第14話
シーリスと僕は音が鳴る方に向かって走る。
シーリスも周りの惨状を見て、流石に悲しいのか、この現状を引き起こしたものに怒りを感じているのか、表情からは読み取れないぐらい能面とした顔になっていた。
少し走ると広場みたいな場所が見えてくる。
僕らから見て手前側には鎧等がお世辞にも綺麗とは言え無い人たちが、僕らから背を向けて何十人も立っている。
其の奥には大きな建物が建っており、人が居るらしいが、手前の人達が邪魔で建物の上部以外よく見えない。
気づかれないように手前で速度を落とし、シーリスの手を取り、彼女を止める。
最初は僕の手を振り払おうとしたけど、彼女の目を反らす事なく見返し、恐怖心から逃げようとしていないのをわかってもらう。
僕とシーリスはそっと気づかれないように、何かが起こっている人の集団に近寄って行った。
「さて、どうするよ?其処に隠してる奴らを俺らに渡したら、おめぇは見逃してやるよ。」
男はボサボサの髪に髭もまともに剃って無いのか無精髭をはやし、また着ている鎧も革製の鎧だが手入れもされて無いのか、糸のほつれや破けかけている箇所が見られる。
他の男たちもほぼ似たり寄ったりの服装装備をしている。
「この中には女子供がいるだけだ!其れをどうするつもりだ!」
筋骨隆々の男が両刃の剣を構え男たちの前に立ちはだかる。
男は年の頃は30〜40の間ぐらい。男としては羨ましいぐらいムキムキな筋肉がついており、何処かの有名人と言われても信じそうになる。
外見はほぼ人だが唯一違うのは額から立派な角が生えていた。
「そんなもの決まっているだろ?奴隷として売り払うに。貴様ら下等な獣人族、人に奴隷として従属してれば良いんだよ。
まあ女は奴隷に売り払う前に楽しませてもらうがな。」
ヘラヘラと笑いながら男は正面の男に剣を向ける。
「させん、子供らを俺の家族を命にかけて守る!貴様らみたいな下衆には渡さん‼︎」
男も多勢に無勢なのも構わず剣を男たちに向ける。
「じゃあ死にな。その後おまえの家族で楽しませてもらうわ」
そう言うと男たちは武器を構えて前に出ようとする。
守る側の男も覚悟を決めて戦おうと出ようとした瞬間。
「じゃあ貴方達が先に地獄を見てください。」
と男が守る建物の横から若い男の声がしたと思ったら、突如現れた巨大な水球が男たちの頭上から落下した。
次回強い者虐め、始まります。




