37.頭に流れる序曲X
一章の終わり的な?話です。まだ続くよ!多分失踪しないから!!打ち切りしないから!
持ち物チェーーーック!!剣!研いで貰ったので良し!!鎧!昨日ピカピカに磨いて貰いました!嬉しい!小道具!!ロープランタン研ぎ石に布4枚!布っていうか雑巾!財布!全財産47ゴルに38シルと200カル!買い物用に両替しておいた私偉い!そしてこれだけはどうしてもギルドに返せなかった特別なマジックバッグ(小)の中に願い鉄ヨシ!ちゃんとある!落としてないね私!!おっけー!これで行ける!
普通の冒険者からしたら異常なほど軽装だよね私。だって飲食関係は必要無いしポーションは無くても自前の回復あるしね。…ほら私、アイテムボックスは無いから…余計な物持ち運びできないから…うん。
じゃあ荷物持って移動開始しますか。腰にマジックバッグを付け、そこへ小道具と財布、ライセンスをしまって、首に小さいマジックバッグを吊るして…っと。
それじゃあ、行きますか。
ドアを開けてギルドのメインホールに出る。この空き部屋にも長い間お世話になったなぁ~。…大丈夫かな?今になって昨日した掃除のやり残しがあるとか不安になってきたんだけど。いやいやいや、大丈夫だって。だって私あの部屋で飲食はしてないし、ごみが出るようなことはやってなかったはず。床とか拭いてホコリも綺麗にした。ギルドの人からも何回も確認してもらってオッケー貰ったから…大丈夫だ!きっと。
メインホールに出ると相変わらずの賑わいが待っていた。依頼掲示板の前で依頼と睨みあいをする人。目を細め、真剣な表情で掲示板を見つめる姿が印象的だ。地図を広げながら作戦会議をしているパーティー。テーブルいっぱいに料理を並べて達成祝いをしているパーティー。お互いに装備を見せ合っているところに、パーティーの構成で相談しているところ。酒場の方を見れば、いつも通り時間関係なくガヤガヤと騒いでいる人達。大声で話し、笑い声が絶えない。受付には今は列は無く、珍しい空いた時間を職員同士が会話をして過ごしているのが見える。彼らの笑顔からは、しばしば緊張感の中で働く職員たちの安堵が感じられる。
…いろいろあったな。って、これで終わるわけじゃないんだからこんなしみじみしてられないな。私にはまだまだこれからがあるんだから。
「お?アルバじゃねぇか!とうとう行っちまうのか?」
酒場から私がいる二階の方へと声が飛んでくる。その言葉をきっかけにおのおのやっていたことを中断して私の方に視線が集中する。
…なんかきまずくなるからそれやめてくれないかな
「えぇ。心と荷物の準備ができたので出発しようと思いまして」
返事をしながらも階段を降りていく。階段の音が響く中、視線が痛いほど集まってくる。だからそんな私のこと見んといて恥ずかしい。
「おーいみんなー!アルバの野郎がついに出ていくらしいぜ。盛大に送ってやろう!」
えぇ…いやほんと恥ずかしいからそこまでしなくてもいいのに…
どうやら私は思っていたよりもここのギルドに受け入れられていたようだ。みんな席から立ってメインホールの中心に集まってきてしまった。笑顔や涙ぐむ顔、さまざまな表情が交じり合いながら、私に向けられる暖かい視線に心が揺れる。ひん(泣く音)
「え、え、え、なんですかなんですか」
私が困惑していると、集団の中から私によく馴染みのある面々が出てきた。
「マスターに…クレハさんとマサトくんじゃないですか」
何が始まるんです?
「アルバ。もう行くのか」
ギルドマスターが静かな声で話しかけてきた。表情には複雑な感情が浮かんでいる。
「はい。やっぱり私には外が気になってしまいまして…」
「ふふふ。だからいったじゃないですかギルドマスター。今更止めようと思ってもアルバさんが止まる訳ありませんよ」
クレハさんが笑顔で言った。彼女の目には温かさと優しさが溢れている。
「ですね。アルバさんって確かにこういうときには僕たちでも止められる気がしません」
なんだ二人そろって人のこと暴走機関車みたいな扱いして。怒るぞ。
「酷い言われようだなぁ…」
「アルバ。お前が来てからここはより良くなったと俺は思っている。お前が見せた学びに対する姿勢。依頼の種類を選り好みしない姿勢。行き詰った新米に対する指導。どれも俺が前々から更に改良できないかと考えていたことだ」
う~んそれどれも異世界に来たからテンションが上がってやっただけなんだよな~…
「そんな…私は別にそこまで大層なことはしていませんよ。ただ私がやりたいと思ってやったことですし…」
「ふっ。初めにお前を見たときはどんなろくでなしかと思ったが、今じゃギルドで一番信頼されている冒険者になりやがって」ギルドマスターは微笑みながら言った。
えまって、ギルドで一番????私が????うっそだー。
「ギルドで一番?私がですか?そんなバカな…私よりももっと活躍している方とかいるではありませんか。ほらあそこの人たちとか」
私が酒場側にいる冒険者たちに指をさすと、その冒険者たちは何故か肩をすくめた。
「俺たちは依頼こそこなしているが、お前ほど人のためになる依頼をやっちゃいないし、新人にものを教えるってのもやってなかった。お前ぐらいだぜ?あそこまで新入りに優しくするのは」
いやだって…初心者には優しくして沼に沈めるのが常識じゃん…
「ぼ、僕もアルバさんにはすっごくお世話になりました!アルバさんのおかげで下調べをすることとか大事なこといっぱい教わりましたので!」若い冒険者が感激の表情で言った。
「私もです!」もう一人の若い冒険者も同じように答えた。
以前新しく入ったとても若い男女の二人だ。なんでそんなことしたかって?いやぁ~…だって話しかけられちゃったし、後輩ってかわいいものじゃん?理由も私が強そうだったからっていうかわいい理由だし。
「よくわかったか?自分の評価が」
ギルドマスターが腕を組んで口を開いた。
「アルバ!」
「アルバさん!」
「「「アルバ!」」」
うっ(心肺停止)やめろマスター。その術は私に効く。
「…私って、こんなにも受け入れられていたんですね…」
胸の奥がギュッとなる。目の辺りが熱くなるような感じがする。
「…どうした。急に俯いて」
「いやちょっと…胸の奥がジーンってなるのと皆さんからの暖かさのダブルパンチでちょっと顔が上がらなくて…」
最終回かよ…私的にはまだまだ1クール終わってないんだが…
「ふふふ。これで最後のお別れになるわけじゃないんですから。そんなに気にされると困ってしまいますよ主にギルドマスターが」
「な…!?」ギルドマスターが驚きながら顔を赤らめた。
ふ~ん?
ツンデレか?
思わずマスターの方へ目線を向けると露骨に目を逸らしていた。なんだよ。結構かわいいところもあるじゃねぇか…
「…俺はただ、仕事ができるやつを逃すのが惜しいと思っただけだ」ギルドマスターが照れくさそうに言った。
「とかいって照れ隠ししちゃってー!」クレハさんがからかうように言った。
「クレハ!」
「きゃー。マサトくん助けてー」クレハさんは笑いながら逃げるように言った。
「ぼぼぼぼぼぼ僕ですか!?」マサトくんは驚きながらも、微笑んで答えた。
三人のやりとりに気づけばギルドの中は笑いに包まれていた。
……別に泣いてねーし!!アンデッドだから泣くことなんかねーし!!ただちょっと…さっき切ったタマネギが目に染みただけだし…あ~辛いわ~…
「まぁなんだその…外に行ってもいつでも帰ってこい。お前みたいなやつの席ぐらい開けといてやる」ギルドマスターが優しい目で言った。その言葉には温かさと信頼が感じられる。
「そうだぜアルバ!いつでも戻ってこいよ!また俺たちと飲もうぜ!」別の冒険者が笑顔で続けた。
「エールの一気飲み対決もやろう!」別の仲間が楽しげに言った。
「…まったく、私アンデッドだからどれだけ飲んでも酔っぱらわないから毎回私が勝つじゃないですか」
「ちげぇねぇ!」
「お前ら…まだ俺が喋っている最中だろうが。…こほん。だからな、アルバ。」ギルドマスターが少し照れくさそうに話を続けた。
「胸張って行ってこい。ダメだったら遠慮なく帰ってこい」
「…はい!」
私は力強く返事をした。
その時、私の中に無いはずの心臓が大きく鼓動したような気がした。
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「冒険者一人にここまでの見送りは少し豪華すぎでは?」
私は驚きながら門からベルミアの町を見ると大勢の住民と冒険者の姿が見える。漫画とかで見る王都のパレードほどではないけど、感動的な光景だ。ここまでの人に見送ってもらえると逆に恥ずかしくないね。いっそ清々しい。
「…ギルドからは特に依頼はしてないんだがな」ギルドマスターが困惑しながら言った。
「「「アルバさ~ん!!元気でね~!!」」」
住民の方々からの声が聞こえてくる。うん、悪くないな。芸能人にでもなったような気分だ。実に満足である。
「大丈夫ですか?忘れ物とかないですか?今ならまだ間に合いますよ?」
クレハさんが心配そうに尋ねる。
「クレハさん不安になるので辞めてください。これでも出発前に7回は確認してきたんですよ」
「…あれ?そういえば何か足りないような…」クレハさんがわざとらしく考え込む
!?
「え!?」
「うそうそ、冗談ですよ」クレハさんが笑いながら言った。
「…」
危うく頭が飛び上がるかと思った…クレハさん、恐ろしい人!
「ちょ、ちょっと出鼻をくじかれましたが…これでとうとう一旦のお別れですね」
「どうせすぐ戻ってくるんだ。寂しいとは言わんぞ」
「酷くない?」
「こーら。ギルドマスター。あんまりアルバさんをからかうと拗ねて帰ってこなくなりますよ」
「それもそうだな」
「ねぇ酷くない?」
「あ、あはは…アルバさん。気を付けてくださいね。無事に帰って来られること、僕は祈ってますから」
うぅ…マサトくんの優しさは宇宙一やでぇ…裏表ない優しさが心に沁みる…
「ありがとうございます…マサトくん」
「が、頑張ってください」
「はい。私なりに頑張ってきますよ」
…ふぅ、よし。心の準備は整った。
「それでは皆さん」
私は一礼して、門から平原へ向かって足を踏み出す。いつもよりも草を踏みしめる力が強く感じる。いや、踏む力が強いというよりは…自信を持って歩けるからかな?
「いってきます」
「「「「いってらっしゃい!」」」」ギルドの仲間たちや住民の皆さんが一斉に声を上げた。
「いつでも帰って来いよ」
声援を背中に受けながら走り出した。吹き抜ける風、私の歩くところから飛んでいく虫、後方から聞こえてくる声。…この旅立ちって感じが私は大好きだ。頭の中にどことなくファンファーレやらオーケストラやらが聞こえてくる。そうだ。この感じを私は知っている。
ドラゴンなクエストだ。
勇者の冒険が今始まる!なんちゃってね。
総合ですがユニークアクセスが200を突破いたしました。興味を持って読んでくださった皆さんには感謝しきれないです(正直心の中ではウケなくていってユニークが行って10ぐらいだと思ってました)今後も頑張っていくので…よければ…ブクマとかってどうですかね…?あ~…そのぉ~…やっていただけると自分が泣いて喜ぶのとモチベが上がります…あと評価なんかも頂けると…すいません調子乗りました。




