お涙ちょうだい的な年齢不詳女
ひょ、評価をいただき…嬉しすぎたので、本日2話目の投稿です!
いい歳した女がイケメンなおじさまに抱っこされて、頭をよしよしされている件。
「あの…もう大丈夫ですので…」
「お、おう、そうか」
なぜかお互いぎこちなく離れるという、顔を赤らめる二人は中学生か!って感じですね。
や、私も男性経験豊富なわけでもないので、イケメン耐性も皆無っていう…
落ち着け。落ち着くんだ私。
……。
……厚い胸板、ごっつぁんです!!
「お前、名前は何だ」
「えんり、です」
こういうので名字とか言うと貴族かーとか言われるのがテンプレ。
とりあえず名前だけ言っとこう。うん。私賢い。
「エンリ…か。エンリ、オルと呼べ」
何と!やはりオルフェウス様だったのかな!?
絶対そうだよね、だってあの本の挿絵とそっくりだし。
「では聞くが、エンリはなぜあの森にいた?」
「気づいたらあの森にいて、迷っていたら熊が出てきて、走って逃げました」
「……」
眉間にしわを寄せて黙るオル様。そんな顔も渋くて素敵です。
「気づいたらって、どういう事だ?」
「そのままの意味です。私だって分かるなら帰りたいです。でも分からないんです」
引っ込んだ涙さんが、再びジワリと浮かぶ。
「まて!泣くな!状況は分かったから!」
私が泣きそうなのに気づいたオル様が慌てて言った。ちょろい。
や、涙は演技じゃなく本物だけど。
「とにかく、今のエンリの身分を証明する物を作ろう。冒険者ギルドに行くが、それでいいか?魔力測定も出来るし」
「…!!冒険者ギルド!!はい!!是非とも!!」
キター!!冒険者ギルド!!
『銀髪の勇者』では、昔オルフェウスが登録していたっていう事しか書いてなくて、どんな所なのか知りたかったのよね!!
急に元気になった私に若干引きながらも、着替えを渡してくれるオル様。
すみません、お金稼いだら返しますから!
稼げ……るのか……私……
服は宿屋のおばさまが用意してくれたようで、薄茶色の長袖Tシャツにピタリとした長ズボン、ゆったりした膝丈ワンピースに茶色のブーツ。ワンピースの腰の編み込んである紐を引っ張ると、キュッとウエスト部分が締まった。
ザ・町娘という感じでなかなか可愛い。
下着は薄い綿の上下で、スースーして心もとない。これは要改善だ。
とりあえずブラジャーだけはつけちゃおう。
私ってチビのくせに胸だけ大きくて、ブラがないと大変なのだ。
サラシとか巻いちゃおうかな…。
オル様は私を見ると「行くぞ」って言って、不機嫌そうにスタスタ歩き出した。
宿屋のおばさまにぺこりとお辞儀をして、慌てて追いかける。
どうしたオル様?待たせすぎたかしら?
小走りで追いかけると、急停車されて「うぉぅっ」ってなった。
「わ、悪い。言ってなかった。その服、似合ってるな」
「ふえぇ!?」
何それ!何の不意打ちご褒美だし!
混乱する私を見て、オル様は困った顔で頭をかく。
「娘…兄貴の娘なんだが、年頃の女の子にはちゃんとほめろと言われてな。エンリも同じ位だろうから、同じようにすればいいかと…」
「へ?…えっと。姪御さん?おいくつですか?」
「もうすぐ十六だな」
「…は?」
異世界補正と、日本人童顔補正があってもおかしい。おかしいよ。
「どうした?」
「私、ちゃんとオトナですよ…」
十代って、そりゃないわー。ここら辺の人たちの顔の作りが西洋風でも、そりゃないわー。
「オトナねぇ…。ま、エンリの冒険者カードを作るときに年齢も出るから、ちゃんとオトナか見てやるよ」
ニヤニヤ笑うオル様。さっきのぎこちない感じが嘘のようですわね。ちくしょう。
見てろよ!
ギルドでカード見せて、ギャフンと言わせてやるんだから!