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超危険生物『のじゃー』  作者: アトリーム人
第1章 新大陸
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12話 聖地のじゃー島

「み、見ろ! 魔王の城が大爆発を起こしていっているぞ!」


 それを遠くから見つめていた先住民は大きな歓喜に包まれていた。

 異国から訪れた占領軍に手も足も出ずに敗れ、奴隷へと堕ちてしまった先住民たち。

 かれらは、本当の意味で、この長い戦いが終わったのである。

 皆が抱き合い、励まし合い、語り合った。

 この戦いは、神話となり、永遠に語り継がれる事となるだろうと、誰もが思っていたのである。

 


 パンゲア大陸に侵略をしたフェリー総督との長い戦いが終わった。

 最後の決戦に挑んだフェリー総督の操る魔王の城は、凄まじい破壊力を誇り、まさに魔王と相応しい力であった。

 女神のじゃーが戦いに参加してなければ、先住民の敗北は、確定していたのだ。

 最後の一撃によって魔王の城が滅ぼされる瞬間を目撃した先住民達の多くが、その事を語り着いている。

 ある時は、全国で反乱するきっかけが引き起こったグリモア鉱山での出来事を。

 ある時は、女神のじゃー様の下で前線で戦い、その戦で大活躍をしたと、多くの自慢話が繰り広げていた。


 だが『女神のじゃー』とフェリー総督の戦いで引き起こされた爪痕は大きい。

 二度と足を踏み入れなくなってしまった暗黒の大地。

 そして多くの大地が破壊させた神の雷によって出来た更地。


 どれもが、広範囲にわたって引き起こされた被害であり、長い時を隔てなければ回復しきれない被害であった。


 そして、このような悲劇を繰り返さない為に、先住民は、大きな国を建国しようとしていた。

 二度と異国の魔族から侵略されないための軍事と、民を豊かにする内政の為に



「……ねえ、これからどうするの? もう周りが敵だらけだよ?」

「……馬鹿! 声が大きいって! もう先住民達と同化するしかないだろ」

「でも大丈夫なの? 相手は蛮族よ?」

「お前もその差別用語は止めろ。幸いにして、オレ達は先住民とそっくりな外見をしているんだ。 上手くそれを利用して、何食わぬ顔で暮らせばいいのさ」

「うん。そうね! 」


 彼らのような例外は、ごく少数で、多くの移民者達は、復讐に燃えている先住民による残党狩りで命を落とし、その他は祖国へ帰る為、長い航海の旅へ出た。

 だが、極一部の移住者は、先住民と完全に同化する事で溶け込み、先住民に多くの技術を教えた。

 それは、自分が生き残る為であり、先住民も異民族の技術を会得する為に、彼らを重要な仕事場に就いたのである。


 そして数日後……ついに『ノジャー共和国』の建国を宣言した。

 その建国記念日には、多くの先住民達で溢れかえり、みな歓喜し、壮大なお祭り騒ぎとなっていた。

 これは、先住民を救ってくれた女神のじゃーに対する感謝でもあり、我らは女神のじゃー様の加護下に 入っている事を意味している。

 彼らもこの国名に誇りを持っているのだ。

 異国の侵略から我々を救った、女神のじゃー……。

 国教として、永遠に語り継がれる伝説となるであろう……。



…………


……………………


…………………………………………




「…………と、伝うのが、パンゲア大陸で引き起こされた終幕なのじゃ!」

「凄いのじゃー! のじゃー様が女神になったのじゃー!」

「まあ、勝手に拝められているだけだけどな」


 のじゃー2は、その話を聞いて、子供のように大きくはしゃぎながら喜んでいた。

 主である『のじゃー』様が、皆からも信仰されるほどに素晴らしい人物だと知れ渡ったからだ。

 『のじゃー』も、勝手に神として拝められている現状を気にしていない。

 もはや、彼女らにとっては、関係のない話なのだ。

 害が無いのなら、放っておいても構わないのである。


 だがしかし……

 この女神として拝められてしまったせいで

 『のじゃー』にとって、困り果てた現実が引き起こってしまった。



  …………


 ……………………


 ………………………………



 ドタバタと騒がしく来場してくるのは、のじゃー2。

 彼女は、今日も慌ただしく、主の『のじゃー』に告げる。


「大変なのじゃー! また貢物を担いだ来航者が来たのじゃー!」

「ええい! またか!」

「これで何度目だよ……」


 女神のじゃーの姿を一目見ようと、先住民達は貢物を運びながら島へと上陸するようになったのである。

 そして、その対応に当たらないといけない『のじゃー』は、外へ出る。


 『のじゃー』が向かった先には、既に多くの貢物を運んてきた複数の先住民が現れていた。


「いい加減に、さっさと帰るのじゃー!」


 『女神のじゃー』が現れた途端、先住民は、突如として祈りだす。

 歓喜のあまりに涙を流し、膝をついて祈りだしている先住民。

 のじゃーの言葉など理解出来ない彼らからしたら、もはや暴言など効かない。

 『のじゃー』は、くるくると回ったり、高速の石を投げて脅かしたり、ひたすら子どものような仕草で応戦するものの、全く効果がない。

 むしろ、何かの後利益か、何かで喜んでしまった。


「女神のじゃー様の祝福に感謝を……」

「二度とこの島へ来ては、ダメなのじゃー!」


 そして今日も先住民の集団は、そのまま満足したかのように、帰って行く。

 普段の『のじゃー』なら、あのような集団など、簡単に殺せる。、

 だが、殺す気が失せるほどの熱気に、思わずたじたじとなっていたのである。


 そう……のじゃー島は、気が付けば、ノジャー共和国の先住民達にとっての聖地となってしまったのだ。

 先住民達は、島を荒らす事はせず、『のじゃー』さえ拝むことができれば、満足して帰っていく。

 始めは来航してくる船を破壊させたり、気に入らない人物や悪の波動を感じた人物の殺害を行っても、彼らからしたら、女神の怒りに触れた愚か者であり、全く恐怖を感じてはいなかった。

 むしろ『のじゃー』に殺される事が本望と考える狂信者まで現れる始末である。

 あまりの狂気に、『のじゃー』ですら引いてしまったが、死にたい狂信者は、ちゃんと殺してあげたようだ。


 殺しても来航者が減らない。

 さらには、ここまで自分を信仰してくれる先住民を殺害する事に躊躇してしまう程に、『のじゃー』は、ブレていた。

 そんな現状に頭を悩ます『のじゃー』達。

 今は、この問題を何とか解決しなければならないのである。


「今は、一刻も早く、この現状を打開するのじゃー!」

「女神のじゃー様として祀られて、私はとても嬉しいのじゃー!」


 のじゃー2は、場違いなほどに喜んでいた。

 彼女は、まだこの現状に理解していないのである。

 そして、使えないのじゃー2をスルーした『のじゃー』は、のじゃー3に期待した眼差しで視線を送る。


「もう、多くの人が恐れられた悪魔の島じゃなくて、これじゃあ只の聖地の島だな……。さっさと島の姿を隠す魔術でも開発したほうがよさそうだわ」

「採用じゃ! 即刻に、その魔術の開発を取り組むのじゃー!」


天才魔術師であるのじゃー3ならば、なんとかしてくれる。

そんな期待に満ちた視線を『のじゃー』は、送っていた。


その後、のじゃー2とのじゃー3が研究に取り組んだものの、未だに島の姿を隠せてはいない。

あまりにも範囲がデカすぎたのだ。

研究は、予想以上に難航をしている。



『のじゃー』の憂鬱は、まだ終わらない。

ここまで読んでくれて有り難うなのじゃー

アクセス数が急激に上昇していて驚いたのじゃー

じゃが、書き貯めをする為に毎日更新を終了させなければならならぬ。

け、決してワシは、エターに飲み込まれる訳ではないぞ!


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