4話 カミングアウト 後
空き教室
卓也「待ってたよー香奈……あれ、涼も?」
香奈「私が呼んだの、一緒に来てって」
卓也「なんだかんだ僕たちより仲良下げな雰囲気」
涼「そんなことないって」
香奈「卓也、どうやら青木さんに色々言われて、私のやっている事がバレてしまったみたいだから言ってしまうけど、私はAV女優の内山はる。20歳よ。もう作品は50本近く出ているわ。もしかしたらあなたも見たことあるかもしれない。それに、私があなたとは偶然出会ったのではなくて、ただの財産目的。あなたが宝くじ当たったことも知っていての事よ。」
卓也「うん、涼に言われてそんな気はしてたよ」
香奈「じゃあなんで私と離れようとしなかったの?」
卓也「うーん、好きになってしまったんで」
香奈「はぁ?」
卓也「だってさ、ほら、僕がした忘れ物なんてだいたいみんな気付かないし、それに気付いたくれたのは香奈なんだよ。しかも演技でも、あんな笑顔で話しかけられたら好きになっちゃうよ……。だから、その涼にも言われたこととか、今こうやって香奈にも呆れられてるけど、好きだから香奈を全部受け入れたいし、まだ3日くらいしか経ってないけどこれからも、こうやってお話できたり笑った香奈を近くで見れたらいいなって思ってる」
涼「……」
香奈「だから、私は、あなたの財産が目当てでそれでっ」
卓也「それでもいい、でも香奈が交際を僕に申し込んでくれた時は嬉しかった、だから、僕も応えようと思ったんだよ。好きじゃなくたって、僕は構わないよ」
香奈「好き……じゃない、わ……でも、そんな風に思ってたなんて知らなくて、その、ごめんなさい。私、まともに恋愛なんてしたことないから、なんかバカバカく思えてきてね、その」
卓也「だったら、友達からスタートしてくれますか?」
香奈「え?」
卓也「僕と、友達として、これからも仲良くしてください」
香奈「あの、だから」
卓也「だめでしょうか……」
香奈「い、いいわ、友達からなら」
卓也は握手をしようとして手を差し伸べた。
香奈「私は、そういうの、いいから」
涼「なんだよ素直じゃないなぁ」
香奈「うるさい」
卓也「ありがとう、言ってくれて嬉しかった」
香奈「……」
涼「まぁ、その、なんだ、講義サボって3人でドライブでも行くか」
卓也「いいね! 行こう」
香奈「サボるなんてダメよ、しっかり受けなきゃ」
涼「まさか一回も授業サボったことないのか?」
香奈「ないよ」
「「ええー!」」
香奈「学費がもったいないじゃない、せっかく勉強できる環境があるのに」
涼「一回くらいはサボってみるもんだよ、少女よ」
卓也「香奈の次の授業は?」
香奈「史学だよ」
涼「史学のおっさんなら紙さえ出しておけば大丈夫だろ! ちょっと待ってねー友達に電話するから」
香奈「はぁ? ちょ、何する気?」
涼「あ、もしもしー? ちょっとサボるから史学の出席表名前書いておいてー? あ、俺じゃないわ、えっとねー、名前? ちょいまち」
涼「香奈名前は? ほら、苗字」
香奈「あんたいつから敬語外してるのよ、ちょっとえ? 名前?」
涼「ほら、早く」
「庄野 香奈」
涼「し、庄野 香奈って名前だ、よろしく!」
涼「これで出席したことになってるから、大丈夫だぞ」
香奈「なんだか、すごい悪いことしてる気分だわ」
卓也「だってねー面白くない授業とか出たくないじゃんねー」
涼「その通りだ」
香奈「なんなのよあんたちはさっきから、こんな私なんかと……」
涼「おい、聞こえてるぞ、それに卓也のこと見てみろよ、本心で嬉しそうにしてるぞあいつ」
卓也「なにーまた二人で隠し事かよー」
涼「ちげーよー、香奈がお前に気がなさそうでありそうだって事」
香奈「な!!! 何言ってるの!? ばか!」
卓也「え、ちょ、まじで?」
香奈「卓也も本気にすんな!!」
卓也「最初ほんと猫かぶってたんだなーって笑えてくるな」
香奈「だって……」
涼「?」
卓也「言いずらいなら、別の時でいいよ」
香奈「ごめんね」
涼「そうだな、それじゃあ、卓也の失恋の傷心を慰めにアンド、香奈との友達記念に、あの場所に行きましょうかー」
卓也「お、行っちゃいましょ!」
香奈「あの場所って?」
涼「とびっきりの場所だよ」