43.魔物掃討
説明しよう!!タイダルナイツの現団長カイ・ルーシュ様とは!!!
アグレッシブ過ぎてどこにいるか分からない。若干のバトルジャンキー疑惑。事務仕事貯める癖のある。百合ウケしそうなイケメンガールである。年齢にして24歳。若い。
片手剣と水魔法を使いこなす天才レベルの戦闘能力。勘の良さ。困っている人は放っておけないと絵にかいたような騎士団長である。私の上司!!
だがやはり世の中に完璧は存在しない。このお方…事務仕事やらないのが困りどころなのである!!
この前なんか…
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「アルバ。団長がどこへ行ったか知りませんか」
疲れた顔をした眼鏡を掛けた賢そうな女性。このお方。タイダルナイツ副団長にして…タイダルナイツ屈指の苦労人のレイナ・リードヒ様である。この騎士団の事務官と勘違いされそうなほど事務仕事をしているすごいお方だ。
「いえ…治安維持から戻ってきたばかりなので分かりません」
「…そうですか。もし見かけましたら教えてください。というか団長室に引っ張ってきてください」
「…もしかして…?」
「えぇ。溜まっています。それもかなり」
あー…
「…分かりました。私の方からも他の団員に声を掛けてみます」
「お願いします」
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あのときのレイナ様はかわいそうだと思ったな…もし私が団長になるようなことがあれば…ちゃんと仕事しよう。うん。ちなみにあの後素振りしてたら団長が話しかけてきたのですぐさま団長室へ連行しました。
とと、そんな話をしている場合じゃなかった。今日は森に行って魔物を討伐しに行ってきます。かっこよく言うと掃討。ダサく言うと間引き。そう、これこそレギルス様がこの地に任命された理由の一つでもある。この森、ベルミアのと比べるとそりゃあもう危険度が違うわけなんですよ。よくあるじゃんぱっと見おなじ森に見えるんだけどいざ入ったらやばいのしか居なかったとか。
そして私アルバ。この任務はお初です。緊張半分興奮半分です。
今回の私の役割は魔物との戦闘。花形だね。ほかにも周囲の索敵や警戒を担当する役割もある。それを10人で行う。…うん、個人的にはちょっと厳しくない?って思うけど強くなるためには仕方のないこと
森の入り口に到着すると各自チェックを行う。本部から出発する前にもやってるけどこういうのはしつこいぐらいやっておかないと何が起きるか分かったものじゃない。愉快な遠足に必要な物を忘れていったら死ぬほど怒られたなーんてことだってあるしね。
「各員問題はないか。無ければこれより今回の任務について再確認を行う」
小隊長から今回の討伐任務について説明を再度受ける。
私には関係は…あんまりない話だけど今回は回復魔法を使える人がいるとのこと。みんなケガしたらすぐに回復するようにね。
それから私たちは森の中へ入っていった。前回来たのは4月ほど前のことらしいので今じゃ枝も草も生え放題!偵察役の騎士達が文字通りバッサバッサと伐採して(激ウマギャグ)道を確保していく。ルート確保も偵察の仕事なんだね。初めて知った。そして私はそんな道をワクワクしながら進んでいく。
(子供の頃を思い出すなぁ…こういう木々の道を通ると必ずテンションが上がるんだ。探検している感があって)
「出たぞ!ワイルドボアだ!子連れだぞ!」
先導の騎士から声が上がる。ワイルドボアは体長おおよそ2.5メートルぐらいのでっかい猪型の魔物だ。こいつがまた結構凶暴で猪だから鋭い牙もあるから厄介な相手だ。しかもこいつ時々森から出てきて畑を荒らすこともある害獣だ。さらにさらに今回は3匹という家族旅行中のようで母親らしき個体はとても気が立っている。
「各員散開!ワイルドボアを逃がさぬよう取り囲め!」
小隊長の指示に従って私も動く。そして…なんというか、さすがと言いたくなるほどスムーズに個々が役割に分かれる。陽動役が正面に立ち、私たち攻撃役がその後ろやワイルドボアの後ろに陣取る。
そこからは作業だった。陽動役に食いついたボアを囲んで叩く。妻を助けようとこちらへ来たところを叩く。最後に残された子供を仕留めてあっさりとフィニッシュ。うわ、経験値一応入るんだ。ちょっと殴った程度だけど。
ただちょっと母親の暴れっぷりが見事なもので陽動役の一人がケガをした。いやほんとあんなのよくやったなぁ
「すぐに治療します」
「すまん」
回復役の騎士が負傷した騎士へ駆け寄ると、ケガの上に手をかざし、呪文的な言葉を呟くとキズが緑色の光に包まれて徐々にキズが塞がっていった。何気に回復魔法を見たのは初めてかもしれない。攻撃魔法はベルミアに居たときにたまたまであった冒険者の一人に見せてもらったけど。
「よし。問題ない」
治療を受けた騎士は手を握ったり開いたりして力が入るかを確認すると問題ないと言った。(あれ定番だから私も言ってみたかったんだけどなぁ)
そして討伐したボアは気づいたら解体が終わりかけていた。猪ってどういう感じなのかな。豚をもっと淡泊にした感じなのかな。筋っぽいとかかな。みんなの反応を見る限りだと美味しそう。
解体も終わったのでマジックバッグに詰め込んだら任務続行。変わらずに偵察、陽動、戦闘(in私)、支援、偵察の構成で移動する。資料でみた感じワイルドボアってCランクぐらいはあったと思うんだけどなぁ…こうもあっさりと倒せるとは。
「ワイルドボアだ!今度は1体だ!」
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しばらくの間歩きまわって魔物を探したけど今の所は猪を追加で3体見つけた程度だった。猪しかいねぇのかよこの森。どこもかしこも豚ばっかりで文句言いたくなるよ。ブー。
「一度休憩に入るぞ」
小隊長の指示で遅めのお昼休憩。前と違って今の私は食べないといけないので準備を手伝う。燃費悪いんだこの体。
「すまないアルバ。薪になりそうなものを探してきてくれないか?」
「いいですよ」
「じゃあ俺も手伝うぞ」
こうして私ともう一人の騎士は薪探しに行くことへ。こういう時ってできるだけ枯れてるやつのがいいんだっけ。
「私は薪拾いををするのは初めてなのですが、このような時は乾いているものが良いのでしょうか?」
私が一緒に来た騎士に聞くと何故かぎょっとされた。
「お前…分からないのに受けたのかよ」
「いえ、私なんかにできることなんて限られていると思ったので任されたからにはと」
「あー…そういうことか。そうだな…簡単にだが、折るとパキッとなるヤツが良いぞ。あとは重さとかいろいろあるんだが…とりあえず拾っていけばいいさ」
火の番をしているやつは詳しいから選別してくれるさと言ってくれたので使えそうなものをかたっぱしから拾っていく。お、これいい形じゃん。剣みたいだ。
「そっちはどうだ?俺は手に持てる分は拾ったが」
「見てくださいこれ。サーベルみたいでかっこよくないですか」
「まじめにやれ」
「ハイ」
怒られたのでちゃんと探します。そうは言っても結構見つけたんだけど…全部は持てないかな…あ、そうだ。
「少し私にいい考えがあるのですが」
「なんだ?」
「私の中に薪を入れて運ぶのってどうですかね?」
「それ間違えて食うとかないよな?」
「私文化的な食事が好みなんで」
兜を外して鎧の中に拾った薪を詰め込んでいく。結構入るなこれ。
「うん。大丈夫ですね。食べてません」
「じゃあ俺のも頼む」
二人分の薪を物理的に腹に収めたので元のキャンプ場へと戻る。が、何やら様子がおかしい。私達は顔を見合わせると、もったいないが薪をすべて捨てて駆け出した。




