第25話
シーリスと一緒に修練場に着いた。
広さは体育館を一回り広げたくらい。
が一番わかりやすい表現だと思う。
単体や数人で体を動かすには十分な広さだが、此の世界にあるかは知らないが野球やサッカーをするには狭すぎる。
其れぐらいの広さで修練場の端の壁の上は観戦出来るようにぐるっと5列ほどの席が作られていた。
そうして修練場で待つ間にシーリスと雑談しながら身につけている武具の確認を行う。
腰にはデュランダルと背中の腰には昨日購入したミスリルナイフがナイフホルダーに収まった鞘の中に入っている。
シーリスも自分のレイピアの柄頭に手をかけて何かあった時に備えている。
街中で何かあっても困るけど。
そうして少し待つと入り口の方から四人ほど人が入って来た。
一人は人間の男の子で僕と同い年ぐらいかそれ以下。
僕と同じ様に腰に剣を付け、革製の鎧に小手と靴を付けていた。あまり使われていないのか新品の様に汚れが少なく傷も無いように見える。
一人は同じ人間の女の子でピンクでフリフリの付いた可愛い服を着ており、今から街中にお出かけと言われても信じたくなるような服装で街の外に出るような服装には見えない。
手には漆塗りされたような綺麗に艶のある杖のような物の先に占師が使いそうな丸みのある紅い宝玉ご収まっていた。
一人はでぷっとした体型の他の二人同様に10代付近の男の子のどったどったと歩き、歩く度にお腹の肉が波打つ。
武器は斧らしく背中に背負っている。
最後に狼の獣人らしく精悍な顔つきに引き締まった腕や脚を見ると僕もああなりたいとつい見てしまう。
体にはシャツの上から革製の鎧を身につけ、見るからに歴戦の戦士のような風貌だった。
最初の三人が僕らの横に来ると、狼の人は1人僕らの前に出る。
僕らを確認すると
「クロダリョウスケにシーリスだな?」
と確認してくる。
「はい」と頷くとシーリスも横で頷く。
「俺はCランクの冒険者のラルフだ。宜しく頼む。今回は君達五人の指導をする事になった。
俺が知っている事で2日で教えれる事は教えるつもりなので、宜しく頼む。」
僕も素直に
「お願いします」
と頭を下げる。
シーリスも同じ様に頭をすんなりと下げている中
「け、父上が学んでこいと言うから此処まで来たのに、何故犬に教えて貰わなきゃいけないんだか」
ピキと何処からかおとがする。
と最初に入ってきた男の子が悪態つき、女の子も
「そうよねえ、犬臭い上に木の匂いがキツイわ。折角隣の国から来たのになんで獣人達に教わらなければいけませんの。」
そう言うと同時にすぐ横と正面からピシっ同じ様に音がなる。
「そうだよね。なんで僕らファルスの貴族たる僕らがこんな細い何処の馬の骨ともわからないヒョロいのと学ばねばならいんだよ。
お、身につけているのは良いものみたいだな、勿体無いから貰ってやろう。寄越せ」
と最後にデブっとした男の子が僕の装備に触れようとするので、右足を半歩踏み出しふみこみ、右手を真横に小手の手甲部分が、何かに、ぶつかる様に振り抜く。
何かに手甲がぶつかると
「ブギャ」と言う声と共に数メートル飛んで行った。
特に確認する事もなくシーリスの顔を見るとすごく冷めた目で吹っ飛んで行った方を見ており、何故か右手で僕の頭をナデナデしていた。
次回副題を付けるなら馬鹿貴族討伐。




