外国の方を案内する的な
ブクマが90件…はは…本当かな…
そこは近所の公園。人がいないから平日のお昼っぽい。
ああ、なんだか凄く懐かしい気持ちになってるよ。たった数ヶ月なのに。
仕事はクビになっちゃっただろうな。戻る気は無いから良いけどね。挨拶なく辞めちゃったから迷惑かけただろうな。
親も心配しただろうな……つか捜索願出されてたりして…!?
「ここが…エンリの生まれた世界か?」
「うん、ここは公園だよ」
「エンリちゃんは実家住みだったか。なら俺の家も近いな」
クラウス君は私の錬成魔法で用意したシャツとジーパン(っぽいやつ)に着替えている。
色を変える道具を持っているとのことで、髪と瞳は茶色になっている、そしてやっぱりイケメンなんだね。美の神とかの加護とかついてそうだから気をつけてね。ステータスはそのままらしいから。
何かあったら魔法で連絡を取り合うことにして、しばし別行動。
はい。
皆様お待たせいたしました!!
騎士オルフェウス・ガードナーのファッション@日本!!
親へ挨拶するのだから、ちゃんとしたいとの要望で、スーツ一式ご用意いたしました!!
ダークグレーの上下に白いシャツ、紺のネクタイ。
ジャケットはワンボタン。
で・す・が。
どうしたって鍛え抜かれた筋肉様は主張されてるんですよね。厚い胸板と上腕二頭筋がスーツに盛り上がりを見せております。グッジョブです。
「エンリ、ヨダレ垂れてる」
「ほぇぇ?じゅる…ごめん、オルのスーツ姿が格好良すぎて…」
「それで何でヨダレが出るんだよ……俺を食いたいのか?ん?」
甘く囁きながら腰を抱き寄せる。ちょ、待って。ここ近所だから。
こら耳は…や…だめ…噛んじゃらめぇぇぇ!!
「っと、これからエンリの親御さんに挨拶だからな。もったいないけど止めとくか」
「オルが我慢した!あのエロ大王のオルが!」
「何だそれは……で、エンリの親は家にいるのか?」
「お母さんはいると思うけど……そだ、お昼食べてから行こうか。何食べたい?」
「ニホンの名物とかいいかもな」
んー。寿司とか……あ、オルは酢とか苦手だったな。
ならば、アレしかないか。
食欲をそそる油とスープの香り、立ち込める湯気。
「はい!日本の文化の神髄(?)ラーメンです!」
「おおお!なんか美味そうな匂いだな!」
久しぶりのラーメン。これは店の味とかもあって、錬成魔法で再現出来なかったんだよね。
あ、お金は事前に、こっそり私の部屋の五百円貯金箱を持ってきました。結構入ってた。さすが私。
「エンリのオススメは?」
「やっぱり塩トンコツかな。チャーシューとろとろだし、煮卵も良いよね。ネギたっぷりも良い
麺は固めで味薄めで!!」
「ほう、じゃあ俺もそれで」
「餃子もつけて!」
注文して席に着くと、ものすごい注目されてた。
うむ。やはりオル様の筋肉様は偉大なのじゃろうて。
「おい、エンリ」
「ん?」
オルが小声で呼ぶから顔を近づけると、チュッと軽くキスされた!?
「な、なななななにを!!」
「エンリが可愛すぎて他の奴らが見てやがる。俺のだって主張しねぇと」
「違うよ!オルが注目されてるの!だって外国人俳優みたいにかっこいいんだもん!」
ぷりぷりしながら言っても「そうか?」と首をかしげるオル。無自覚な大人の色気ムンムンなイケメンって、本当にタチが悪いわぁー。
「お、これは美味いな。エンリに箸を習っといて良かった。これは箸で食ったほうが美味い」
「オルって器用だよね、箸をマスターするの早かったし」
「技巧の神がついてるからかな」
そんな神様いるんだ。そういえばクラウス君の加護は、教会に行ったら増えたから怖かったって言ってたな。異世界の神様ってそんなにチョロいの?
食べ終わると、いよいよ挨拶だ。
消臭の魔法をかけてもらって(オルはやっぱり器用だな)実家の前に立つ二人。
するとドアが開いた。お母さん…
「お母さん!!」
「あら、えんりお帰りなさい。そちらの……やだ、すっごいアンタ好みの人じゃない!」
「あ、あれ?お母さん私……」
久しぶりの娘って感じで、特に驚いてる様子もない。あれれ?
「まぁ、確かに会社辞めて長期で旅行しながら勉強ってびっくりしたけど、良い経験になったんじゃない?それにこんな素敵な人連れて来ちゃって!グッジョブえんり!」
へ?どゆこと?
「おねえちゃあああああん!!」
今度は後ろから衝撃が、地味に痛いよ。前につんのめりそうになるのをオルが支えてくれた。
「ゆうり、アンタいきなり何すんの!」
「もう、行ってくるメールだけで音沙汰なかったから心配したんだよ!…って、うわ!超イケメン!」
年の離れた大学生の妹ゆうりは、私に抱きつきながらもしっかりとオルをチェックしている。
オルは黙って見守ってくれてたけど、さすがに挨拶だよね。私の長期旅行とかは後にしとこう。
「お母さん、ゆうり、この人は恋人…結婚したいと思ってる人で、オルフェウス・ガードナーさん」
「初めまして、お母様、妹様、私オルフェウス・ガードナーと申します」
右手を胸に当てて、丁寧に騎士の礼をするオル。うお!めちゃくちゃカッコイイ!
気がつくとお母さんもゆうりも、ぽうっとなってる。
おーい。そろそろ家に入って良いですかー?
お読みいただき、ありがとうございます!
ブクマ100件いったらどうしよう…