表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/55

別れ話

 弟が微妙な顏で帰って来た。うんざりしているような、困ったような、白けたような──まあ、本当に微妙な顏である。


「どうしたの? 変な顏しちゃって。カエルでも自転車で轢いちゃった?」

「いや、そんなんじゃねえよ。ただ、帰り道に修羅場見ちゃってさ。モチロン他人のだけどよ」

「へえ。どんなの?」

「よくある男と女の別れ話ってやつだよ。しかしまあ、交差点でやんなって」


 確かにそれははた迷惑である。


「で、さ、別れ話を切り出したのは男の方らしいんだ。女が涙ポロポロこぼしながら『信じてたのにぃ』って」

「言ったの?」

「言ったつもりだったんだろうけどさ……」


 弟の歯切れは悪かった。


「噛んじゃって、『信じてタモリぃ』ってなった」

「え?」

「男は、『俺、タモリじゃねえよ』って去ってった」

「あんた、笑っちゃってヒンシュクかったりしなかったでしょうね」

「いや、俺にだって『笑ってる場合ですよ』って雰囲気じゃないことぐらいわかる」


 あんた、なんでそんな古い番組知ってるのよ? でも、その番組、タモリ出てないから。出てたの後番組だから。そういや、その後番組もしばらく前に終わっちゃったわね……。


「それはそうと、その女、昔、姉ちゃんをいじめてた『トモ』みたいだったぜ」 

「え、そうなの?」


 よっしゃあ、「笑っていいトモ」!──あ、今のなし。ただのジョーク。あたし、トモにはもう、わだかまりなんてないから。他人の不幸を喜ぶ趣味なんてないですから、本当に。


「まあ、何にしろ、嫌な場面に出くわしちまったよ。『恋人同士の別れ話による修羅場』──略して……」


 また始まった。ホントに何でも略したがる弟だ。略したからどうなるっていうの。


「『恋人』プラス『さらば』プラス『修羅場』で……」


 おお、「さらば」と「修羅場」は語呂が合ってる。でも、そこにどう「恋人」を絡める?


「『修Lovers』ってとこかな」


 うまいこと言うと思ってしまった。ちょっと悔しい。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ