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チャンスの女神様は大胸筋に負ける

まだまだ甘さ控えめです。

チチチ……チュンチュン……



小鳥達の鳴き声。

朝の眩しい光。

輝く大胸筋。


「……っ!!!!」


声を上げずにいた私を誰か褒めて欲しい。褒めれば伸びる子なのよ。(何かが)

そのお陰で見れたレアなオル様の寝顔。

整った顔に、意外と長い睫毛。クンクンすると良い匂いがする。柑橘系の香り?

そこで、はたと気づく。私ったら昨日お風呂に入ってない!?ヤバいヤバいと起きようとすると、オル様はがっしり私の腰に手を回していて、ピッタリくっついて離れない!

無意識なのか、グイッと力を入れられて、自動的にすっぽりとオル様に包まれてしまった。

な、なぜに上半身裸?

目の前の大胸筋はご褒美ですか?

ムムムと唸っていると、頭の上からクククッと笑い声が。


「オル様、起きてるなら離してくださいよう」


「まだ寝てんだよ」


楽しそうに言うオル様は、抱きしめる腕に力を入れる。く、くるし…ぎぶぎぶ…。

またしてもクククと笑いながらオル様は耳元で囁く。


「エンリ、昨日返事は?」


「ふぇ!?」


例の腰にくるバリトンボイスで囁かれ、一気に顔が熱くなる。

ちょ、ちょっと待ってつかぁーさい!昨日?昨日?

えっと、冒険者としてオル様と組むって話しされて嬉しくて……。


––––俺の女になれ


フラッシュバックする昨日の記憶。

言われて嬉しくて、抱きしめられて、嬉しすぎて……意識失った!?


「ああああ!!」


馬鹿!私の馬鹿!知ってたけど本当に馬鹿!

色々チャンスだったんじゃないの!?

今の私、衣服の乱れはない。って事は、何もなかったってことで!

……まぁ、添い寝してもらえたけどな。しかも抱っこ状態で。あうあう。


「……オル様」


「オルって呼べ」


「…………オル」


「なんだ?」


「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします……どっちも」


オル様と組むのも、オル様の女になるのも、どっちも。

真っ赤になった顔を隠したくて、オル様の大胸筋にスリスリして誤魔化していると、顎をつかまれて顔を上げさせられた。

太陽のような満面の笑みで私を見るオル様。「どっちも」の意味が通じたみたいだ。

子供みたいな笑顔もイケメンすぎる。ふぉぉ。


「よろしくな。エンリ」


そのまま噛みつくようにキスされて、許容量を超えた私はのぼせて目を回し……

再び意識を失うのであった……ぐはぁ。







「大丈夫かエンリ」


「……オルのばか」


「嬉しくてよ、つい……ごめんって」


「……ばか」


「くそ可愛いな」


「…………」


オル様…オルがパーティの登録をするとのことで、私達は王都の冒険者ギルドに向かっております。

道中のやりとりだけで、オルは私を可愛がりまくるし、私もオルの格好良さにメロメロだしで始末におえない。主に周りが。

ずっと注目されている。生温かい目だったり、好奇心の目や嫉妬の目だったり。

だって野生的とはいえ、かなりのイケメンなオルが、私みたいな普通の女に甘いフェロモンだだ漏れスマイルを常時発動している状態なんですよ?

私の肩を抱いて自分の体に密着させて「俺の女を見るなオーラ」みたいなのを出してるんですよ?

そんなんしなくても、見られるのはオルだけなのにねぇ…オルはきっとモテるだろうからちょっと心配だけど、みっともなくヤキモチ焼かないように気をつけなきゃね。うむうむ。


そんな事をつらつら考えているうちに、王都の冒険者ギルドに到着した。

さすがに王都ではオルの顔が知られているらしい。中に入ると同時にざわめきが止まった。


「あー…これじゃやり難いな。おい、個室に通してもらえるか?」


「は、はい!すぐご案内いたします!」


ギルドの受付の人がガッチガチになりながらも案内してくれる。

そりゃ、唯一のSSランク冒険者だもんねぇ。


オルは王都では『救国の騎士』として動くそうだ。

顔バレしてるというのもあるけど、これも任務の一つらしい。

個室に通され、用件を聞いた係りの人がすぐに必要書類を持ってきた。早い。仕事早い。


「エンリ、これに目を通して、大丈夫なら手をかざしてくれ。


ほほう、どれどれ。


==============

パーティ申請書

オルフェウス・ガードナー(☆リーダー)

エンリ・ガードナー

==============


オルがリーダーで、私はメンバーだね!

……って。



「ちょっと待ってクダサーイ!!」




驚きすぎて片言になるわ!!








お読みいただき、ありがとうございます!

こういう話は恥ずかしさ満載です。ぐぬぬ。

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