める手段とはならないということになる。 

 『アルビトリウム』の者たちは、そうした誤解を『思念言語』という意思伝達手段を発達させて乗り越えることができるようになった。しかし、それも完全なものではなかった。 つまり個人における物事への理解は、やはり言葉に多く頼ることになるからだ。それは真理の理解に至るための糸口とはなっても不十分であった。真理とはそうした生者の作り出したものを超えて、生者が生来持っている心の方がより近づけるはずだとする考え方に至ったのが『仙人族』である。

 そこで対立する物事の一方を極めることが生者にできないのなら、その『調和点』の獲得なら生者にもできるはずだと彼らは考えた。だから、『調和点』は必ずしもそれらの中心に位置するものという意味ではなく、〈生者にとって相応しい、或いは在るべき理想の、そして生者が到達し得る最高の『在り方』〉を『調和点』と定義した。

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