20.おつかいクエストは癖になる
冒険者になってから約2週間、冒険者ライフを楽しんでいる私です。いやほんとおつかいクエストが楽しいんだこれが。ゲームと違って自分の手足でやるからほんと面白い。まだ討伐のほうには手をつけないで、採取とかお悩み解決系の依頼を積極的に受けて下積みしてます。…でも採取系の勉強がちょっと難しいのよ。正解と間違いの違いがめっちゃ分かりにくい。採取系でいまのところパーフェクトを出したことはない。大体7割強って感じの正解率。いやほんと一回大きい失敗したから今ものすごい勉強を頑張っている。前世は勉強きらいだったのにね。いやみんな勉強は嫌いでしょ?私がいまこんなに勉強してるのも興味があることだからね?勉強しているよりも小説読んでる気分だよめっちゃ楽しい。
「よぉアルバ!相変わらず本とにらめっこか?そんなのだと錆びつくぞ?」
ギルドの一角で勉強に励んでいる私に、馴染みの冒険者仲間が声をかけてきた。
「失敬な。そこまでヤワな体してませんよ。新米は新米らしくコツコツやっていくのがちょうどいいんですよ」
「そうか?まぁ今度依頼受けるときは俺にも声を掛けてくれよ」
「おいおいアルバの依頼についていっても採取か雑務になるだろ。お前そんなタチじゃねぇだろ」
「ふっふっふ、採取依頼仲間ならいつでも歓迎していますよ」
実際あんまやる人がいないからそういう消耗品素材が足りなくなってるから人手はいくらでも欲しい
「あんな依頼やってると眠くなっちまうよ!じゃあなアルバ!今度一杯やろうぜ」
「錆止めなら何杯でも行けますのでお待ちしてますよー」
依頼へ向かう二人組を見送り、元の席へ戻って勉強に戻る。今採取依頼にあるのは傷に効くフクシ草と薬効を強める効果のある黄色っぽいキノコのブースタンと麻痺にきくテイデン草ぐらいかな。名前に関してはツッコんではいけないぞ。わかりやすいからちょうどいいんだよ。
あとは時々花をとってきてほしいとか木の実だとかもあるから飽きがこない。ちなみにギルドに依頼を出す理由としてはそういう店に行っても取り扱ってない、売り切れ、鮮度の問題とかがあるらしい。まぁこっちは受注してさっさと取りにいくだけだからね。早いかと言われれば早いかも。
そういえばさっき私に冒険者二人組に話しかけられたでしょ?この度わたくしアルバ・ローダンテついにギルドや町の皆さんと仲良くなりまして、魔物ですけど普通に接してもらえるようになりました。いやー慣れてもらうまではギャーとかオラーとかいろいろあったんですけどね…今じゃ仲間扱いしてもらってますよ。
「アルバー。明後日の夜に見回りを手伝ってもらっていいか?」
おっと、この声は衛兵のおっちゃんだな?明後日は…多分何も予定ないよな。明日は討伐に行くから…うん大丈夫だな
「いいですよ」
「おう。悪いな。今度しっかり礼はするからよ」
衛兵さんには頭が上がらないな。なんせ朝昼夜ずっと町を守っているからね。それのお手伝いなんて推し活みたいなもんだろ。
私が再び本へ意識を戻すと後ろのほうから声が聞こえてきた。
「アルバさん!」
あ、この声はね…クレハさんかな?振り返ると、クレハさんがこちらに駆け寄ってきた。かわいい推せる。
「クレハさん、お疲れ様です。何か御用ですか?」
「いえ、今晩の予定を聞こうと思いまして」
おっとここでまさかデートのお誘い!?となったやつ。残念ながら私とクレハさんはそういう関係ではない。私って睡眠の必要が無いからさ、ギルドの営業時間が終わったあともホールに残って読書してるんだよ。だって面白いから。そのついでで見張りもやってるって感じかな。まぁ不審者なんかそうそうこないけどね。
「今日は…そうですね。ちょっと採取に行こうと思います」
そう答えるとクレハさんの顔が少し明るくなった。
「そうですか!実はさきほど薬師さんから月光草が無くなったから依頼したいと言われまして…」
あぁ、月光草っていうのはあのくっそ不味い魔力…いやこっちの言い方だとマナポーションかな。マナポーションの材料なんだ。剣と魔法の世界なんでね結構必要になるんだよ
「お、ちょうどいいですね。ついでに摘んできますよ」
「ありがとうございます!回収するときはこちらの専用の袋にお願いします。それとフクシ草もついでに買い取ると伺っていますので一緒に納品しますね」
さて、窓から空を見ればオレンジ色になっている。今行けばいい時間に戻れそうだ。支度を整えて森へ向かうことにしよう。
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ベルミアの外へ通じる門に近づくと、衛兵さんが気づいて声を掛けてきた。
「おおアルバじゃないか!こんな時間に外出か?」
「こんばんわ。ちょっと森にいって薬草の採取をしに。かなり長い時間籠りますので、町に近づいたらいつもみたいにランタンを振って合図しますので」
「おう分かった。ほかの見張りにも伝えておくよ。じゃ気をつけろよ。ケガしないようにな」
「アンデッドなのでケガなんてしませんけどね。ご忠告ありがとうございます」
衛兵さんに別れを告げ、森へ向かう。ベルミアの外れにある森は静かで美しい場所だ。木々の間から差し込む陽光が幻想的な雰囲気を作り出しているところが個人的にお気に入り。フクシ草はこの森の奥深くに生えているのだが…まぁ今の私なら大丈夫だろう。
「フクシ草、フクシ草…確か、葉っぱが丸くて、茎が少し青みがかっているのが特徴…うん、覚えてる。月光草のほうが…名前の通り月明りを浴びると淡い光を放つからそれを頼りに…」
だんだんと暗くなってきた。私は暗くても目が効くとはいえ気をつけないとね。フクシ草と月光草を求めて私は森の奥へと足を運んで行った。




