表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生を綴る本  作者: CHOKO
第一章 少年と老騎士
3/7

春の訪れと来館者

お待たせ致しました。ようやく本編となります。


拙い文章ではございますが、どうぞお楽しみください。

 寒さの厳しい冬が終わり、様々な種類の草花の香りが香り始めた、春の日のことです。


 古都ストーリア。そのほぼ中心に位置する図書館。『綴魔法図書館つづりまほうとしょかん』では、今代の『綴』である二人の姉妹が、会館の準備をしていました。


 図書館といっても、この図書館は本を読んだりするだけというわけではありません。

 一階のロビーで、『綴』は代々音楽を奏でたり、喫茶店を経営したりしてきました。


 今代の『綴』もこのロビーを使い、レストランを開いて様々な料理を人々に振る舞っていました。


「うん。これでよし!」


 料理の仕込みをしていたのは、姉の紬でした。

 人生を綴る『綴』。すなわち、人生を、本にするのが彼女の役目なわけですが、毎日のように本を作っているわけではありません。

 普段はこうやって朝から、レストランで出す料理の仕込みをしています。

 

「おーい、栞。こっちは準備できたよ」


  そう、紬が奥に声をかけると返事が返って来ました。


「わかった。こっちもそろそろ終わるわ」


 奥の本棚の辺りで作業をしていたのは妹の栞です。

 本の声が聴くことの出来る『綴』である栞は、毎朝こうやってこの図書館にある蔵書のチェックを行っています。

 この図書館にあるのは、何も人生が綴られた本だけでなく、その他にも製薬や建築、武具の製造に関する本まで、たくさんの本があるわけですから、一人でそれらを管理することは骨が折れるというものです。

 ですが、そこは流石というべきか。本の声を聴くことの出来る彼女は、感覚的にどの辺りにどの本が置いてあるのかがわかるのです。ですので、配置のおかしい本があれば、その本がどこにあるのかがわかるため、こうやって一人で蔵書の管理ができるというわけです。

 

 元々2人は、極東と呼ばれる地域で暮らしていました。そして、もっとたくさんの文化に触れるために、故郷を出てこの地に移り住みました。

 今では、この都市の人間として、立派に『綴』としての役割をこなしています。


「お待たせ、姉さん」


 作業を終えた栞がホールに出てくると、既に準備を終えた紬の姿がありました。


「お疲れ、栞。じゃあそろそろ開けようか」


 そう言うと、紬は入り口の鍵を開けました。

 栞も、紬が開けたドアから看板を出すために、外に出ようとして…、


「おはようございます! ってうわぁ!?」


「きゃぁ!?」


 まるで会館をドアの前で待っていたようなタイミングで。と、言うより実際に待っていたのでしょう。飛び込んで来た一人の少年とぶつかってしまいました。


「いたたたた……」


「ちょっと栞、大丈夫?」


「わぁ!! ご、ごめんなさい!!」


 急いで駆け寄る紬と、栞とぶつかった少年。

 

「えぇ、大丈夫よ。気にしないで」


 そう言って栞は立ち上がりました。怪我はないようです。


「それで君は?」


 紬が問いかけます。


「えっと、この図書館から、僕を選んでくれた本が見つかったと手紙をいただいて。それで、いても立ってもいられなくて、朝から入口で待ってました!」


 どうやらこの少年、本当に入口でまっていたようです。


 グゥ~


「あっ!!」


「あらあら……」


「へぇ~……」


 どうやら少年のお腹の音のようです。


「ねぇ、君。朝ごはんは食べてきたの?」


「それが、食べずに出てきたので……」


 紬の問に少年は申し訳なさそうに答えました。

 今は朝の10時。一体この少年、何時から外で待っていたのでしょうか。


「しょうがないなぁ。ちょっとこっちのテーブルに座ってて」


「へ?」


「へ? じゃあないよ。朝ごはん、簡単なものになるけど作って上げるから。栞、話し相手でもしといてくれる?」


「わかったわ」


「いいんですか!?」


「あり合わせだけどね。待ってて、すぐ作ってくるから」


 そう言うと、紬は厨房の方に行きました。


(一体、この少年はどんな冒険をするのだろう)


 そんなことを考えながら、紬は少年の朝食の準備をするのでした。

今回は第一章のプロローグのようなものです。


少年は一体誰なのか、『綴』が作る本とは一体どういうものなのかは、次回わかることとなると思います。


誤字・脱字、アドバイスなど感想に書いてもらえたら作者の励みになります。


これからも、よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ