6.白髪のイケてるおじさまはだあれ?
奥に進んでいくと叫び声が大きくなってきた。あれねあれ?さっき聞こえたのが反響して届いたやつで今聞いてるのが普通に聞こえてきたってこと。というか叫び声じゃねえなこれ、悲鳴と威嚇みたいな感じ
声の方向を確認しながら、私は慎重に進んでいった。道中、暗い通路や狭いトンネルを抜け、少しずつその叫び声が近づいてくるのを感じた。道中の床には小さな骨や壊れた装備の残骸が散らばっている。
「ここにどんだけ人通った?なんかここ想像以上にやばいところだったりする?」
大丈夫かな。私もあの骨の仲間入りになるとかないよね。あ、私もう死んでるようなもんだった。それに骨どころか鎧だったわ。
進み続けると声の正体にたどり着いた。少し開けた部屋に出るとそこには予想通りというか声からイメージのつくゴブリン的なやつらが集まってぎゃあぎゃあとやっていた、あの様子だと何かを取り囲んでいるみたいだ。隠れてゴブリン(仮)共の様子を伺う。
「ん?戦闘…中だな。何と戦っているんだろう?」
やつらは互いに叫び声を上げながら、何かに攻撃をしている。よく見ると元気に叫んでいるやつだけではない。片腕がないもの、血を流しているもの、挙句の果てに恐らくだが既に死んでいるものまでいる
「どうやら身の丈に合わない獲物を捕りにいって返り討ちにあったってかんじかな。…あいつらの囲いの中がうまく見えないな。ちょっと冒険して確かめるか…」
念のためにしっかりと両手に武器を持って、ゴブリンたちに忍び足で接近した。足音が心配になったが奴らはそれどころではないみたいだ。これなら不意打ちで何体か倒せるんじゃないか?
そう思った次の瞬間に私はドジを踏んだ。床に落ちていた骨を思いっきり踏み折ってしまった。部屋中に心地良い軽い音がすると前に集中していた何体かのゴブリンがこっちに振り返ってきた。
「やっばやらかした」
案の状気づいたゴブリン達がこちらへと襲い掛かってきた。なんでこうも運が無いのかなぁ私は
「大人しくきづかないでくれよもーっ…!」
剣を構え、とびかかってきたゴブリンを盾で受け止めながら、カウンター気味に切りつける。しかし、数が多いため、簡単にはいかない。
「待て待て待て待て!さすがに素人にこの数は無理があるんだが…!?」
それでも私は必死に戦い続け、何とか数体を倒すことに成功した。あ、経験値美味いなこいつら。てかそんなこと言ってる場合じゃなかった。仲間を倒されてお怒りなのか残りのゴブリンたちはますます激しく襲い掛かってくる。
「助太刀か?こんなところにくるようなもの好きがいるとは思わなかったが」
突然ゴブリン達の囲いの中から渋くてかっこいい声が聞こえてきた。
「そうなんだけど状況を見誤ったよ!やっぱり素人が調子にのるもんじゃないね!あんたをすぐに助けられそうにもないよ!」
私が状況を確認しながらゴブリンと戦っていると、囲いの中から再び声が聞こえてきた。
「ふん、そっちはそっちで無理せず動け。俺もできる限り自分で何とかする。」
次の瞬間、声の主らしき男は圧倒的なスピードと力でゴブリンたちを一瞬で倒してしまった。彼の動きはまさに超人的で、ゴブリンたちは次々と地に伏した。私はその光景に驚愕しつつ、彼の実力を目の当たりにした。
「え?うそっ…え?今なにが…」
何がおきたんだ今!?いまなんか囲いの中のひとがなんとかするだとかって言った次には…
「お前、普通ならあの数を見れば黙って静かに通りすぎることもできただろう?それでも戦いにくるなんてな。気に入った。」
ゴブリン(だった)達の囲いの方を向くとそこには白髪を後ろで束ねたイケオジの言葉がよく似合う男性が剣をしまいながらこちらを見ていた。
「俺の名はヴィルガルム。改めてなんだがお前よく逃げなかったな?ま、お前さんがどうしてようが何とかなったんだがな。一応礼を言っておく」
彼はニカッという言葉が似あう笑みを浮かべながら私に礼を言った。…いやあんなの助けたとは言わないと思うんですけどね…?
「あ…いや、正直あれを見せられたら助けにいったなんて思えないよ。むしろこっちこそ助かったよ。ヴィルガルムさん」
白髪のくそ強い爺さんは僕の中で山路和弘さんの声だ。間違いない。実際書く時もあの人の演じるキャラを頭に浮かべながら書いてました。