第一話 「予期せぬ事態」
「おかしい」
俺がそう思ったのは、とあるサイト「災因果」を見つけた次の日だった。
昨日は結局、シグマというハンドルネームの男(女?)に言われた通りにログアウトし、そのまま寝た。
そして今日。起きてパソコンを起動した時、俺は「異常」に気付いた。
デスクトップにあったはずのフォルダが全て消え、代わりに「災因果」というタイトルのフォルダが出現していた。
俺はこの時混乱していた。フォルダが消え、現れた。この意味不明な事象を目の当たりにして、俺はもう笑うしかなかった。
と、そこに一通のメールが。
差出人、不明。しかし、タイトルでどこからのメールかがわかった。
「災因果管理人カラノ挨拶」
「災因果」からのメールだ。俺はすぐさまメールを開いた。
そこには漢字と片仮名で、
「ハジメマシテ、イッカイ様。
ワタクシ災因果ノ管理人ヲ務メマス《巡回者》ト申シマス。
コノ度災因果ニ御来店イタダキマシテ本当ニ有難ウ御座イマス。
ココデ、災因果ノ概要ヲゴ説明イタシマス。
1.災因果ハ「人ノ死」ヲ予言スルサイトデス。
2.予言ガUPサレル時間ハランダムデス。
3.ココデハ、予言サレタ人ノコトヲ「被害者」ト呼ンデイマス。
4.予言ハ毎回、「災」ページニUPサレマス。
5.予言ハ、被害者ノ顔写真、名前、寿命、ソシテ「死ノ原因」ガ表示サレマス。
6.被害者ノ寿命ガ尽キルト災ページノ情報ハ全テ消マス。
7.チャットルームノ使イ方ニツイテハ特ニ何モ言イマセンガ、最低限ノマナーハ守ッテクダサイ。
以上、7ツの事ヲ踏マエテゴ閲覧クダサイ。
ヨウコソ、災因果ヘ」
と書かれていた。
俺は、恐怖を感じていた。
「死を予言するサイト」。普通なら笑い飛ばすだろうが、笑い飛ばせない理由があった。
俺が入る直前の昨日のチャットでのイツキとジックの会話。
「もう出たね次の予言」
「次は一般人か・・・ニュースにはならないなァ」
この会話が、俺に大きな不安を抱かせる。笑い飛ばす余裕を奪ってゆく。
俺の背中に冷や汗が流れた。
俺は、真偽を確かめるため、もう一度チャットルームに入った。
wwwwwwwwwチャットルームwwwwwwwww
【イッカイ様・in】
イッカイ「誰か居ませんか。」
イッカイ「確かめたい事があるんです。」
【イツキ様・in】
イツキ「どうしたよ新参」
イッカイ「聞きたいことが・・・。」
イツキ「いいよなんでもこい」
イッカイ「ここは人の死を予言するというのは本当ですか。」
イツキ「本当だ」
イッカイ「え・・・?」
イツキ「こっからは反応しづらいと思うから俺の発言を見てて」
イツキ「ここは人の死を予言する。しかしただ予言するだけじゃない」
イツキ「あと何時間後に死ぬか、何が原因で死ぬかをも予言する」
イツキ「まぁ時間は24時間以内のいずれかだけどな」
イツキ「んで、2つがわかる反面、わからないものがある」
イツキ「それは、どうやって死んだのか、そもそも死んだのか、ということだ」
イッカイ「ちょっと待ってください。」
イツキ「なんだ?」
イッカイ「ここは、人の死を予言するサイトなんですよね?なのに死なないことなんてあるんですか?」
イツキ「あぁ。ある。簡単なことだ。ただ死の原因を避ければいい」
イッカイ「え、じゃあ被害者は避ければ死なないってことですか?」
イツキ「そうだ。だがそれが難しい」
イッカイ「何故ですか?」
イツキ「被害者になる人には、一つだけ条件がある。それは、このサイトの存在を知らない人だ。どういうことかわかるか?」
イッカイ「いえ・・・あまり。」
イツキ「つまり、このサイトを知らないってことは、もし自分が予言されてもわからないだろ?」
イッカイ「・・・回避のしようがない。」
イツキ「そうだ。だから被害者を救う為には被害者になる前に災因果を知るか、災因果を知る者が被害者の原因を打破する、っつー2つしかないわけだ」
イッカイ「そんな・・・」
イツキ「お前はどうだか知らんが、俺、ジック、シグマは助けようとは思ってない」
イッカイ「何故ですか?」
イツキ「それは個人に聞いてくれ。俺は、ただめんどくさいからだ。じゃな、ノシ」
【イツキ様・out】
イッカイ「・・・それでは、ノシ」
【イッカイ様・out】
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「うそだろ・・・」
嘘だと信じたいが、あの説明がそれを許さない。
そういえば、昨日ジックが新しい予言が出たと言っていた。
俺は、震える手で、「災」をクリックした。
そこには、
俺の父親、一始の顔写真があった・・・
早音芽と申します!
第二作を投稿させていただきました!
出来ればご感想をお願いしたいです(汗)
次回から話がガラリと変わると思いますので、ご期待ください!
最後に、
ご精読有難う御座いました!