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ギルドの依頼をこなす日々とレベル上げ

雨上がりの湿った空気の中、森に来ていた私は数匹の生き物の気配を捉える。

狼に似た魔物「マッドウルフ」は常時討伐依頼が入っている。覚えのある気配のため緊張は少しだけ。

籠手に仕込んだ刃を出すと、私はそのままマッドウルフに向かって走る。気の流れをつかみ、そこに流れる魔物の魔力を受け流すようにする。

自然と腕が伸び、重心を低くさせたまま気の流れのままに、三匹のマッドウルフを切り裂く。やっぱり生き物を殺す事は慣れないけど、これが出来ないとオルの側に居られないんだ。




最近まで私が外出する時は、オルが必ずついて来ていた。

始めは「過保護だなぁ」くらいで深く考えてなかったけど、これは違う。オルにとって私は『弱点』になってしまっていた。

気づくのが遅かったのかもしれない。でも、思いっきりオルの事を好きになってからじゃなきゃ出来なかったかもしれない。

私は強くなるため、三日間でレベルを上げまくった。卑怯でも何でもいい。召喚魔法を駆使して、冒険者ギルドにある魔物の討伐依頼を受けまくった。


そして今の私のステータスは……


===========================



名前:エンリ・モリノ

職業:錬金術士

年齢:23

レベル:42 冒険者ランクB

HP:10,000

MP:10,000


魔法:

空間魔法…収納作成時間制限なしー1,000、結界作成1時間ー60、移動距離制限なしー300

錬成魔法…1回ー50

召喚魔法…1回ー100


加護:

渡りの神…移動時に体力+50%

ガイアの神…即死の攻撃を回避する

八百万の神…経験値2倍、全能力大幅アップ、呼び出す神に応じて能力アップ


称号:

渡りの神子姫…渡りの神と会話できる(1日1回)

神々の愛し子…神の召喚成功率100%


適性職業:結界師、錬金術士、オルフェウス・ガードナーの嫁



===========================



錬成魔法で色々作っていたら、職業が錬金術士になってました!もう無職じゃない!

オルの姪のミラさんに作った服が良かったらしい。あとストッキングっぽい薄手の靴下。これがもう大好評だったみたいで、精霊の加護があるミラさんの喜びはダイレクトに神様に届いたらしく、私の加護に日本の神様が出てきた。八百万って反則じゃない?大丈夫なの?


あと、適性職業の最後が『パートナー』ではなく『嫁』になってた。

神様め…遠慮が無くなってきたなぁおい。どれだけくっつけたいのさ。ステータスが変わった事は、まだオルに秘密にしている。てゆか恥ずかしい。死ぬる。


一人での討伐が許されたのは、オル先輩が五回試験をやって合格したからだ。

試験は私に対してではなく、召喚した神様に対してだった。

オルの剣技は半端なかった。日本の神様はもちろん負けなかったけど、結局一度もオルに勝てなかったのだ。最強の騎士って二つ名みたいなものかと思ってたけど、言葉そのままだったんだね。

私ったら、本物の伝説の騎士に愛されてるって……大丈夫かしら……。


で、そんなオルから合格をもらった神様は、武と雷の神様「タケミカヅチ」と剣と震の神様「フツヌシ」だ。

タケミカヅチは攻撃に特化していて長い黒髪を一つに結わえて狩衣姿の男の子。フツヌシは攻撃力を上げる震の力で剣になってタケミカヅチの武器になる。普段は肩までの黒髪に稚児姿をしている男の子だ。

討伐の時は必ずこの二神を召喚するよう、オルから厳命されている。





この日は討伐依頼のランドボア…牛くらいのでっかい蛇は二神にお任せして即完了。私は群れになってたマッドウルフを大量に切って、牙と毛皮を大量にゲットした。

解体もオルから教わって出来るけど、今回は大量だから錬成魔法で済ます。本当に有用性が高すぎる魔法だわぁ。


ギルドに戻ると、他の冒険者から声をかけられる。


「よ、お嬢ちゃん。そろそろ俺と組まない?」


昨日からしつこいくらいに勧誘してくるヒョロッとした男。短剣使いって言ってたけど、よく知らないし無視してる。王都に来たのは昨日みたいで、私に声をかけるなんて命知らずだなぁと思ってる。

タケミカヅチとフツヌシが音もなく私の前に出てきた。

召喚の制約で「私がオルの元に戻るまで」としているからだ。でも神様達はいつも喜んで一緒にいてくれるから嬉しい。また日本のお菓子を作ってあげよう。


「なんだよお前ら。俺はお嬢ちゃんと話してるんだよ。邪魔するな」


「人の子に寄るな弱者」

「触れたら滅するぞ弱者」


そりゃ、君達に比べたら皆弱者だけどね…あ、オルは違うか。

私達を見ていた人達が、ヒソヒソ囁いている。


「アイツ…死ぬよな」

「最強の騎士のパートナーだぜ?実力を見誤るにも程がある」

「誰か止めてやれよ」

「…『死の踊り子』エンリに声かけるなんてな」


は?ちょ、何それ?


「知らぬのか人の子よ。踊るように魔物を狩る様が美しいと」

「知らぬのか人の子よ。可愛い顔で一撃必殺で仕留めると」

「「死の踊り子という二つ名が付いたことを」」


「やめてぇー!!」


泣き出す私、オロオロする二神、ヒョロ男は慰めようと私に手を伸ばし……その腕がありえない方向に曲がった。


「ぎゃあああああ!!痛えええぇぇぇ!!」


「何エンリに触ろうとしてやがる」



絶対零度の冷気を纏った、この国最強の騎士オルフェウス。

私情を挟んだ彼はドラゴンよりも恐ろしいと、王都では常識になりつつあった。









お読みいただき、ありがとうございます!

戦闘シーンが難しい…

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