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住人志望のアルバ  作者: 星を見る猫
騎士団に入れた私
57/58

57.犯人は…お前ッ!?

 こちらアルファ通路しか見えないどうぞ。こちらベータ同じくどうぞ。こちらチャーリー、そろそろ飽きてくるんだがどうぞ。


 「長いってここ!もう今日さんざん歩かされてるからさすがにもういいよってなる!」


 ここまで長い通路ばっかりのダンジョンとか絶対クソマップって言われてるでしょ!しかも部屋があっても宝箱とかもないんだよ!?うま味ないのに?なんなんここ!


 よーしきっとゴールは目前!そう思って歩き始めたのにさっきから見えるのは壁床天井の石!石!石!石!石!石しか見えねぇよ!!もう私ちっせぇガキじゃないんだから石見つけたからって「石見つけた!」って親に見せびらかすぐらい喜ばねぇよ!いつまでも少年の心を忘れないつもりではあるけどガキ扱いするのはやめてよね!


 「っとと、あれは?奥に見えるのは…開けた部屋!」


 ようやくこの長ったらしいお散歩タイムに終わりが見えたそうです。くぅ~疲れましたwこれにて完走です!はじめは私のしょうもないミスから始まったのですが…無事なんとかたどり着けそうで良かったです!


 え?罠を超えた先に大事なモノを置いとくないだろだって?いやいやいやな~に言ってますかな。いいですか?こういうのはお約束なんですよ。回避不可能の罠=喰らわないとシーンが動かないフラグ=つまり正規ルート=私のこの道は一見寄り道に見えたのが実際は私の最短距離だったってことです。ですよね?ね?ね??


 「いやぁ~意識してないのにも関わらずショートカットしてタイムを縮めてしまうだなんて…ほんと自分が有能すぎて困ってしまいますなぁー!」


 もうこれ帰ったらどや顔で自慢してもいいとは思いませんか!ねぇ!ねぇ?

 

 …こほん、少しはしゃぎすぎました。ともかく、これは大きな手柄になりそうです。さっそく調査に向かいましょう。


 通路の入り口から顔をひょっこと出して中を覗くと何やら奇妙なものが目に入って…というか奇妙なものだらけですね。なんの場所なんでしょうか?


 部屋の中にあるのは何やら…生活感のある空間といいますか…いや正確に言うと”あった”が正しいですね。長年誰も使われずにいた。そんな空間が広がっております。木製のイスやらベッドやらテーブルなどなど、ひとしきりの家具が揃っていますね。価値?まぁ普通のとしか見た感じはわかりませんが高級そうではないですね。


 で、それとツッコミたいものといいますか…触れづらいといいますか…


 部屋の隅には天井から吊るされたロープと床にイスが一つ。そしてロープの先には…とてもおおきいなにかが吊るされていますね。そしてもう一つが部屋の中央の奥(イメージしやすそうに言うと文字を中央揃えにして一番奥にあるって感じです)の壁に埋め込まれた謎の光るオーブ的な物体。


 まぁまぁまぁ…なんとなーく察しがついてきたんですけど…ね?一応私の仕事なんで…


 「あー…えっと…これって…ロープ切ってもバチとか当たらないよね…?」


 ひとまずはこっちのほうから片付けますか…私は吊るされた物体の近くに空いたイスを移動させ、上に乗ってロープを慎重に切り落とした。


 「うひっ!?やべやべやべ…案の状バラバラになっちゃった…」


 ロープから解放された物体は重力に従って床へと落ち、カラカラと小気味いい音を立てながら一部がバラけていった。はーこわいこわい…人の死骸なんて見るのまだ片手で数えるくらいなのに…


 え~察しの良い方はとっくに、そうでない方もなんとなくは分かったと思いますが…死体が吊るされておりました。まぁなんといいますか…吊るされたというよりは”吊った”なんですけども。


 「なーんでこんなところで自殺なんてしちゃってるんですかねぇ…やっぱりここに関係はしているってことなのでしょうか。…しかも嫌なことに服装が…」


 この服ってさぁ…絶対日本のものだよね。パーカーにスウェットって…確実にこの人も転移してきたって人だったんだろうなぁ…成仏してクレメンス。ふむむむむ…なんかこう都合よく遺書でも書いて…ありそう!テーブルの上に本らしきものが置いてあることに気づきました!


 さて何が書かれているんでしょうか。本を手に取って開いてみるとまず目に入ってきたのは日記のような内容。ある日突然ここにやってきてどう生きていけばいいのか…ほうほう


 ページをめくっていくとこの本の持ち主の末路がなんとなく読めてきた。どうやらこの遺跡は彼がスキルで作ったものだったようだ。正確には自分だけのダンジョンを作り出し、管理することができるようで、騎士団を襲ったあの罠などもそのスキルによって生み出された物らしい


 ただ、元からあのような罠ばかり置いていた訳ではなく、初めのうちはレッサーリングやスライムといった魔物たちが攻め込んできたのを精々防ぐ程度の規模だったようだ。簡単な落とし罠などで魔物を倒し、倒すことによってこのダンジョンを拡張したりすることが出来るポイントが手に入っていたそうだ。部屋の置いてあった家具の類もおそらくはそれによって手に入れた物だろう。


 そして…あるときにダンジョンの外の様子を見に行こうとしたさいに大規模な盗賊団とばったり出くわし、慌てて逃げ込んで無我夢中でダンジョンを拡張していたら自分でも把握しきれない規模になってしまったようだ。そこから盗賊団が襲い掛かってくるのを撃退していたが、ダンジョンの様子が分かる仕様のせいで盗賊団員の悲鳴や罠に掛かる姿を見て精神が摩耗。そしてそれが続いたことによって…


 遺書日記をパタンと閉じる。ちなみに最後らへんはなんかもう読むのも躊躇いたくなる具合だったので深くは読んでいません。あんなん読んでたら私まで頭おかしくしますよ。


 「…まぁかわいそうですけどもう亡くなっていますし…」


 私は亡くなった人から目線を壁に埋め込まれたオーブに移す。どうやらこれがコアのようで、主人がこのコアに大まかな罠の要望を伝えるとポイントを消費して作成してくれるらしいです(by遺書pedia)。で、こいつ若干の自我というか考える力があったようで主からもうここに誰も入ってこれないようにしてって言われたときにステルス迷彩ちっくな仕組みを作ったんですかね。でそれが最近になって経年劣化とかで壊れたとか?真相は不明です。まぁともかく命令を実行できるように自分なりに考えてはいたみたいなんですね。だから主人が居なくなってもずーっと命令通りにここをこのオーブが守ろうとしていたみたいです。あとは自分なりにこう改良すればいいんじゃないかとがで出来上がったのがやたら殺意の高いわな…まぁこれは私の予想ですけどね。


 はーそれにしてもね。もう言っちゃっていいですか?


 「ふざっけんなよクソがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 私の叫びと地面を殴った音が静かな遺跡の中に響き渡る。


 「ここまでやってきて犯人はすでに死んでいるってオチとか絶対ありえないだろぉッッッッ!!!」


 お前まじでふざけんなよガチでさぁ!?いいか!?私たちはここにやってきてから何人仲間を失ったと思ってる!?10人だぞ!?それに騎士団だけじゃない!こういった素性のわからないことをギルドから直接依頼されて調査しにくるような冒険者のパーティーメンバーもだぞ!?それだけの犠牲を払った末にたどり着いた最後がすでに死んでいるヤツって…


 私たちの怒りは一体どこに向ければいいんだよ!?なぁ!?ここに来るまでに死んだ人たちになんて言えばいいんですか!?


 町の巡回を一緒にやったあの人も…ちょっと真面目すぎたあの人も…彼女さんとの自慢話をしてくれたあの人も…みんな死んじゃったんですよ!?それなのに…それなのに…こんなオチは無いでしょう!!!


 こんなのだって…あんまりじゃないですか…これじゃ…死んだ人たちがバカみたいじゃないですか…報われませんよ…こんなの。


 


 

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