27.閑話 転生者:坂本健司
俺の名前は坂本健司。どこにでもいる普通の高校生だ。趣味はゲーム。これも普通の高校生らしい趣味だ。そんな俺だが、ある時とんでもないことにあってしまう。
それはいつものごとく登校するために俺が歩いてる時だった。
「今日も変わらないな~…なんかちょっとした事件でも起きないか…退屈すぎる」
そんなことを考えたのが間違えだった。突然歩いている俺の後方からでかいクラクションが聞こえた。始めは誰かが弾かれそうになったのかと気にも留めなかったが、なにやら周りの人達が騒がしい気がする。
その瞬間、俺の体は宙を舞っていた。あまりのことに何が起きたのか分からなかった。気づいた時には俺は地面に寝ていて全身にとてつもない痛みが襲い掛かってきた。
「ッッッ!?」
息ができない 痛い 寒い
なんとか立ち上がろうと思っても足に力が入らない。足だけじゃない。腕も顔も、首を回すことすらできない
俺は死ぬのか?
死にたくない…
俺が最後に頭に浮かべたのはその言葉で最後だった。
気が付くと俺は見たこともないような平原で寝ていた。
「ここは…それに俺は…なんで生きて…」
胸に手を当てると心臓の鼓動が伝わってくる。俺は生きている。
周りを見渡すと、俺が住んでいた地域には無いような見事な草原が広がっていた。空には鳥のほかによくわからない生物が飛んでいる。道のように草が無い場所には何故か馬車が走っている。何故今どき馬車なんかが?
辺りを見渡していると突然軽い頭痛に襲われた。
「いっっ…た…なんだこれ…スキル?レベル?なんだよこれ…」
頭の中にいきなり俺の知らない知識が流れ込んできた。スキルにレベル…これって…
「まるでゲームみたいじゃないか…」
『ステータス』
頭の中でそう呟くと俺の目の前にゲームによくあるウィンドウが出る
ステータス
名前:坂本健司
種族:人間
レベル:1/50
称号:転生者
スキル
魔銃使い LV1/20:魔銃を扱うことが出来る。魔銃は使用者の意思で呼び出せる。魔銃は使用者の魔力を弾丸へ変換し発射する。魔銃は使用者と共に成長し強化されていく。オマエダケノスキル
アイテムボックス LV-:モノを収納することが出来る。入れたモノは入れた状態で固定される。
鑑定 LV-:使用した対象の情報を知ることが出来る。種族もレベルも、名前も。
アーツ:
スナイプ:精度を上げた射撃。弱点を狙うことで威力が上がる。他のアーツと併用可
クイックドロー:魔銃を高速で構える。他のアーツと併用可
マグナムショット:貫通力に長けた射撃法。
シェルバレット:弾丸を放射状に変化して放つ
耐性
物理耐性(弱):物理攻撃に対する若干の耐性がある。
精神耐性(弱):精神干渉対する若干の体制がある。
「ま…銃?」
俺の言葉に反応したのか若干黒が混ざったような鈍い銀色のマスケット銃が出てきた。
「これが…魔銃…」
ゲームとかでよく見たように魔銃を構えてみる。すると何故か目の前に十字状のマークが見える
「…?なんだこれ…こんなやつ…あれ、触れない」
なんだこれ?触れないし、手で隠そうとしてもずっと見える。構えを解くと十字のマークは消えた。これってまさかクロスヘア?ゲームでもないのに?
俺はもう一度魔銃を構え、適当な岩に狙いをつける
「これで本当に当たったらすごいんだが…」
引き金に指を掛け、息を落ち着かせてから引く。引き金からカチッと軽い音がしたかと思ったら、こんどはいきなり魔銃から大きな音が鳴った。
「うわッ!」
思わず目を瞑ってしまった。これが実際に聞く銃声?迫力がありすぎる…目を開けると、狙いをつけていた岩の個所が一部砕けていた。
「す、すごい…!」
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あれから10日ぐらいたった気がする。近くの村になんとか受入れてもらったおれはしばらく村の世話になった。村に居る間は俺のスキルを使って野生動物を狩ったり魔物を追い払ったりしていた。FPS系をそこそこやっていて初めて助かったと思う。村での生活に少し慣れたときに俺はベルミアという大きな町があることを知った。大きな町といってもいわゆる王都だとか聖都みたいなものではないが活気づいているところらしい。特に目標も定まっていなかった俺はベルミアを目指すことにした。なんでもベルミアのような大きな町にはギルドというものがあり、そこで冒険者になることができるらしい。
村を出て1日半は掛ったが、なんとかベルミアに到着した。すごいな。今が昼頃なのもあるが俺が世話になっていた村なんかと比べたら活気が違う。
「そこのにいちゃん!ベルミアは初めてかい?よかったらうちの串焼きを買っていかないかい?」
この世界の人はすごいな。見たことないような人相手にもあんな感じに話しかけれるのか。日本じゃあそこまでは田舎でもないと居ないとおもう。
串焼きを楽しんだ後、ベルミアを歩き回っていると少し風変わりな建物を目にした。酒場のような雰囲気を感じるが、何かが違うと。気になったので入ってみると、中には多くの人間がいた。剣を持ったもの、弓を背負ったもの。魔法使いのようなローブを着ているものや、木のジョッキで何かを飲んでいる人も居る。ここが冒険者ギルドってやつか?
軽く見渡すと、中央辺りに制服を着た人たちが立っている。あれが受付か?
「冒険者ギルドへようこそ。本日のご用件は?」
受付カウンターらしき場所に近づくと、眼鏡をかけた男の人が話しかけてきた。
「えっと…冒険者になりたいんですけど。ここで合ってますか?」
「登録でございますね。かしこまりました。それではこちらにご自身の名前と種族をご記入ください」
名前…漢字で書いたらまずいよな…
少し悩んでいるとまた、軽い頭痛がしたかと思うと知らない知識が入ってくる。
またこれか…!今回はいったい…文字の…書き方…?
すると先ほどまでわからなかった文字がすらすらと読めるようになってきた。これなら…
俺はカードにケンジ 人 と書いてから受付の人に渡した。
「ケンジ様でございますね?ありがとうございます。それではライセンスを発行いたしますので少々お待ちください」
「あ、わかりました」
こんな簡単に終わるのか…もっと個人情報とか書かないといけないと思ってたから少し拍子抜けだな。さて…ゲームだと最初は簡単なクエストをやっていくのがセオリーだったな。俺には鑑定もあるし、採取系のクエストなら楽勝だな。
「お待たせしました。こちらがケンジ様のライセンスとなります。無くした場合は再発行に手数料がかかりますのでお気をつけください。冒険者ランクはFランクから開始されます」
「すいませんありがとうございます」
…そういえば…鑑定って人にも使えるのかな…
「またのお越しをお待ちしております」
俺に頭を下げる受付の人に鑑定を使ってみる。
…!?俺の顔が一瞬ギョっとなる。
「どうかされましたか?」
受付の人が心配そうな顔でこっちをのぞき込んでくる
「い、いえ…なんでもない…です」
…こういうギルドの人って”そういう事”も対処できる人じゃないとだめなのか…?あの人のスキル欄に暗殺者とかってあったんだけど…
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冒険者になった俺は序盤ということもあり採取系のクエストを優先的にこなした。やってることもそうだけど、採取するときも鑑定で判別できるからちょっとつまらないんだよな。最近のひまつぶしといったら他の冒険者のステータスを見るぐらいか?人によってかなり違いが出るから見る分にはおもしろい。この世界の冒険者は大抵自分の能力を強化するスキルが主流というかよく見かける。それと俺の魔銃使いみたいな武器を扱うスキル。あとはアイテムボックスは持ってる人は今のところ見かけていない。ギルドの人に聞いてみるとかなり希少なスキルらしい。そりゃそうか。無限にはいる道具不要のインベントリとか露骨にチートだもんな。それと鑑定にかんしては…ほぼといっていいほどいないらしい。ギルドとかで鑑定ができるのは昔に鑑定スキルを持っていた人が研究をしたおかげで再現した効果のマジックアイテムを作ることができたらしい。…俺、目立ったことが出来ないな。鑑定にアイテムボックスに珍しそうな魔銃使いなんてスキルまである。できる限り目立たないようにしないとな。
今の俺の目標はDランクだ。Eランクは簡単になれたが、どうやらDランクは試験のほかにもやらないといけないクエストがあるらしい。なんでもバンデッドウルフという魔物を3体倒さないといけないらしい。しかもそのクエスト、このベルミアでしかやっていないしきたりとか伝統とかそういったものらしい。面倒くさいと思うが、古株の冒険者に聞くと冒険者として適正を見るにはちょうどいいかららしい。あと自分の腕前も理解できずに高難易度のクエストを受注して死なないようにとか。
そんなわけでクエストボードを見に行くところだ。一応普段のクエストとしても取り扱ってるから受注してからやれば報酬になるらしい。
ギルドに到着し、クエストボードへ向かうとみたこともない鎧をきたヤツがボードの前でにらみ合いをしていた。ほかの冒険者とかとじゃなくて依頼書とだ。なんだあいつ?見たことないが…俺がいない間に新しく入ったのか?…いやそういえば前に報告しに戻った時に端のテーブルで本を読んでいた記憶があるな…
クエストボードに近づき、目当ての依頼が無いかと探していると、先客の冒険者が俺に声を掛けてきた。
「あ、どうも。貴方もバンデッドウルフが狙いですか?」
驚いたな。見た目とはイメージがかけ離れた普通の人みたいな声が飛んできたぞ。
「あぁ。次のランクに上がるにはこいつを倒さないといけないらしいからな」
俺が返すと、鎧の男は手を顎に当てながら何かを思い出すようなしぐさをしてきた。
「ほう。そういえば貴方いつから冒険者になられたので?最近見ない顔だなぁと思いまして」
嘘だろ?こいつもしかして結構長いのか!?まさか俺がスキルを使っているのをどこかで見られていたのか!?なんにせよ、平然を装っておこう。
「つい最近なったばかりなんだ。確か…3日前とかだったか?」
慌てずに話す。確か二日三日前だったはずだ。
「これはこれは…随分と早いですね。私は討伐系を少し避けていたので他の方よりも遅れるとは考えていましたが…まさかこんな短期間で追いつかれるとは思いませんでしたよ」
鎧の男をは俺のことをほめてきた。余裕のある感じ…かなりの先輩か?
「あんたは結構長いのか?」
今度はこっちが逆に聞き返した。そっちの質問に答えたのだから聞き返しても失礼ではないだろう。
「長いといってもほんの15日程度ですよ。ちょっと勉強とかギルドのお手伝いばっかりやってまして…はは」
なんだ…割と最近だったのか。むかしよんだ漫画だと最近調子に乗っているとかなんだと因縁つけてきたような気がしたんだが…違ったのか…
「そうなのか…ならまだ目立ちそうにないか…」
俺の口から安堵のせいか心の声が漏れてしまったが、鎧の男は聞き逃したようだ。
「?どうしましたか?」
「いや、何でもない。それより…もしあんたが良かったら俺と一緒にこの依頼を引き受けないか?」
外見的に剣士系だろうし、伝統的にやらせるぐらいのクエストだしな。人数は多いほうがいい。
「構いませんが…理由をお聞きしても?」
俺が鎧の男をクエストに勧誘すると、男からすこし警戒するような気配がした。さすがに急すぎたか?だが…こいつは普通の冒険者ではない気がする。なんとなく何かがある。俺と似たような何かが
「実は俺の戦闘スタイルが遠距離よりなんでな…前衛を張ってくれる仲間がいると助かるんだ」
この言葉に噓偽りはない。アーツにも魔力は使うし、俺の場合攻撃にも必要だ。撃ち損じるようなことがあると焦って余計なミスを招く可能性がある。
「なるほど。それならばその招待お受けいたします。私も遠距離をへの攻撃で困っていましたから、ちょうどよかったです」
どうやら俺の本心は通じたようだ。声とか話し方からかなり人がよさそうだ。初めてのパーティーならこういう人から始めたほうが慣れやすいはずだ。
「助かる。打ち合わせならいつごろだ?」
「今日の夜にいたしましょうか。夕食を済ませたあとにでも合流しましょう。場所は門の前に」
「分かった。じゃあまたあとで」
俺が宿に戻ろうとすると、鎧の男から声を掛けられた。
「あ、ちょっと待ってもらっていいですか?」
…まさか何か感づかれたか?ここで変に挙動不審にでもなったら騒ぎになるかもしれない…ここは冷静に…
「どうした?何か忘れてたことでもあったか?」
なんだ…一体何に気づいたんだ…?
「えぇ、大事なことですよ」
鎧の男は近づいてきたかと思うと、突然右手をこちらに差し出してきた。
…握手?
「アルバ・ローダンテです。今夜はよろしくお願いしますよ」
なんだ…ただの握手と名乗りか…アルバ…アルバか…まさか俺とおなじ転生者なんじゃないかと思ったがそうでもなさそうだ。
「坂本健二…いや、ケンジでいい。よろしく」
アルバに別れを告げ、市場の方へ向かうアルバに鑑定をしてみる
「アルバ・ローダンテ…種族……は?…シャープ…エッジ?」
なんだ!?あいつ…人間…いや!?まさかあいつ…魔物なのか!?ぎ、ギルドの連中はあいつが魔物だって知ってるのか!?い、いや落ち着け…ここで慌ててギルドに報告しても意味がない。それどころか俺が嘘つき呼ばわりされることだってある…ひとまずはあの依頼で様子を見るか。
真実を知ろうとしたときにだけくるホラー要素が好きです。(怖いけど)




