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超危険生物『のじゃー』  作者: アトリーム人
第2章 帝国編
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21話 のじゃーの目覚め

「のじゃ!?」

「目を覚ましたのじゃー! よかったのじゃー!」


 そう言って、目を覚ましたワシに思いっきり飛び掛かって強く抱き着いてくる可愛い少女。

 いきなり抱き着かれると息苦しいのじゃ。


「むう……いきなり抱き着くのはいかんぞい、のじゃー2よ」


 どうやらワシは、眠っていたようじゃ。

 ワシの肉体を乗っ取ろうとしていた、愚かな大魔神との戦闘を繰り広げている最中は、無防備となっていたようである。

 仲間がいなければ危ないところじゃったのじゃ……

 まあ、ワシに危害を加える奴が現れたとしても、自動で敵対者を仕留めるようにしておるし、もしも致命傷を負ったとしても、すぐに再生させてるので殺される心配はないがのじゃ。


「では、この寝室の部屋は、帝都イスタルの宮殿と言う訳か……通りで豪華な部屋な訳じゃ」

「そうなのじゃー。 のじゃー様が倒れて、凄く心配したのじゃー!」

「どうやら、心配をかけてしまったようじゃ。すまぬ」

「のじゃー様が無事なら、それでいいのじゃー」


 更に強くワシを抱きしめる『のじゃー2』。

 彼女は、たくさん甘えたいのであろう。

 じゃが、のじゃー2の甘えを許す訳にはいかぬのじゃ。

 まだ、のじゃー島へ帰る訳にはいかない。

 見逃す事の出来ない敵が、ダイクロス帝国に存在していたのじゃー!


「しかし、まさか、あ奴が生きておったとはのぅ……随分と懐かしい技を見たわい」

「誰が生きていたのじゃー?」

「遠い昔の話じゃ。勝手にワシをライバル扱いしていた奴じゃよ」

「凄いのじゃー! のじゃー様の仲間なのじゃー!」

「仲間ではないぞ。むしろ敵対していた存在じゃったからのぅ。まあ、あやつが居ると言う事は、まだバロンズ帝国の戦乱は続くと言う事じゃ。……やれやれ、面倒な事になってしまったわい。それと『のじゃー2』よ、そろそろ抱きしめるのを止めてくれるのかのぅ? 身動きが取れぬのじゃが」

「ごめんなのじゃー!」


 ワシの命令を聞いて、慌てて、抱き着くのをやめる。

 やれやれ。やっと、起き上がれるのじゃー。

 そう言えば、あのアルテリス皇女はどうなったのじゃろうか?

 ワシは、のじゃー探知を発動させて、注意深くアルテリス皇女の魔力を探す。


「おっ! 見つけたのじゃ!」

「何が見つけたのじゃ? 私、気になるのじゃー」

「秘密じゃ」

「ケチなのじゃー!」


不満を言いながら文句をいっているようじゃが、こんな、どうでもいい話など、のじゃー2に言っても仕方あるまい。

 しかし、帝都イスタルに居たレッサーデーモンの気配が消え失せておるのぅ。

 どういう事じゃろうか?


「のう。レッサーデーモンの反応が見当たらないのじゃが、何が起こったのか、教えてくれぬか?」


 その質問に、のじゃー2は、笑顔になりながらくるくると周って、一回転してしまったのじゃ。

 相変わらずに、大げさなリアクションじゃ。いったい誰に似たのじゃろうか?


「レッサーデーモンなら、のじゃー様が眠っている時に、一斉に元の人間へと戻ったのじゃー! きっと召喚士である大魔神を倒した影響だと思うのじゃー!」

「なるほどのぅ。のじゃー2にしては、中々の良い推理であるようじゃ」

「えっへんなのじゃー!」


 のじゃー2は、指をVサインを指して、ドヤ顔で喜んでおるが

 それは間違いである。

 一度でも悪魔に憑りつかれたモノは、半魔人となってしまう。

 つまりは、下級悪魔の力を備わった人間が誕生してしまった事になるのぅ。

 ここまで誰も死なずに元の姿に戻った事となると、あの大魔神は、かなりの腕前をもった召喚士だったのじゃろう。

 まあ、よほどの事がなれば、只の人とは変わらぬ存在じゃ。

 アルテリス皇女も、帝都に住まう民の殆どが無事で安心しておるじゃろう。


「しかし悪魔が消えたバロンズ帝国の戦力は、もはやズタボロじゃな。周辺の列強国へ侵略をしたお蔭で、味方も居らず、もう連合軍やダイクロス帝国に加わったあ奴に戦える力が残されてはいない。 ワシも、ダイクロス帝国には、因縁の相手がおるし、無視する訳にはいかぬ」

「じゃあ、今度はダイクロス帝国を血祭りにあげるのじゃ?」

「いや、今回はワシ一人だけで行く。そなたはアルテリス皇女をお守りするのじゃ!」

「嫌じゃ嫌じゃー! 私も連れて行って欲しいのじゃー!」

「我がままを言うでない。今はアルテリス皇女を守るのじゃ。これは命令なのじゃ!」

「うぅ……了解したのじゃ……」


 しょぼんと落ち込んでしまったのう。

 そんなにワシと離れるのが嫌だったのじゃろう。

 まあ、アルテリス皇女もワシが居なくても何とかなるじゃろ。

 皇女もまた、成長をしているのじゃ。


「では、ワシは、さっさと因縁の相手を仕留めてくるのじゃー!」

「行ってらっしゃいなのじゃー! のじゃー様! 絶対に帰ってくるのじゃー!」


 のじゃー2の声援を聞いた後、ワシは一気にジャンプをして、フライの魔術を唱えて、空を飛ぶ。

 ワシは、宮殿の天井に突撃して、穴を空けてしまうのじゃが、器物損害をしてしまうが、既に戦闘の余波で数多くの建物を破壊したワシには、もう怖くないのじゃ!





「さてさて、たった一人で向かってくるとなれば……このワシを誘っておるな。まあ、どんな罠が待ち受けようとも、ワシは絶対に負けないのじゃー!」


 こうして『のじゃー』は、ダイクロス帝国に潜むワカハゲを、たった一人で立ち向かう。

 そこに待ち受けている、謎のワカハゲ軍団。

 クロス大陸で広がった戦争は、まだ終わらない。



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