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超危険生物『のじゃー』  作者: アトリーム人
第2章 帝国編
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27話 平和な島

 緑の草原が広がるワカハゲワールド。

 ある程度の情報を入手した『のじゃー』は、用が無くなったワカハゲに、とあるウイルスを注入しようとしていた。

 そしてそれは、これから起こりうる事を予知してしまったワカハゲは、激しく動揺してしまう。

 身動きが取れない状態の中、ワカハゲは必死に叫びながら抵抗した。


「……やめろ! こ、殺すなら早く殺せ! 嫌だぞ! 僕はのじゃー化なんて御免だ!」

「ほほう……死亡率がきわめて高いのじゃーウイルスに、生還出来ると断言できるとは、かなりの素質を感じるのじゃ! さては【未来予知】で、この先の展開を視たのじゃな?」


 既にワカハゲは、のじゃー化すると確信していた事に歓喜の表情でニンマリと笑う。

 『のじゃー』からすれば、新たな仲間が増える事を意味していたからである。

 もはや、かつての敵だろうと問題ない。

 このウイルスを注入された者は、誰もが『のじゃー』の仲間となるのだ。


「ぼ、僕が悪かったから、それだけはやめてくれ……やめろーー!」

「慈悲はないのじゃー!」

「ぎゃあああああああああ!」



 のじゃーウイルスを注入され、悲鳴を浴びながら気絶してしまったワカハゲ。

 彼の体内では、ワカハゲの存亡を賭けた戦いが始まった。

 どちらかのウイルスが滅びる限りは、争い、そして運か悪ければ死亡してしまう。

 そんな瀬戸際の危機に瀕したワカハゲウイルスの抵抗が始まった。



 ワカハゲ体の中では、恐ろしい大軍が攻め寄せて来ていたのである。

 その大量の異物の侵入者に対応を迫られたワカハゲウイルスは、戦闘員にただちに出撃命令を送った。

 だが結果は著しくなく、苦戦を強いられていたのだった。


「た、大変だハゲ! 謎のウイルスが大量に侵入してきたハゲ! 既に最強の四天王ハゲジャが打ち取られてしまったハゲ!」

「慌てる事はないハゲ……奴は四天王で最弱」

「四天王の面汚しである!」

「ククク……最強のワカハゲウイルスである我らに戦いを挑もうとは、愚かなり!」


 だが、油断していたワカハゲウイルスに無慈悲なる死神が突如と現れた瞬間。

 四天王のワカハゲウイルス達は、悲鳴を浴びる。


「のじゃー!」

「「「ぬわーー!」」」

 

 一瞬のうちに倒されてしまうワカハゲウイルス。

 その後は、圧倒的な蹂躙が始まった。

 ワカハゲウイルスは、なすすべなく、のじゃーウイルスに侵されてしまたったのである。


「敵の本丸はもうすぐなのじゃ! 急ぐのじゃー!」

「「のじゃー!」」


「ハ、ハゲーー!」

「もうダメだ……おしまいだハゲェ……」


 抵抗も空しく防衛システムであるワカハゲウイルスは、のじゃーウイルスに乗っ取られたてしまった。

 圧倒的な戦力を持っていた筈のワカハゲウイルス。

 彼らはついに、陥落してしまったのである。


 ……………………


 ………………………………


 …………………………………………



「……と云う訳で、ワカハゲを改め、のじゃ-4は、ワシの僕となったのじゃ!」

「お、おう。まさか敵の親玉を仲間にするとは、のじゃーウイルスって凄いな……」

「ぼ、僕は好きで仲間になった訳じゃないのじゃ!」


 未だに不機嫌になっている元ワカハゲ。

 今は光輝く薄毛だった少年の面影が消え失せて、フサフサとなった赤毛のツインテールへと変貌した美少女へと変わっていた。

 のじゃーの命令に逆らう事が出来ずにしぶしぶと、この島へと上陸した。


「なにがご不満なのじゃ? あんなハゲた姿よりも、こっちのほうが綺麗なのじゃー!」

「僕は、こんな未来になるなんて予想してなかったのじゃ……」

「もう諦めろ。もうお前も立派な『のじゃー』だ!」


 そう言って元ワカハゲの肩にポンっと叩いきながら言い放った『のじゃー3』。

 ワカハゲは心では抵抗するものの、『のじゃー』には、逆らえ難くなってしまったのだ。

 もはや相棒であったハゲは失われてしまい。

 髪の毛を切っても、瞬時に再生してしまう回復力。

 かつての髪型を取り戻すのは、もはや不可能となったのだ。

 性別まで変えられてしまい、元ワカハゲは、大きな喪失感に襲われていたのである。


「しかし何かを忘れておるのぅ……」

「僕に聞かれても困るのじゃ」


 何かが足りないと気付いた『のじゃー』は、考え込む。

 そして、その失った何かは、のじゃー3の一言で直ぐに判明した。


「そう言えば、まだのじゃー2が帰って来ないな。何をしているんだ」

「……あっ!? それじゃ! のじゃー2の元へ帰る約束を忘れていたのじゃー!」

「とうとうボケが進行したようだね。ざまあ見ろなのじゃ!」


 もの忘れが進行した事に、ニヤリとクスクスと笑うのじゃー4。

 だがしかし、その笑いは、『のじゃー』によって、直ぐに消し飛んでしまった。


「ほほう、まだ教育が足りていないようじゃのう……」


 不気味なほどに、ほほ笑みだした『のじゃー』は、今から狩りをするかのように、のじゃー4を見つめていた。

 失言を言ってしまったのを察してしまったのじゃー4は、思わず青ざめてしまう。


「じょ、冗談なのじゃ! 僕は決して『のじゃー』様に逆らったりしないのじゃ!」

「今頃後悔しても遅いのじゃ! 立派な乙女として教育をしてやるのじゃー!」

「や、やめろ! あれだけは勘弁してほしいのじゃ! うわああああー」


 無理やり『のじゃー』に担がされたのじゃーワカハゲは、そのまま『のじゃー』の自室へと連れ込まれる。

 彼女にとっては、悪夢のような教育が再び始まるのである。


 そんな様子を眺めていた『のじゃー3』は、ため息を吐きながら、喋りだした。


「はあ……。また随分と賑やかになってしまったな」


 のじゃー島に新たな仲間が強制的に加わった。

 かつての敵だった存在も、『のじゃー』に屈したのである。


 こうして、今回の騒動は収束し、のじゃー島は、再び平穏な日々を送るのであった。




 一方その頃



「さあ、のじゃーよ! 今日も妾と一緒に寝るのじゃ!」

「のじゃ? のじゃー」


 『のじゃー』が呼び出すのを忘れてしまったお蔭で、未だにバロンズ帝国でアルテリス女帝の護衛任務を遂行しているのじゃー2。

 既に宮殿の女神として祀られてしまった存在となり、『のじゃー』が気付いた時には、バロンズ帝国もまた、のじゃー教徒が一斉に広まってしまった後であった。




 後に、『のじゃー2』にそっくりの銅像が作られ、『のじゃー』に救われた歴史を持つノジャー共和国と友好な関係となっていた。



毎日更新を終了するのじゃー

ここまで読んでくれて、ありがとうなのじゃー

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