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ビアン国の名物料理

今、私は奇跡を見ている。

そう。これはきっと奇跡の配合……かの有名な理の魔法使いでさえ再現できなかった奇跡の……


「近所のめっちゃ美味いラーメン!!」


なんだ、マジなのか、近所のおっちゃんは暖簾分けして弟子にここに店を出させたのか!!


「落ち着けエンリ。涙とヨダレがすごいぞ」


「おい、オルフェウス。その女性はお前の伴侶……で良いのか?」


「可愛いだろう?やらんぞ」


オルは私のヨダレをさり気なく魔法で綺麗にしながら、頭を撫でるという器用な行動を起こしている。

エルヴィン王子は、私だけでなくオルフェウスにも残念な子を見るような目で見た。

失敬な。地元のラーメンは正義だ。

どうやら豚に似た家畜ではなく魔獣を使うのがコツだそうだ。骨なだけにね。

……スミマセン。


「で、お前は会ったのか?『灰色のローブの男』に」


「ああ、王宮に居たんだ。力のある魔法使いで父上の客だった。今も居るかは分からん」


「シナトベ」


「うわぁっ」


私の側に緑の巫女服幼女が現れ、突然現れた為びっくりしたエルヴィン王子は仰け反る。

オルは微動だにしない。

シナトベは店に来てからさり気なく会話が聞こえないよう、音を遮断してくれている。


「人の子エンリ、王宮にはもう居ないようだ」


「ありがと」


シナトベが消えると、エルヴィン王子は恐る恐る私に話しかける。


「伴侶殿、今のは神力を使っているように見えたが……なぜ先ほど私の結界で呼ばなかった?」


「基本魔力で呼び出すからね。結界を破ったのは『渡りの神の神子姫』の力を使ったんだよ」


「なっ……あ、貴女は神子姫なのか!?」


なんだ、やけに驚くなぁ。珍しいかもしれないけど……。


「エンリ、この国では神子姫を娶った者は王になるという決まりがある」


「そうなの?でも私はオルのだから無理だね」


「そうだな」


オルは艶っぽい笑みを浮かべて、今夜は甘やかすぞってささやく。……しまった。


「まぁ、私は王になりたくないから良いが、この国を早くでたほうが良いぞ。神力を感じ取る者も中には居るからな」


ここで、頼んでいたラーメンらしき食べ物が三人分きた。

エルヴィン王子は味噌で、オルと私は塩だ。

豚骨っぽいベースのスープは、やはり地元のラーメン屋と同じ味がする。これはすごい。奇跡だ。


「ああ、確かにエンリの国で食べたのと同じ味がするな」


「ここってまさか……」


「先代の王の妃が神子姫で、どうしても食べたいと仰った至極の一品だそうだ」


「やっぱりね」


なんだろう、地元って異世界転移する人やら転生する人が多いけど、なんかあるのかしら。


「エンリ、悪いがここで観光は出来ない。シナトベの捜索で灰色が見つからない場合、エルトーデから西の地域に行く」


「うう、分かった。次回だね」


残念がる私を見たエルヴィン王子は不思議そうに問いかける。


「何故だオルフェウス。あの輩が危険なのは分かるが、なぜ場所が分かる?」


「アズマ国の情報で、すでに五カ国に侵食していたらしい。それぞれ王族がやられている。何とか大事になる前に食い止めてきたが……」


「オルフェウスの他にも兵を出しているのか?」


「王家の信用に足る者を出してはいるが、なかなか足を掴めないでいる。出しすぎても国の守りが薄くなるから、俺とエンリが来たのだが……」


エルヴィン王子はしばらく考え込んでいたけど、ふとその綺麗な顔を私に向けた。


「ならば、王宮に来ないか伴侶殿」


「おい」


オルが殺気を纏うと、エルヴィン王子は慌てて言う。


「お祖母様はご健在だ。そして『予知の神』の神子姫だから、もしかしたら力になれるかもしれん」


そ、それは是非ともお会いしたい!!


……てゆか、この世界の神ってどれだけいるんだ?







お読みいただき、ありがとうございます。

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