第三話
亮介は取り敢えず足元の手紙を拾い、開封して読み出す。
「拝啓 黒田亮介様
突然、見た事もない場所に降り立ち、さぞ驚かれているでしょう。
何故、この様な事になったかと言うと君から見れば此の異世界ゼラリアで魔王も居ないのに勇者召喚を行った国がある。
君の学校のクラス全員が召喚対象になったのだが、君は教室に居なかった為イレギュラー的な召喚になり、その森に出現地点がずれた。
此の召喚自体は失敗するように抗ったのだが成功させてしまった。
お詫びとして、君に贈り物を入れてある、ポーチの中に入れてある。
ポーチ自体も収納に優れた道具だ。
君の此の世界の旅の役にたつだろう。
此の世界に来てしまった君がどう生きようと自由だ。
帰る為の方法を探すも良し、他のクラスメートを探すも良しだ。
君の旅に幸あらん事を。
此の世界の神より」
僕は取り敢えずコメカミを抑え途方に暮れる
「何処の小説の世界だよ。」
僕は素直な感想の独り言を洩らし、取り敢えず足元にあるウェストポーチを手に取り中身を確認する。
「こんな小さい物に何が入っているんだ?」
ポーチの中に手を入れると頭の中に入っている物の名称が浮かんできた。
・デュランダル
・イクシオンコート
・熾天使の杖
・雷神刀
・魔法の水筒
・金貨×10
・手紙
頭の中に浮かんできた内容だが、また手紙が入っていたので手紙を意識したら手の中に入って来た。
手紙を開封して読んでみると、神と名乗った者からだった。
「追伸
君が遊んでいたゲームの中の物を具現化していれておいた。
また水筒は常に清潔な水が満たす魔法の水筒だ。街に着いた時に困らないようにお金も入れておく。役に立ててくれ。
では此の世界を楽しんでくれ。」
取り敢えず手紙をポーチに仕舞うと水筒を意識して水筒を取り出し、水をかぶのみする。
蓋を閉めてポーチに仕舞うと学生服を脱ぎコートと入れ替え学生服の代わりにコートを羽織る
今度はデュランダルを取り出し手に取る。
黄金で象嵌され中央には紅い宝玉が嵌め込まれた鍔が鞘に収まり、また鞘も純白の鞘に緻密な細工が施され、其れだけでも見惚れるが鞘から刀身を抜くと刀身も鉄以外の何かで出来ており余りの綺麗さに見惚れていた。
鞘に刀身を、仕舞うとポーチに仕舞い、今度は雷神刀を取り出す、通常の日本刀と違い刀身には不思議な模様が刻まれ峰の部分も尖った部分もあるので普通の鞘で入らない為か、刀身の腹と刃部分だけ覆うだけの鞘になっていた。
束の部分に緑色の宝玉が嵌め込まれ、鞘から刀身を抜くと刀身からばちばちと小さく雷が発生していた。
取り敢えず雷神刀は仕舞い、デュランダルを取り出し腰に付ける。
此のまま此処に居ても仕方ないので森を抜けるべく動き出す。
何方に行けば森から出れるかわからないので、気にせず正面の細い獣道を歩き出す。
「日が暮れる迄に森から出ないと。」
僕は不安を押し殺しながら歩く。
少し歩くと前方の茂みからガサガサと音がする。
亮介は音をした方に意識を集中させ何が出てくるか意識を向ける。
息を飲んで身構えて居ると、猪が一頭出てきた。
ただ地球の猪と違い大きさが二倍以上大きく、また牙も太く長く。見るからに怖い。
猪も此方に気がついたのか此方の方を向き何やら頭を下げ足元を掘り返すような動作を始める。
「えーっと、話せばわかるかなと思うんだけどどうかなあ・・・。」
と逃げ腰気味に呟くが、巨大猪がわかるわけもなく。
此方に向かって突進して来るが、亮介には遅く見えるが、逃げ腰気味の為かなんとか間一髪で躱す。
亮介も逃げれないと思ったのか覚悟を決めて剣の柄に手を置き構え、迎え撃つ。
興奮しているのか、巨大猪は此方を向き激しく息を吐き頭を下げ突進してくる構えだ。
亮介が鯉口を切ると同時に猪が突進を開始してくる1度目の突進の時の感覚を信じて亮介が迎え撃つ。
突進をギリギリで躱しすれ違い際に剣を抜刀、猪の首付近を斬りつける。
剣の斬れ味が凄まじいのか、殆ど手応えもなく切上げた。
猪はすれ違い少し離れた位置まで行くと止まり、首付近から激しいいきおいで血が吹き出しあたりを血に染め、「ズドン」と激しい音を響かせて倒れる。
亮介は息を吐きながら猪に近づく。
「これどうしようかな。ポーチに仕舞えるかな?」
ポーチを意識しながら猪に触れる。
次の瞬間猪の姿が消える。
驚いた亮介がポーチにてを入れると頭の中に
猪の肉(大)となっていた。
驚いたが入っているなら良いと思い剣を鞘に仕舞うと森を抜ける為に歩き出した。