表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/52

(16)部屋がない!?2

比奈子が先にシャワーを浴びると言い出し、豊をチラリと横目でみた。

「ちょっと、覗かないでよ?」

「はぁ? 何言っちゃってんの? 誰が見たいかよ、比奈子のすっぽんぽんなんてよ!

 カギかけとけ。万が一ドアが開いて、おまえの貧弱な胸が見えたら俺の目が腐る」

「見たこともないのに、そーゆーこと言わないでよね! 結構胸デカイんですから! わたくし!」

少し見栄を張ってみた。

豊はドキッとしたが、比奈子は「ふん!」と言ったあと、バスルームのドアをバンッと閉めた。


豊は、ダブルベッドに目をやった。

ダブルベッドと言っても小さいビジネスホテルの狭い部屋のベッドだ。

ベッド自体が少し小さい。



「よし、これでいい。あんなのと一緒に寝るなんて俺の一生の汚点だ」

二つ並べられていた枕を少し離し、隙間を作ったあと、テレビを点けて見ていた。

テレビのリモコンをいじくり、ホテルチャンネルのボタンを押した。



「……や、やばい、なんだよ、これ」

有料AVチャンネルの予告が流れ、画面の中で裸の女が映っている。

豊はあせり、もだえる女の声を聞きながら、ローカルチャンネル切り替えのボタンを一生懸命探していると、後ろから冷たい声が聞こえた。

「最低ー。男って本当にどうしようもないわよね!」

振り向くと、ホテルの浴衣を着た比奈子が腕組みをして、豊を見下ろしていた。

「う、うわー」

驚いて、思わずリモコンを落した。

比奈子は、リモコンを拾い上げ、ボタンをプチッと押し、テレビを消した。


「なんだよ! ボタン押したら、わけわかんねー場面になったんだよ!」

うそをこけ! という蔑んだ表情の比奈子は何も言わず、豊を見ている。

豊は、シティホテルにしろ、ビジネスホテルにしろ、泊まることなどほとんどないため、ボタンの沢山あるリモコンは扱えない。


「テメェが風呂出たんなら、俺が入る!」

比奈子の冷たい視線に耐えられないくなった豊は、バスルームに向かった。

「ったく、男ってどうしてあーゆーことしか考えられないのかしらね」

比奈子は、ブツブツ言いながら、ベッドの上に座ったが、枕の位置が気になった。


「よしよし、これでいいわ。本当は、あいつなんて床で寝ろっつーのよ、ったく」

自分が寝ようと思っている場所の枕を少し真ん中寄りにし、豊の枕をベッドサイドから少しハミ出す感じに置き直し、ベッドの中に入り、先に寝た。


シャワーから出て、ベッドサイドに立った豊は無言のまま比奈子を見た。

すでに目を閉じている比奈子が中央寄りにデンッと寝ていて、自分の場所は、無いに等しい。

豊用の枕も落ちかかっている。

ざけんなよ…比奈子。


比奈子の頭を乗せたまま、枕をベッド脇にずらした。

比奈子の目がパチッと開き、下から豊を睨んだ。

「なにすんのよ、人が寝てるのに」

「おまえ、ふざけんなよ、俺が寝れないじゃねーかよ」

豊が自分の枕を真ん中に置いて、急いでベッドに入って位置を確保した。


「ちょっと、何やってんのよ。これじゃ私がベッドから落ちちゃうじゃない!」

「うるせー、おまえは、端っこで寝ろ!」

「冗談でしょ? 豊がもっとあっち行きなさいよ!」

豊の体を足で追いやった。

「痛っ、テメェがそっち行け!」

豊が比奈子の足を蹴った。

「痛い! なに女の子に暴力振るってるのよ!」


数分もめたあと、端と端に背を向けて寝ることで落ち着いた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【恋愛遊牧民G】←恋愛小説専門のサイトさま。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ