56.ボッシュートになります
前回までのアルバの冒険は…使える主の領地に突如として発見された遺跡を調査しにきた我ら源流騎士団。遺跡に入るといきなり起動していたらどこに飛ばされるか分かったもんじゃない転移罠のお出迎えに、それを乗り越えたあとには殺意マシマシ性根腐りめの罠の数々に襲われるなど波乱万丈!冒険者時代に尊敬(一方的)していたパーティーの人たちも死んじゃうし同僚も何人か死んでしまって大変!私たちこの先大丈夫かなぁ…まぁでもきっとどうにかなるよね!!さぁて今日もお仕事お仕事!今日も元気に!レディーゴー!
うん、ところでここはどこなんでしょうか。私の記憶が正しければね。私って仲間たちと一緒に居たと思うんですよね。周りを見るじゃん?だーれもいないの。
はい?最初のアレはなんだって?あれはね…現実逃避でございます…
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!なんでこの世界は私をボッチにしたがるんだぁぁぁぁぁ!!!」
アルバの悲鳴は無情にも古びた遺跡に木霊するだけであった…それはそうだろう今彼が居るのは先ほどまで彼が歩いていた地点から数十秒落下してたどり着いた場所なのだから。
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―ときはさかのぼること…あぁ待って、そこまで昔ではないですね。…4、5分程度?おおよそなんですけどそれぐらいですかね…
アルバ達は変わらず謎の深まるばかりの遺跡の奥へと進んでいた。騎士たちの顔には若干の疲労の色が見えているが足を止めるほどでもないといった様子だ。少し前に多くの蟲型の魔物たちを撃退したが奇妙なことにある一定の距離を進む、もしくは特定の部屋を通るたびに魔物が一定量波のように押し寄せ、不意にピタッととまる。本来のダンジョンならあからさまに不自然な挙動だと言える。
そもそもこの遺跡自体不自然なことで溢れているのだ。床から飛び出してくる槍や斧を宙に吊るしたようなもの。さらには弦を引く者の姿もなく一人で二動きだし矢を放つ弩など知性のある魔物が住み着いたなどでは説明のつかない構造となっている。
そんな中一つ考えとして浮かぶのは外部からの人間、それも軍事やこういったカラクリの類に詳しい人間がたまたまあったこの遺跡を改造して根城としているかだ。仮にそうだとするならば騎士団にとってはかなり厄介な問題だと言える。まず領地に今の今まで発見さえされてなかった遺跡に住んでいるという時点で怪しいのだが、ここ数カ月はそういった箇所に住んでいる人がいるという話が仕えている領主の耳に入っていないのだ。となると住んでいるであろう人間は”やましいこと”をしている者である可能性があるのだ。さらにいえばその者が仮に他国の人間だとすればそれはもうここの領内だけで解決できる問題ではなく、国家レベルの話となってくるのだ。
「ええと…これで何回目でしたっけ?ウィルさん」
「そうだなぁ…ざっと7回ってところか?」
顎に手を当てながら考え、口に出された言葉にアルバは思わずため息をつくかのように身体を上下に揺らした。彼の面白いところは本当に表情もなく息もしない存在なのかと疑いたくなるほどのわかりやすさだ。何人かの騎士はいまだにあの兜のバイザーを上げると中から人の顔が出てくるのではと考えているものだっている。
「これがあと何回続くんですかねぇ…私は魔力にはまだ余裕があるんで問題ないのですが皆さんは少なからずとはいえ消耗が残りますよね?…まぁあの程度ならそう皆さんを心配するほどではないですが…」
「そうだな…アルバの言葉も一理ある。一刻も早くケリをつけてしまわないとな」
アンデッドであるアルバからすればいくら戦闘が起ころうが魔力さえあれば他に消耗するものはないので襲撃が来る分には特に問題はない…が、他の騎士団員は”人間”だ。戦い続ければいずれ疲労は蓄積していくし、アルバのような魔物のように簡単に傷を直すことや魔力を補給する手段は持っている方が珍しい。回復は魔術に頼るかポーションに頼るしかなく、魔力に至っては今ここにいる者たちだとポーションしかないようだ(尚1名桁違いの者はいる)
つまりこっちはじり貧になるだけなんですよね~このままちんたらしてるとね
よって私的には早急にここを踏破してしまいたいのです。もうこれ以上誰かに死んでほしくない。
「よし、それでは私は少し偵察をしてきます。偵察って言ってもほんと顔出して覗いてくるぐらいですけど」
「大丈夫か?騎士さん。なんだったら俺がついていこうか?」
スキンヘッドの冒険者さんが立ち上がった私を見てすぐに声を掛けてきた。名前は知らないけど、聡明の鏡筒の人!(名前聞いてなくてほんとごめんなさいと心の中で謝る)
「あ~…そうですね……いえ、大丈夫です。少しだけ見て何かないかがわかったらすぐに帰ってきますので」
「そうか。だが、気をつけろよ。ウチはカシラがやられたんだ…ここは今までのダンジョンとは一味も二味も違う」
「肝に銘じておきます」
腰から剣を一度抜いて刃の調子をチェックして…とよし問題なし。使ってた自分が言うのもなんですが結構荒っぽく扱っちゃったんで刃こぼれしてないかなと思いましたがそうでもないみたい。軽く研いであげれば元通りってこと!
「私だって元々は冒険者やってましたから。他の人よりは罠への警戒心はあるほうですよ。なめてもらっちゃあ困ります」
スキンヘッドの冒険者は一応なと付け足すと残った仲間のほうへと戻り何やら話し合い始めた。まぁ私なんてね?ちょいとばかしドジやっても簡単にくたばるような身体してないんでね?多少ムリしてでも情報取って本職の人たちにそれを流しておきたいんですよね。犠牲が私だけになるという点もありますけど
「ではちゃんと情報持って帰ってくるので!」
休憩している人たちへと声をかけ、通路へと移動しはじめる。灯りが無く、普通だったら足元だけがおぼろげに見えるなんて状況になるだろうがご生憎さま私は暗視スキル持ってますんでね。夜道でも視界は良好!
――――――――――ふと足に妙な感覚が走る。
「うん?」
視線を足元に向けると自分の踏んだ床がタイルごと少し沈んでいる。…そう…たとえるなら何かのスイッチのような…スイッチ?スイッチ…スイッチ…?…………!?っ!?スイッチ!?!?!
あっと思った次の瞬間には身体にふわりとした感覚とゆっくりと視線が下へと下がっていくのが分かった。
「嘘でしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!」
「アルバ!!」
あれ、なんでかな…カイ団長が見たこともないような焦り顔でこっちに走ってきてるし…なんかどんどん視界がおかしくなってきてるんだけど……あぁそっか、今の私って…落ちてるのか…
「団長ごめんなさいぃぃぃ!後で追いつきますぅぅぅぅぅ!!」
私はそのまま叫び声と共に下に下に落ちていった…ま、こういうことがあったんですよね。ははっやべぇまじでどうしよう
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あ、カット回ってきました?とまぁそんな感じでまた私がドジやったんですよね。いやぁ~あれはほんと怖かった。レジャー施設とかにあるやたら急なウォータースライダーみたいなのを水無し落下オンリーで味わうだなんて…危うくショック死するところだった。心臓がなくてほんと良かった!
ちなみにそのあとのオチとしては当然勢いを和らげる方法も思いつかずにそのまま叩きつけられて地面と熱いキスをしてレゴブロックみたいにバラバラにされました。ふ~危ない危ない、私がなまものだったら危うくCEROがZ(GOREな方)に引き上げられてノクターンノベルズ行きになるところだったぜ。残酷な表現も度が過ぎたらもうそれグロ系やんて苦情の入るレベルのね。もうBIOなハザードって感じ
いやほんとにね…マジで終わったかと思いましたわ…あまりにも派手に砕けたんで「これは…キャラエンドか?」って一瞬考えましたよ。ほら、あそこの床見えるでしょ?石づくりのレンガみたいな床だと思うんですけどみごとに凹んであちこちに破片が落ちてるでしょう?いやあれ私のじゃなくてレンガのほうね。私の破片は全部くっつけたから。
「はぁ…私いったいどこまで落ちたんだろ…あの穴結構長かったからなぁ…そう簡単には戻れなさそう」
かなりの距離を移動したのだが辺りの景色は変わらずのレンガで出来た遺跡といったもので変わらない。当然建造物なのだから突然材質が変わるだなんてことはそうそう無いのが普通なのだが…
「…おや?」
なにやら変な物が落ちてますね?なんですかねあれ。なんか…変わった形の…石かな?
見渡す最中に地面に興味の惹かれるものが落ちていることに気づく。近寄って手に取ってみると少し見覚えがあるものに見えてきた。
「ん~…硬い?ってあぁっ?簡単に欠けちゃった。硬いけど結構崩れやすいんだ…ってこれもしかして…パン?」
何故にこんなところにパンが?てかこれ完全にカビてますやん!もったいないなぁ…さすがに私でもこんなのを拾い食いする気にはなれませんよ。かわいそうに…
「おーよしよし…ずっと一人ぼっちだったんだね。辛かったね…寂しかったね…大丈夫私がここから連れて行ってあげるからね…」
よしよしと撫でると削れて灰色と黒緑が混ざったようなパンが削れて粉が宙を舞った。こいつの名前はパン太と名付けよう。きっと気に入ってくれているはず
「しかしここにきてパンを拾うかぁ…ってことは近くに知性ある何かが居るということでいいのかな?野生動物…じゃなくてただの魔物ならパンなんて口をつけようと思わないし」
もしかしたら大きな手掛かりに繋がるかも?そんな気がしてきました。こんなところに居るならそれはきっと被害者かここの黒幕に違いない。うんきっとそうだそうに違いない!ここにきて怪我の功名!(あれ使い方あってたっけな)
「それにこのパン太が落ちていたさきに繋がっている通路なんてめちゃくちゃ怪しくない?もうこれ確実に何かはいるでしょう。…犯人だったらとっ捕まえてやればいいんです」
いざ突入!




