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第4話

お待たせしました。元ネタの自作漫画が外倉庫から発見されました。


「僕は、次の国王選定候補の、トーマ・オルゲインです。オルゲイン家は指折りの大貴族と言われています。」


貴族の少年ーー、トーマが話し始めた。

シンは、円卓で対面するように座り、酒を飲みながら肘をついてじっと聴いている。カイには店を閉じてもらい、カウンターでグラスを拭いている。

シンは次期王の候補をここで殺したいという思いでいっぱいだったが、少年の馬鹿みたいにまっすぐな瞳がそれを制した。

(カイもいるし、店汚すのも悪いからな…)

トーマは話を続けている。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



僕の両親は、実はスラム出身で、その時に生まれたばかりの子供を家に残したまま、人身売買の競りにかけられていました。

そこを前オルゲイン公爵が通りがかり、2人を買いました…いえ、買った、というより、保護した、というのが正しいでしょう。

前オルゲイン公爵は昔スラムで生活をしていて、ギャンブルに大勝ちし、その資金で企業を発足させ貴族となった、いわゆる貧民の味方でした。

僕は彼の屋敷内で生まれました。


僕が生まれて3年後くらいに、彼は病気で亡くなりました。

その頃はまだ貴族は嫌いじゃありませんでした。

でも、その後を継いだ彼の弟が権力で僕を養子にとり、本当の僕の両親を奴隷のように嬲り殺しました。

僕は…奴の後を継ぐことになっていました。

元々、前オルゲイン公爵の元で育ったので、本当の親も、奴の後を継ぐこともなにも分かっていませんでした。

全てを知ったのは、僕が12歳の時、直属のメイドが全てを話してくれたからです。


奴を、本当の親を殺した奴を殺そうとしました。

しかし、力も知識もなにもない僕は、なにもできませんでした。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ふ、と、言葉が途切れた。シンが目をトーマの方へ向けると、過去を思い出したのか、歯を食いしばり憎しみを露わにしていた。

そして放り出すようにまた喋りだした。


「…僕は…、僕は、奴のために生きるなんて、絶対に嫌だ…!!自分勝手で…自分の為なら誰でも殺すような…そんな奴らのために生きるなんて、死んでも嫌だ…‼︎」



きっとここで話は終わったのだろう。

拳を膝の上で握りしめ、俯いていた。


「ふぅん…」

スコッチが入っていたグラスを置いた。

暫しの沈黙の後、しびれを切らしたカイがトーマに声をかけた。

「でも、だからってバビロンに入るってのはやめたほうがいいんじゃねえか?貴族の間にも、バビロンって名前は知れ渡ってるんだから、やっぱり危ないんじゃあ…」




それを切るようにシンが口を開いた。


「もう貴族には戻れない。…それでもいいのか?」


「っ、シン!こんなに若い奴を入れるなんて…」

「黙れカイ。こいつの意思だ。」

普段とは違う、脅迫じみた声でカイを制した。

(復讐の強い意志があるっていうのに、ただひたすらに、瞳に生力をやどしている。他の貴族とは違う。



やっぱり、こいつは…)



じっと、トーマを見た。


トーマは嬉しそうな、キラキラした目でシンを見つめ返した。


「は、はいっ!!!!」


「じゃあ、よろしくな、トーマ。」


運命は狂わない。

結ぶものを結び、裂くものを裂く。

でもこれは、予想外であった。


「っていうことで、カイ…悪いな…」

「い…いいんだ…気にするな…。コウが死ぬ前、シンには好きなようにさせろって言われてるんだ…。」


え、初めて聞いた。

これも意外、と。





こうしてバビロン殺人団に新たな仲間が1人できたのであった。












「この際もう2人で二階の部屋拠点に使ってくれや!」

「あ、ありがとうございますカイさん!」

「あとあれ、こいつに動きやすい服あげて。俺自分のしかねえから。」

「てんめぇ…仕方ねえなちくしょう!!」

最近とても暑いですね。

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