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第二十四話 海松

「お前は・・・・・・この国をどうするつもりだ? 世直しでも考えているのか?」

「世直し? う~~~~ん・・・・・・それはちょっと微妙だな」


 しばし考え込んだ後、ゲドは自分のこの国への、根本的な対応策を口にした。


「欠片も尊敬していない過去の女を、口だけで崇めて、民衆から布施を巻き上げるのはいっこうに構わんさ。そんなものでも心を救われている人間はいるんだ。戦争を続けるのも仕方がない。もう始まってしまった戦いは、どんな言葉を交わそうが、力でねじ伏せようが、俺には止めようがない。俺に政治の学なんて、これっぽっちもないからな。

 だがお前らは一度始めちまったことには、最後まで責任を持て! 税も布施も、大割は国と民を守るために使うんだ。敵国を倒すんじゃなくて、国の安全を守ることだけを目的に、お前らは戦い続けろ! それが政治家の本来の役割だろう!?」


 ゲドの感情のこもったその言葉に、彼らは額に汗を浮かばせ、苦悶の表情を浮かべながら、全員が頷く。

 一応ゲドの言っていることは、内容自体は正しい。だがその正しい職務を、本心でこなしている者の割合はあまりに少ない。

 脅迫以外の手段で、国政を改善させることが出来ないということは、とても悲しいことだ。だがそれを放置したり、民衆の蜂起・他国からの侵略など、血を流す手段をとるよりは幾分かはマシである。

 ゲドだって、本心では自分の故国には、滅ぶよりも良い国に変わってくれることを望んでいた。そしてこれがステラがゲドに提案した“野蛮で暴力的だが、現時点最善で効率的な手段”というものである。

 それは力を手に入れた者=弱者にはできない特権を得た者の、最も正しい選択だというのだ。


「判った・・・・・・お前の議題を受け入れよう・・・・・・」


 議長が力ない声で、ゲドにそう発する。もう貴族のプライドや損得勘定など、この目の前の恐ろしい子供の前では、真面目に考えるだけ無駄な話だ。

 その考えは他の者も同じようで、誰も反論する者はいない。ただ議長の椅子でふんぞり返っているゲドに《もう判ったから、さっさと帰ってくれ!》という想いだけがあった。


「判ってくれて嬉しいよ。じゃあ俺はそろそろお暇するわ」


 議長の机から飛び降りるゲド。ステラも最後まで無言のまま、席を立って彼女の側に歩み寄る。

 ステラは最初から、この計画で自分から議員達に、何かを言う気はなかった。前にゲドが指摘したとおり、自分には人に道義を説教できる権利はない。自分が説教をする相手は、今ここにいるゲドに対してだけにしようと、心を決めていた。


(でもやっぱり馬鹿共を見下ろすのは気持ちいいわね♫ ぶっちゃけ貴族院の奴ら、ゲドに会う前から気にくわない連中だったし。でも自分で事を成したわけじゃないのに、他人の威で優越感に浸るって。私ってやっぱり小物なんだと判るわ・・・・・・)


 一行は議員達が座っている、机群の真ん中の通路に向かって歩く。議員達は接近してきた彼女らに怯えながら、凱旋した将軍を通すように、一斉に道を空けた。


 やがて部屋の後ろの壁にある扉のドアノブに手をかけた。さっきは議員達がどんなに動かしても、結して開かなかった扉。

 それが今はあっさりと開き、ゲド達は会議室から出て行った。違法に議事堂に侵入してきた者達を、捕らえようとする者は誰もいない。一行は悠々と、散歩道から帰宅するように、議事堂の外へと出て行った。


 ゲドが出て行った後、会議室はしばらく墓場のように静かだった。だがしばらくして、議長がゴホンとわざとらしい咳払いをして、自分の椅子に戻る。


「え~~~~~では新しい議題を取り上げましょう・・・・・・。ここ最近悪化している、傭兵達のマナー改善についてですが・・・・・・」


 引き攣った表情で、棒読みの台詞を口にする議長。その後会議室では、これまでにない平和的な討議が繰り広げられたという。






 空を飛び越えて、ムツ村にまで帰還した一行。村の中央に、申し訳程度の出来映えの、村人に対する石の慰霊碑を建てた。

 この村の住人の名前など判らないので、四角く削った岩石に“かつてこの村に住んでいた者全員を追悼する”と書いておいた。


「霊術が使えればな・・・・・・村人全員に謝れたんだが・・・・・・もっと欲を言えば生き返らせる術もあればな・・・・・・」

「ロームの魔術書に、霊術分野の物なんてそうそうないわよ。当然公立図書館になんて置かないわ。あれって邪教徒が得意とする魔法だって、この国じゃ嫌われてるからね。それと後半の魔法はもっと駄目よ」


 慰霊碑に向かってしゃがみ込み、両掌を合わせながら、慰霊碑に向かって頭を下げるゲドとステラ。

 聞いた話によれば、霊界教ではこういう動作で、死者に追悼の意思を示すらしい。ロームでは何かと霊術を敵視しているため、死者を敬う慣習が薄い。葬式なども、ただ死体を灰にして、その辺の山に捨てる適当なものだ。

 そんなことだから、聖教に反感があったゲドは、あえて邪教と言われている礼法をとった。チビもこの意味が分かっているのか、後ろ足を下げてお座りの姿勢になり、墓に向かって頭を下げている。


 やがて二人は立ち上がり、村長宅に戻る。家の前に置かれた大バケツの縄を握り、行き帰りと同じようにステラに中に入るよう促す。


「村を出るの? それでこれからどこに行くわけ?」

「さあな。でもこの国からはしばらくいない方がいい気がする。お前の言うとおり、俺は正直やり過ぎたな・・・・・・」

「貴族院の奴ら、あんたがいないのを良いことに、契約を破るかもよ」

「奴らに、そんなことをする度胸があると思うか?」


 ついさっき貴族院議事堂を千里眼で覗いたが、一応奴らは、ゲドの命令通りの政策をとるつもりのようだ。

 それに民衆がどう反応するのか、そして政策は上手くいくのか、それはまだ判らない。そもそも一番の問題である、異界魔の被害と、ギールとの戦争に関しては、何も解決していないのだ。


 そのことを含めて考えても、答えなど出せるはずもない。暴力しか能がないゲドには、今以上のことなど何も出来ない。


 だが良くない方向に流れたからといって、いちいちゲドが出てきて大事を起こすと、それこそ反乱の火種になりかねない。

 実のところゲドを黒の女神の使いと名指しして、王国に反乱を企てている者がいるという噂がある。かつてこれと似たような暴動は、王国では何度も起きていた。


 こうなるとゲドの存在そのものが、この国の災厄になりかねないのだ。正直彼女を本気でコンの関係者と思っている者は、ほとんどいないだろう。

 だが権力奪取を正当化するお題目としては十分である。


「じゃあ私の実家に来てみない? あんたのことで調べたいことがあるし」

「調べる? ていうかお前ローム人じゃなかったのか?」


 ステラが国外の人間だということは、何となく感じていた。

 しかし実家に男を連れて帰還とはいかがなものか?と思ったが、今の自分は少女だということを改めて思い出した。


「私の家は代々召喚術士の家系よ。召喚術を利用して、魔物を主とした色んな生き物の研究をしているの。あんたの身体のことも、母さん達に聞けば何か判るかもよ?」

「ふむ・・・・・・」


 自分の身体に関して、今まで何度も調べてみるべきと思案していたが、結局今まで行動に起こすことがなかった。

 調べるあてがなかったというものもある。それに信用の有無が判らないそこらの医者に事情を説明すると、そこから自分の本当の身元が、世間に流れる可能性がある。

 そんなことになったらワーライトにいる自分の家族に害が及ぶことは間違いない。


 どうすべきかとゲドが珍しく深刻に考えているときだった。


「あなたはそこにいくべきですね。少しは自分のことを知ろうと行動した方がいい」

「「!?」」


 突然どこかから発せられた、聞き覚えのない人物の声。若い男性の声だ。


 おそらくだが外から聞こえきた気がする。慌てて村長宅のドアを開けると、さっき立てたばかりの墓の側に、その声の主と呼ばれる者がいた。


「・・・・・・なんだお前は? いつからいた?」


 そこにいたのは、身長一七〇センチほどの中肉中背の男性。歳は恐らく二十代前半辺り。すらりとした顔立ちで、モデルでもやれそうなほどの美青年である。

 髪色は茶色っぽく、側頭部からは鹿のような角が二本生えていた。その角は、見たところアクセサリーには見えない。もしこれが本物の角だとしたら、こいつは純人ではないことになる。

 だがあのような角が生えた種類の人種は、ゲドは聞いたことがない。こことは別の大陸にも人がいるらしいので、もしかしてそっちから来たのだろうか?


 彼はゲドと同じ、霊術士風の着物を着ていた。ゲドと違って、竜の刺繍が描かれた、緑色の着物である。

 腰にはゲドと同様の刀が差されている。長さはゲドが持っているのと同じぐらい。ただしこちらは持ち主の身長が十分あるため、背中ではなく普通に腰に差していた。


 突然現れた、明らかに怪しい人物。

 その姿もそうだが、何より優れた感覚能力を持つはずのゲドが、ここまで近づかれるほどに、彼の気配に全く気づかなかったのだ。この時点で只者でない雰囲気である。


「僕の名前はミルといいます。いつからいたかというと、お二人が墓参りを始めたあたりから、近くの森にいましたよ。初めましてですねゲドさん。それとお久しぶりです」

「久しぶり?」

「お気になさらずに。あなたの中の方(・・・)に言っただけです」


 この時点でゲドは確信した。こいつは自分のこの肉体の身元を知っていると。別に遠出をして調べる必要はない。こいつに聞き出せば良いのだ。


「お前は・・・・・・・・・」

「残念ですが、あなたの質問には答えられません。聞きたければ僕に勝ってみることですね」


 こっちに聞く前に、向こうから拒否の返答がきた。その挑発するような口調の言葉に、ゲドは強い不快感を覚える。


「おいミル・・・・・・お前は俺に、喧嘩を売りに来たのか?」

「率直に言えばそうですよ」


 売り言葉に買い言葉を、実にあっさりと答え返すミル。ゲドは既に、背中の刀の柄に手をかけて、既に戦闘態勢である。


「ゲドさん。あなたは少し自惚れが強くなってきています。今回のことで、少しは反省したようにも見えますが、まだ不安は大きいですね。別に僕は、今までのあなたのやり方を否定する気はありません。ですがこの後間違いを起こして、その方の肉体に、不名誉を与えるわけにはいかないんですよ」

「ペラペラと、思わせぶりなこと言いやがって、そっちが来ないならこっちから行くぞ!」

「別にいいですよ」


 ゲドが即座に抜刀し、ミルに向かって突撃した。ゲドの刀の刀身は、緑色の光を纏っている。

 その光は、刀身に流し込まれた風の魔力の輝き。魔力で物理攻撃を上げる魔力撃の斬撃バージョンの“魔力斬”である。以前図書館の暗殺者を倒した魔光剣を、刀という物質を媒体に宿して強化した技とも言える。


 その魔法で強化された斬撃が、高速でミルを襲う。その時には、すでにミルも腰の得物を引き抜いていた。


 ガキッ!


 双方の刀身が衝突する。ゲドの一撃は・・・・・・ミルの刀によって完全に防がれていた。


 ミルの刀は、水の魔力を纏って、青く輝いている。どうやらこちらの戦闘タイプも、魔法剣士のようだ。

 激突した二つの魔力斬が、凄まじい剣戟音と共に、膨大な魔力を放出させる。この嵐のような魔力の波動に、家の扉から見学していたステラや、あやうく失神しそうなほどの圧迫を感じていた。


 剣撃を剣で受け止められるなど普通の勝負では、別に普通のことだ。にもかかわらずゲドの表情は驚愕の色を浮かべていた。


「なっ!?」

「何、驚いてるんですか? まさかこの一撃で勝てると思ってたんですか? しかもあなたは全力を出していませんよね?」

「くう・・・・・・うおぉおおおおっ!」


 ゲドは今度は手加減無しで、もう一撃を加える。だがそれも防がれてしまった。

 ミルの刀がゲドの刀を弾き飛ばし、ゲドは数歩後退した。ゲドはすぐに態勢を立て直し、再び見るに飛びかかった。


 桁外れの魔力が放出され続ける、すごすぎる威力の魔力剣の剣戟が、打ち鳴らされ続ける。


 ゲドは小柄な身体を駆使して機敏に動き、高速連射で次々と攻撃を繰り出す。ミルは体格差のリーチを駆使して、それらを受け止めながら、何度もゲドの間合いへと斬りかかっていった。

 だがお互いまだ一撃も当てていない。


(うそでしょ? ゲドが押されてるの?)


 その光景にステラが愕然としていた。両者の攻防は、一見すると互角に見える。だがゲドが焦りの表情を浮かべながら全力で撃ち込んでいるのに対し、ミルの表情はまだ余裕があるように見える。


 二百合ほど打ち合って、双方バックステップで距離をとった。二百合というと、もの凄い長時間の剣戟に思えるかも知れないが、双方の動きがあまりに速すぎるので、時間としては一分も経っていない。

 ゲドの息は大分荒い。一方のミルは、息一つ乱さず、平然と立っている。


 ゲドはこの身体になってから今まで、自分より遙かに格下の相手としてか戦っていない。たまに異界魔相手に手こずることがあるが、それは苦戦と言うほど大層なものではなかった。

 今までにないこの事態に、ゲドは動揺を隠しきれずにいる。


「これが君の限界ですか? 僕の本職は戦士ではなく、医師なんですけどね。そんな奴に負けてちゃ、話にならないですね」

「てめぇ! 一体何がしたいんだ!?」


 相変わらず挑発的なミルの言動。ゲドが感情は既に噴火していて、ミルに叫び声で問いただす。


「僕はあなたに、少し落ち着いた考えを持って欲しいだけですよ。自分が一番強いと自惚れている人ほど、道を踏み外しやすいですからね。ではこの辺で終わらせましょう」


 ミルの刀身に宿る、ただでさえ強力すぎる魔力が、更にその力を増幅させる。ミルはその刀身に、時間をかけて魔力を集中して溜め込んでいるのだ。これは俗に言う、必殺技のパワーチャージだ。


「くっ!」


 ゲドも負けじと、己の刀身に、同様に魔力をありったけ込める。どんどん威力を高める風の魔力。うっかり漏れ出た魔力が、嵐のような突風となって、一帯に大量の土埃を巻き上がらせ、近くの林の木々を揺らめかせる。


 両者は無言で、双方激突した。そして打ち合わせる水と風の魔力撃。刀身同士の衝突位置を中心にして、大型爆弾が爆発したかと思えるほどの、強烈な衝撃波が一帯を襲う。

 林はさっきよりも遙かに大きく揺れている。ステラのいる家も、ガタガタと揺れて今にも倒壊しそうだ。


 キィイイイイン!


 この激突の勝者は決まった。ミルの剣撃は、ゲドの刀を弾き飛ばした。衝撃で腕に強烈な痺れを感じながらも、ゲドはこの事態に頭が真っ白になる。

 それは勝負において、絶対にやってはならない隙をつくる行為。ミルの刀身の魔力は、まだ完全に放出しきってはいない。残った魔力で強化された斬撃を、すかさずゲドに向けて振り下ろした。


 ザシュッ!


 切り裂かれるゲドの右肩。そしてその少女の身体から飛び散る大量の血。ゲドが本人の意思以外の理由で傷を負い、流血を起こしたのは、今回は初めてではないだろうか?


「ぐぅ・・・・・・」


 傷自体はそれほど深くはない。元々鋼よりも頑丈だった肉体に、魔力の結界で全身を覆って、防御力を向上させているのだ。

 最初の一合で威力を落とした魔力斬では、一撃でゲドに致命傷を負わせることができなかった。


 だがゲドはこの時点で敗北を確信し、力なくその場に膝をつく。そして歯を食いしばりながら、頭上のミルに向けて顔を上げた。


「随分と諦めが早いですね。威勢を張れるのは、自分より弱い相手だけですか? 何とも情けない人です」

「・・・・・・くっ!」


 何も言えぬまま、ただ無言でミルを睨むゲド。ステラもまた、困惑から変わって敵意の目でミルを睨み付けている。

 だがミルの方はこれで用が済んだと言わんばかり、表情を和らげ、刀を鞘に収めた。


「すみませんねゲドさん。僕は別に、あなたの邪魔をしにきたわけじゃないんです。ただあなたの様子が、随分と危なっかしいものを感じたから、一度でいいから鼻をへし折っておくべきだと思っただけですよ」

「てめえ・・・・・・」

「僕の用事はもう済みました。ではこれからの旅を頑張ってくださいね、お二方」


 ミルの身体が、フラフープのような二つの光の輪で囲まれた。それらミルの周りをしばらく回ると、今度はミル自身が不思議な白い光に包まれ始めた。

 それが全身を覆ったその瞬間に、ミルの姿は光と一緒に、フッと煙のように消えてしまった。もちろんあの光の輪もである。


 いきなり現れて、あのゲドを負かす圧倒的な実力を示した謎の人物が、最後には実にあっけなく、正体も明かさずにこの場から姿を消してしまった。

 あまりに唐突な展開が続きすぎて、二人は訳が分からない。


「あれは・・・・・・転移魔法?」


 術式が難しすぎて、理論が判っていても、中々習得できない空間移動魔法。

 ゲドもこの魔法だけは、術は覚えても、使いこなすことはできなかった。それをあのミルは、いとも容易く使って見せたのだ。

 だがすぐにステラは、今優先して考えるべきことは、そんなことではなかったことに気がついた。


「ゲド! あんた大丈夫!」


 本気で心配した面持ちで、膝をついたままのゲドに駆け寄るステラ。傷自体はそんな深刻なものではない。

 以前ゲドは、ステラにこれ以上の怪我を負わせたことがある。にもかかわらずやたらとこちらを気遣うステラ。


「・・・・・・ああ、大したことがない」

 不思議なものを感じながらも、ゲドはすぐに立ち上がって、ステラにそう返した。






 あの後すぐに、ステラはゲドの身体に治癒魔法を施した。だがその術は、ゲドには一切通じなかった。

 肉体が頑健になると、魔法に対する耐性も高まる。それは治癒魔法も例外でもない。両者のレベルが違いすぎて、ステラの力で回復できる割合はあまりに小さすぎたのだ。

 彼女は身体は硬すぎて針も通さないから、傷の縫合も不可能だ。ステラはどうしようかと慌てたが、ゲドはそれほど気にかけていなかった。


 ゲドは自分で自分に治癒をかけようと思ったが、何となく必要ない気がして、そのまま放置する。

 心配するステラを他所に、村長のベッドに眠り込み、朝になったら例の傷は跡形もなく消えていた。あまりにすごい治りの速さである。

 更には身体と一緒に切り裂かれた、ゲドのあの衣服も、翌日には完全に修復していた。


 様々疑問が残るゲドの肉体。その正体を知っているっぽい人物に会えたが、結局何の話も聞けずじまい。

 ゲドのその翌日には、ステラの実家のあるフレットへの旅を決断した。


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