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住人志望のアルバ  作者: 星を見る猫
騎士団に入れた私
58/58

58.大・脱・出

 はぁ~…なんかもうすべてを忘れて寝てしまいたい。そのくらい気分が憂鬱としております。何やら周りの床やら壁やらがボコボコですが気にしないでください。私だってやりたくてやったわけじゃないんです。もう…頭がカーッとなって血がかっかっかっか騒いで胸の奥がむかむかむかむかむかーってなって抑えきれなかったんです。


 死んだ人?腹が立ちますけど丁重に埋めてあげましたよ。ほんと納得は出来てませんけどあの人もこうなることをやりたくてやったわけではないと信じたいので。遺書を見れば優しい人そうだなぁと


 …だからといってあの人が憎くないわけではないんです。そのためこうしてやりようのない怒りをついまわりにぶつけちゃったんですよ。いっそのことこれを作ったのがどうしようもない地獄の業火に焼かれるべきぐらいのクズだったら私も後腐れなく殺っちまえるんですが…今回はすでに死んでいるし人も悪くはなさそうなのが数倍タチが悪いんですよ。


 「もうなんなのさぁ…異世界に居るんだから善悪がはっきりするような展開で居てくれよ…なんでこうも後味も悪いししばらく引き摺りそうなことなのさ…」


 壁に背をつけながら項垂れる私はさしずめ「心の折れた戦士」といったところでしょうかはっはっはっは


 笑えねぇ…


 ほんとこんな調子だと私鬱になっちゃいますよ。とはいえ、ここでいつまでも落ち込んでいても状況は変わらないというもの…ただ時間が過ぎていくだけだといずれカイ団長達にも被害が出るかもしれません。


 やはりここは行動を起こすべきでしょう


 立ち上がり、壁から離れて光る玉を見据える。こいつをぶっ壊してとっとと終わらせてしまいましょう。


 …さすがに剣で壊そうとして剣を壊すなんてことはシャレにならないのでここは私自慢のこの肉体で破壊することにしましょう。派手にぶっ壊してやりますよ!


 武道の心得なんてものはありませんが、なんとなく右半身を引いてしっかりと助走をつけれるようにし…目標へ向かって走り出す!そのまま力を貯めていた右腕を目標へ!


 「スッキリできないオチにしやがってバカヤロー!!」


 ―――――――パリィンという大きな音を立てて光を放っていたコアは砕け散り、光は消えて黒ずんでいった。


 …よし、これで良かった…はず。これ以上こいつがここを守るためにアレコレすることはもうできません。…いざ壊してはみたものの心の奥が晴れないものですね。


 念のためにと心のモヤモヤが無くならないので壊れたダンジョンコア的な物体をされにこれでもかと粉砕☆しておく。意外とこういうのに再生能力というか放っておくと勝手にくっついて元通りなんてパターンもあり得ますしね。まぁ私が言うのもなんですが


 「…よし、帰りますか。こんなこといつまでも居ていられるか!私は家に帰らせてもらう!」


 あれそういえばここからどっち行けばいいのかな



 ―――――――――――――――――――――――――――――


  「な、なんだ!?急に揺れが!」


 アルバと別れてからかなりの時間が経ったころ、周囲が突然揺れ始めた。


 「こいつは…やばい!ダンジョンが崩落するぞ!急いで引き返さないと俺たちは生き埋めになる!」


 「お、おい待ってくれ冒険者!この揺れとダンジョンが崩れることに何が関係しているんだ?」


 焦り始める聡明の鏡筒の冒険者に対して騎士団の一人が問いかける。


 「コアが破壊されたんだ!ダンジョンってのはコアがないと存在できないもんだ…まさかこの遺跡がダンジョンだったとは…」


 冒険者の言葉に騎士団たちがざわめく。


 「団長!アルバがやってくれたのではないでしょうか!あいつが居なくなってからこんなことが起きるなんてきっとそうですよ!」


 いわれてみれば合点がいく。経過した時間から考えれば何か仕組みを見つけていてもおかしくはないと思う。


 「…そうだね。でもその肝心のアルバは?」


 カイの言葉に騎士団員の表情から喜びが消える。確かにそうだ。元凶を仕留めたのは分かるが彼はいったい何処にいる?


 「団長さん、悪いことは言わねぇ…俺たちはこのまま帰るべきだ」

 

 あまりにも無情な常な言葉に何人かの騎士が声を荒げたがカイがそれを手で制した。


 「…分かってる。みんな急いで通ってきた道を引き返そう!」

 「団長!アルバがまだ来ていないんですよ!?仲間を見捨てるというのですか?」

 「ここで待っていても私たち全員が生き埋めになるだけだよ。一人の命を救うのにそれ以外も巻き込むなんて…キミたちもわかっているでしょ?」

 「それはっ…確かにそうですが…」


 声を上げた騎士が苦虫を嚙み潰したような顔をする。


 「…私たちは生きてここを出ないといけない。帰ってこのことをレギルス様に伝えないといけないんだ」


 そう言いながら拳を強く握りしめる。団長としてとても不甲斐ない。こういうときに助けれない自分を呪いたくなる。


 「くそっ…」

 「みんな!撤退するよ!」


 自分の声を合図に来た道を引き返し始める。あまり気にしてはいられないが壁が徐々に崩れ始めているところや、無視していた罠が狂ったように動いているのを見ると本当に崩壊が迫ってきていることがわかる。


 せめてもの救いはその罠たちが道に影響を与えてこないことだろうか。壁際に偏っているので通路の中央を走る自分たちには当たることがないだろう。


 「騎士団長!前方から虫型の魔物が接近しています!」

 「…っこんな時に!」

 

 このタイミングで現れる?自分たちを逃がさないつもりか?いや、よくよく考えればあの魔物たちが現れていた時の状況は何らかの仕掛けで現れていたように制御されていた。一定の基準で出現していたことを考えるとあれもこのダンジョンの仕掛けに違いない。そうなると今ここにいるのは…


 「…『ハイドロカッター』!」


 剣の先に水の玉を作り、前方に固まる魔物たちを薙ぎ払うように剣を振ると剣の軌道にそって水が放たれる。


 この際魔力を温存する必要はないだろう。何度も魔力を込めて剣を振り続ける。


 「騎士団長が相手していただいているにしても数が多すぎる!」

 

 例えるなら既に水が溜まった桶に穴を空けたというところだろうか?事実何匹かの魔物は横の壁まで押し込まれて罠に巻き込まれているものも居る。明らかに想定外の動きだ。


 「みんな心配しないで!前からの魔物は私が全て倒すから!」


 魔物の方は何とかなるが、そういえば自分達が最初の方に遭遇したあの天井の迫る部屋はどうなっている?走りながら思考を巡らせる。


 「えぇ~っと!聡明の鏡筒の人!私たちが逃げてきたあの天井が下りてくる部屋ってどうなってるかな?はぁっ!!もしあのままだと帰れないってことなんじゃないかなっ!」

 「その点は問題ない!恐らく今この遺跡の罠は全てまともに動作していない!俺たちの予想通りなら今なら通れるはずだ!」

 

 なんともたよりのない返答に聞こえるが今は経験のある彼らの言葉を信じるしかない。少なからずとも自分たちよりもこういった場をこなしてきた数が圧倒的に違うのだから。

 

  …もしこれで完全に壊れていたらなんて考えるのはよくないね。はじめから弱気になってどうするんだ私!みんなまだ諦めていないんだ。みんなのリーダーの私が弱気になってたらそれこそ死んでしまう人がでるかもしれないんだ。


 「みんな!あと少し頑張ってついて来て!」


 私にできるのはただ敵を倒すことと団長らしく励ますぐらいなんだ。やれることはしっかりとやろう!


 魔物を斬り払うと開いた隙間から奥の様子が見えるようになる。似たような景色ばかりでわかりづらいがあの開けた空間はみんなが逃げこんだ部屋のはずだ。そうと分かれば!


 カイが魔物の群れの中へと飛び込むと、魔物たちは飛び込んできたカイへと襲い掛かる。顎をガチガチと嚙合わせる音や虫らしい耳障りな鳴き声が辺りに広がるがカイが剣を振ると同時に静寂となるがすぐに騎士たちから歓声が上がる

 

 「さすが騎士団長!」

 「あの一瞬で囲まれた魔物たちを!」

 

 「さぁみんな早く!」


 手招くカイの元へ騎士団一行はすぐに駆け付けるとその先には聡明の鏡筒の言う通りに一度床まで下がっていたはずの天井が元の通りに戻っているのが見えた。しかし、床や壁から伝わってくる振動からは呑気にしてはいられないことがわかる。


 「もたもたしている暇はないぞ!このまま出口まで駆け抜けるしかない!」


 冒険者の掛け声ですぐに足を早める。ちらりと入ってきたときに襲われた壁や床の罠を見る。


 床に仕込まれた槍のようなものは半分程度の中途半端な状態で床から出た状態で静止していて、壁の弩の罠は照準がおかしくなったのか方向を変えようと壁にガンガンと何度もぶつかってしまっているような状態だ。そしてあの凶悪な見た目の天井から吊るされた振りかぶる斧の罠は恐ろしいことに壁に深々と突き刺さったまま停止している。


 ひとまずは罠の心配はもうこれ以上は必要なさそうだ。残された不安の種は魔物だけだろうか?


 「うわっ!?」

 「な、なんだこの揺れは!?」

 「た、立っていられない…」

 

 突如として足元がおぼつかないほどの揺れが襲い掛かってきた。するとどうだろうか。今までは本当に崩れる様子までは見せなかった遺跡の天井が一部崩落していた。


 「危ない!」

 「きゃあっ!」


 一人の騎士に天井が崩れて襲い掛かるが、隣にいた騎士が突き飛ばしたことで事なきを得た。


 「大丈夫か!?」

 「な、なんとか…ですが足を…足首を挫いたかもしれません」


 鎧を着込んでいたこともあり、意図しない急な動きによって足を痛めたようだ。突き飛ばした方が落石に巻き込まれるといったことにはならなかったがこんな場所で足を負傷することはかなり危険だ。


 急いで駆け寄りブーツを脱がせると足首が赤くなり大きく腫れているのが見える。これなら回復魔法で治すことは出来るがこの状況だとそれはかなり厳しいことだろう。


 「ごめん!誰かこの子を背負える人居ないかな!」

 「俺が背負うぜ団長。荷物さえ預ければ運べる」

 「ウィルさん!お願いしていいかな」

 「任せろ。人一人を運ぶくらいの余裕ならまだある」


 ケガをした騎士の鎧を一部外し、騎士の一人にウィルフリットの荷物を持つよう指示する。3人ほど戦闘には使えなくなるがこの際自分がどうにかすればいい


 「すいません…お願いします」

 「うし、それじゃ持ち上げるぞ。ちっとばかしい痛いかもしれないが我慢してくれ」

 「ッ…!」


 ウィルフリットが背負うと騎士の顔は少し苦痛に歪む。ここを脱出した後にすぐに治療を受けさせよう。


 

 

下書きはまだ数話残っているんですけど一旦休憩いれてまた何話かまとめて投げます。毎日更新?できるわけねぇだろ、あんなんやってちゃんと面白い話作れる側の人間なんかそうそう居ないんだよ。


 いいなぁ…あんなん出来たら絶対楽しいだろうな…(うらやましい)

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