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住人志望のアルバ  作者: 星を見る猫
はじまりのものがたり
12/58

12.私の名前は…


 「…っふ。まさかリビングアーマーに死ぬななんて言われるとはな」


 え


 「え…師匠?なんでそれ…ッ!?」


 急いで口に手を当ててしらを切ろうとしたが間に合わなかった。なんで師匠は…いつだ…?いつから師匠はきづいて…?


 「い、いつから…気づいていたんですか…?」


 「…お前と最初に出会ったときからだよ。まぬけ弟子」


 はい?


 「え、ちょ…え?さいしょ…から?」


 私が聞き返すと師匠は顔を伏せ、プルプルと震え始めた。ってまって!?師匠!!いいところで…そんな!


 「…っぷ。くくく…お前もしかしてばれていないとでも思っていたのか??」


 「え…いやだって…師匠と初めてあったときに…普通に…会話してた…から…」


 私がしどろもどろになりながら答えていると師匠はくつくつと笑い始めた。


 「くっくっく…お前自分の見た目ちゃんと見た方がいいぞ…お前の見た目はリビングアーマーそのものだ。他の個体ともまったく同じ見た目だぞ。だからこそお前が話しかけてきたときに、俺はお前が本当にリビングアーマーなのか疑ったよ」


 「…あ…見た目…まったく同じなん…すね」


 …嘘でしょ?????え????そんなしょうもない理由でばれたの?くっそ恥ずかしいんだけど?


 「くく…だからお前が人間のようにふるまうのは最高におかしかったぞ。だがな、だからこそお前が気に入ったんだ。不意打ちで俺を殺そうともせず、逆に修行で何度殺されかけてもずっとついてきたお前がな」


 「師匠…」


 すると師匠は突然仰向けに倒れ始めた。


 「師匠!?」


 仰向けになると師匠の息は荒くなり始めた。


 「時間がない…いいか、四点、お前に伝えることがある。よく聞けよ…?あとな…今更心配なんかするな、いつもの調子で話しながらきけ」


 ちょ…いきなりそんなこと言われt…わかりましたよ。こうなれば…いつもの調子で…


 「…わかりましたよ。師匠、というか四点もあるとか未練ありすぎでしょ」


 そういうと師匠は微笑みながらはなし始めた。


 「一つ。俺が死んだあと、俺の荷物に入ってる俺の手記を読め。お前にいいたいことの残りは全部そっちに書いている」


 「…別にいまから言ってくれもいいんですよ?」


 「そんな時間…ねぇの分かってるだろ?」


 「わかってますよ…手記ですね。分かりました」


 「あぁ…二点目は俺の死体をこの……この魔道具のなかに入れて持ち帰ってくれ」


 師匠は腰にある小さな物入れからさらに小さな箱のようなものを取り出した。…箱というより棺桶みたく見えるけど…

 

 「持ち帰るって…どこにですか?」


 「…俺の所属していたギルドにだ。お前、俺が死んだあとはここから上を目指してギルドに行け」


 「ちょ、しれっととんでもないこと言わないでくださいよ!!」


 「…っへ。いったもん勝ちは死にぞこないの特権だ。3点目は…」


 師匠は一度言いかけると、深呼吸をしてから閉じていた目を開いた。


 「…四点伝えたあとは俺を殺せ」


 「はぁっ!??何言ってんすか師匠!?」


 「どうせくたばるんだ。弟子に殺されるほうが気持ちがいいんだよ。それにな…魔物のお前ならきっと俺を糧にしてもっと強くなれるはずだ」


 「だからって…」


 「別にいい。お前にはもっと…強くなって俺のすべてを受け継いでほしい…からな」


 そりゃあ…師匠ほどの人を倒せばものすごい量の経験値になるけど…でもここまでお世話になった人を…


 「…わかり…ました…それもやります…」


 「そうだ。師匠からの命令だ…ッフゥー…そして最後は…」


 …もうここまで来たら何言われても驚かないよ…一個一個が爆弾発言だよこの人…


 「…お前に名前を付けてやる…これで…お前はネーミングモンスターだな…」


 は?なんつったこの人?

 

 「え…な、名前?」


 そういえば私ずっと名前なかったな…師匠からはいつもおいとかお前とかそんな感じだったし…


 「そうだ…名前もすでに考えている…数日前に…俺の夢に突然出てきやがったんだ…いつか俺が死ぬ。その時にお前に名前を付けてやるって…」


 ネームドモンスターになれる…いやなれるってのはすごくうれしい…し、燃える展開だけど…けど…


 「…嬉しいです。うれしいです…けど…なんで今なんだよこの馬鹿師匠ーーー!!!!」


 絶対今じゃないでしょ!!!!こんな状況で名前もらうとか前代未聞だよ!!!!


 「あー!!もう順序おかしいってさぁーー!!もうっ!!!!」


 「…っへ。うるせぇな黙って聞けよ…」


 あーほんとありえない!!!うれしいけど絶対ここじゃないよ!!!!!もう師匠なんか嫌い!!!


 「…あぁもう…分かりましたよ。ほんっッッッとうに最後までひどいなこの人は…」


 師匠が再び目を閉じ、安らかな表情をするとゆっくりとしゃべり始めた。

 

 「…夢に出てきた鎧がお前の未来の姿かは俺にもわからねぇ。だが、あれは確実にお前だった。あぁ、あんな姿はこの生涯で一度もみたことがねぇ。…赤い美しいバラのような騎士だった」


 「…」


 「お前の名は……アルバ…アルバ・ローダンテだ。名前の意味はとくにねぇ。ただ、あの姿をみたときにこの名前が浮かんできた…」


 「そんな簡単に…」


 「…いやか?」


 …そんなわけ……私は立ち上がり、私がかっこいいと思う敬礼をして答えた。



 「そんなわけないでしょう??えぇ、アルバ・ローダンテ…かっこいい名前ですね…とても師匠からは出てきそうにない言葉ですが…だいじにさせていただきます」

 

 「…」


 「私の名前はアルバ・ローダンテ。師匠ヴィルガルムから剣技を受け継いだ騎士です。」

 

 別れ行くあなたに、最後は名乗らせてください。

あ~あ、正体ばれちゃったネ。

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