絵のない絵本 わたしは木
この絵本に 自分で絵を描くとしたら どんな絵を描きますか?
イメージしながら楽しんでくだれたら 嬉しいです♪
わたしは ちょっと弱い
フラフラ ゆらゆらしてる
もっとしっかり立たなくちゃ
もっと太く 大きくならなくちゃ
おいしい おいしい 実をつけなくちゃ
みんなに相手にしてもらえない
となりの木は どっしり安定してるし
あんなに葉っぱがモサモサしていて 大人気
いつもたくさんのすずめに 囲まれている
1羽のすずめがこっちにきた!
「こんにちは あなた ゆらゆらしてステキね 一緒に遊びましょう♪」
「ステキだなんて はじめて言われたよ うれしいな~」
そのスズメは 時々遊びにきてくれた
だけど自由気ままに飛んでいるスズメは
となりの木にいることもあれば
全然姿が見えない時もある
かと思えば 時々フラッとこちらに来る
わたしはいつも 待っているだけ
ほんとうは もっと話したいのに
どこにも いかないでほしいのに
ずっと そばにいてくれたらいいのに
そんなふうに 思ってしまう自分が嫌で
なんだか泣けてくる…
ある時すずめが 信じられないことを言った
「あなた いつまでそこで じっとしているの?」
わたしはびっくりした
だって 私は木
木はじっとしているものでしょ?
だからこう返した
「だって…わたし動けないし」
すずめさんは やさしい声で
わたしのことを じっと見つめて こう言った
「動けないんじゃなくて 動こうとしていないだけでしょう?
手を ひろげてごらん 足を 前に出してごらん
あなたにも素敵な羽があるんだよ」
わたしは自分のことを
よ~く見てみた
(あれれ?)
わたし 木じゃない…?
わたしは 手をひろげてみた
足を 前に出してみた
できた・・・ 動けた・・・
となりの木を見て
自分も木だと 勝手に思い込んでいた
わたし…
木じゃなかった
自分で動けるんだ
どこへでも 自由に行けるんだ
待ってるだけのわたしは もう いない
すずめさん 教えてくれて
ありがとう
私 木じゃなかった!!
自分の羽で
さあ どこへ行こうかなっ!!
どこまでも どこまでも 行っちゃえ~~~~!!!