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救国の騎士は黒髪の乙女について考察する

「主人公鏡見てないの?」というコメントをいただき、気づきました(今更)

オルおじさま視点での考察回です。m(_ _)m

そのうち主人公も鏡見ると思いますw

「こいつは…危機管理っつーか、色々と甘いんじゃねぇか?」


テントで暢気に寝ているエンリ。二人で一つのテントと言われても何も言わねぇし、さっき冒険者共から散々つっこまれたが、何だか色々言われてもしょうがないような気がしてきた。

これで「清い関係です」なんて言っても、誰も信用しないだろう。


それにしても、エンリには謎が多い。

まず、圧倒的に一般常識がない。馬車も乗ったことないっていうからどえらい貧乏な家の出かと思いきや、馬車一人分の乗り賃から一瞬で二人分の計算をしやがった。

生活の事…風呂とかトイレとか、魔道具の使い方も知らないと思いきや、この国の部分的な歴史に明るかったりする。「王都に行くぞ」と言った時にも、魔王との決戦の場も通るかと訊かれたし。


何よりも。

あの森で出会った時、本人はよく覚えてないとかぬかしてたが、俺の本名を言いやがった。

俺の名はそれほど知られてない。オルフェウスの名ならともかく、家名であるガードナーは一部の人間しか知らないはずだ。

「チキュウから来た」とか知らない地名を言いやがるし、嘘ならもっとまともなやつにしろと言ってやった。

とにかく、王都で奴に調べてもらう。

奴ほどの魔法使いならどうにかしてくれるだろう。俺とは違うタイプの魔力持ちだが、全てを見通すっつーくらいだからな。


それと…


あれだよ…


適正職業『オルフェウス・ガードナーの生涯のパートナー』って…って…


……っっっって!!

何?何なんだ!?俺が一体何したっつーんだよ!?




テントでむにゃむにゃ寝返りをうつエンリを見る。

肩ぐらいの黒髪は癖のないまっすぐのサラサラした猫っ毛で、少し黄色がかった肌に、好奇心いっぱいの大きな茶色の瞳、ぷくっとした唇は閉じていればかなり色気を出している。

そう、エンリは可愛い。

認めたら負けみたいな気がするから本人には言わないが、可愛いし色気もある…と、思う。


「う…うううう…」


眉間にしわを寄せ、うなされてるエンリ。

成人しているとはいえ、森に一人とかあんな状況にいたんだ。寝てても不安であるには違いない。

そっと頭を撫でてみる。

にひゃっと無意識であろうエンリが笑った。


「…っっく!!」


血液が逆流したかのような感覚。

嬉しいような泣きたいような、何だか野生の小動物に懐かれたような、訳のわからない達成感。

さらに撫でると笑顔が深くなる。サラサラの髪は手触りが良く、ずっと撫でていたくなる。


「んん…んんぅぅ…」


やけに色っぽい声を出すエンリ。

くるまっていた毛布から手を出し、俺の服にしがみついてきやがった。


「おい、こらやめろエンリ」


二人でテントを使う気はなかった。毛布を持って外で寝ようと思っていたのに…こいつ離れねぇ。

服から手を離そうと格闘していると、エンリの毛布が肩から落ちた。


白い肌が


こぼれ落ちる胸の膨らみが


そして……「っそおおおおおおおおいっ!!」毛布をエンリに高速で巻きつける!!


何だこいつは!!

何でこんな薄着で寝ていやがるんだ!!勘弁してくれ!!


乱暴に自分の毛布を持って外に出る。

俺があれだけ騒いでも、エンリは寝ていた。本当にどうなっているんだ奴の危機管理は。

町の宿屋で着替えた姿を見た時から分かっていた。

ウェストを紐で絞ったワンピース姿を見て、背は低いくせに女として育つところは育っているな…とか。

いやいや!そうじゃなくて!

俺は別に女に不自由なんてしたことない。

だが、ここ十年は兄貴の子育てるべく女断ちしてて、それでだ!

黒髪の女は初めて見た!珍しいだけだ!


テントから少し離れた木の根元に座り、毛布で体を包む。

そうだ。落ち着こう。冷静になろう。

もう四十になるんだ。こう、オトナの対応ってやつを…。


しばらくすると眠気が襲ってきた。

見張りは冒険者達がいるし、大丈夫だろうと目をゆっくり閉じていくと…




キイイイイィィィィン




強い耳鳴りとともに、エンリの寝ているテントが一瞬光った気がした。


「エンリ!!」


声をかけても反応がない。

いや、おかしかった。さっき怒鳴っても全く起きる気配がなかった。これは異常だ。

嫌な汗を流しつつ、テントに戻ると…




エンリは…消えていた。

彼女の温もりが消えていない毛布だけを残して。












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