ストーカーは吟遊詩人?
日常回ではなく、クラウス君回でした。
頑張って二話更新です。
嫁にいき遅れているヘンリエッタさんは、実家(国)のストップがかかったので、週一回来るか来ないかになった。
オルを刺激して国外に出て行かれると、国として困るらしい。
最強の騎士が居るということは戦争の抑止力でもあるそうな。兵器扱いですな。
ギルド長からの依頼でオルさんは明日まで不在のため、早速レベル上げの為、依頼を受けにギルドへと向かう私。
だって、日々続く公開羞恥プレイを回避するには、レベル上げて筋力をつけなきゃならんのですよ。
ちなみに。
今回は過保護オルさんからの命令で、神様を五神召喚しました!頑張った!
タケミカヅチ、フツヌシ、シナトベ、カグツチ、ミヅハノメの五神。ミヅハノメは水の神様で、カグツチの同期らしい。全身水色の清楚なお姉さんって感じだ。
さすがにぞろぞろ連れていけないので、街中では姿を消してもらっている。歩いていると声をかけられるけど、気がつくと声かけた人が居なくなってるから誰かが何かしてくれてるんだろうと思う。便利なセキュリティシステムだよね。
一応、結界石も持ってるんだけど……まいっか。
ギルドの前まで来たところで、向かいの『森の憩い亭』に人だかりが出来ているのに気づいた。
「珍しい。昼の時間で人がこんなにいるなんて…ん?音楽?」
ポロンポロンとハープのような音が聞こえて来る。こ、これはもしや、ファンタジーど定番の……
ふわっと風が吹いて、緑の巫女服幼女シナトベが現れる。
「人の子エンリ、あすこで楽を奏でてる者、同じ郷の者だぞ」
「ええ!?」
クラウス君は転生者だけど、同郷とはっきり言ったってことは……異世界トリップした人がいる!?
ドキドキしながら近くに行くと、人だかりの向こうに栗色の髪が見えた。うーんよく見えない。下から行っちゃえ。
もぞもぞ他所様の下半身をかき分けて進むと、やっと前列に行き着く。小さいとこういうの便利なのよね。(号泣)
おお、すんごい美人さんだ。
白を基調とした冒険者っぽい服装だけど、短めワンピにニーハイブーツがスラッとした細身の体に似合っている。
腰まである栗色のサラサラの髪に薄茶色の瞳、色素の薄い白い肌。歌っている所為か紅潮させた頬が彼女の美しさをさらに引き立たせている。
そして歌ってる曲は音楽の時間とかで聴いたことのある曲。うむ、この世界の雰囲気にとても合っている。
でも……アベマリアとか言ってるのに、シナトベがうっとりと聴き惚れてるぞ。宗派違うけど良いのかしら?
「あ、あのハープもどき!」
歌う彼女を見て、思わず声を出してしまい慌てて口を塞ぐ。
彼女の持ってる楽器は、私がクラウス君に作ったものだ。この世界にある楽器の竪琴って音も悪くて『ドレミ』じゃなかったから、増産しないという約束で作ったやつだ。
あの野郎…女に貢ぐために錬成魔法使わせやがったのか……なんてね。
たぶん、クラウス君の色々って、彼女が関わってるんだろうな。なんたって同郷だもんね。
歌い終わった彼女は優雅にお辞儀をする。集まっていたお客さん達も店を出たり、そのまま食事をするために残ったりと散っていった。
数人のおじさんたちと話していた彼女は、ぼんやり立ってる私に近づいてきた。
「エンリさんですか?」
「あ、はい。クラウス君に聞いたのかな?」
「はい。この楽器を作ってもらったと。ありがとうございます」
微笑む彼女に一瞬見惚れてしまう。やぁ、この子本当に綺麗だわ。
「ええと、ここを偶然通りかかったらシナトベ…この子日本の神様なんだけど、私と同郷だって言うから気になって。歌、すごく良かったよ!」
「ありがとうございます。日本の神様ですか…聞いてはいましたがすごいですね」
「神様のチートってすごいよね…あ、えっと…」
「すみません。私は岡崎麻衣子、こちらでは吟遊詩人のマイコとして活動しています。クラウス第三王子の隠密…ストーカーみたいなものです」
「ストーカー!?」
綺麗な女性らしからぬ発言に、思いっきり声を裏返らせて叫んでしまった。
一体どういう事???
お読みいただき、ありがとうございます!




