6話 私、結婚します。幸せになります
あれから、幾月経ったんだろう。私はまだ、ハンカチを返せていない。
でも、きっと返せる。だって、とうとうなんだ。とうとう、結婚します!
相手は勿論アディグア。
ちゃんと招待状も書いたんだ。
【結婚おめでとうございます。約束、果たせる事を心待ちにしております。父上は、大泣きしておりました。娘の成長に喜びと、寂しさがあるそうです。わたくしは、喜びだけしかありませんが】
【結婚おめでとう。頼まれていた、原初の樹の神域は、開放済みだよ。そこで、綺麗なドレスに身を包まれた君を見る事を楽しみにしている。それと、式の進行役を僕らに任せてくれてありがと。必ず、記憶に残る式にする。ミディから、「結婚おめでとうなの。すきすき幸せになの。当日は、とっても綺麗できらきらな式になるようにするから、楽しみにしてて」って。あの子、読めないから代筆させて貰うね】
【結婚おめでとう。当日、記憶に残る式にするため、俺らから、サプライズを用意している。楽しみにしていてくれ】
お姉ちゃんと、王達から、返事の手紙が届いた。
「緊張する」
「天族は不思議だ。こんな、儀式を楽しむなど。おれ達にはなかった。そういうのは」
「そうなんだね。この儀式は、たった一度の儀式だから、一緒に楽しもうね」
「そうだな」
みんなが祝福してくれる中で、私達は、結婚式を挙げる。
今は、その準備中。ドレスは着てあるけど、髪とかもちゃんとしないとだから。
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「今宵、天の地にて、新たなつなり人が生まれました。天の地の王として、お二人の結婚を祝福いたします」
別人みたい。結婚式が始まって、三大種族の王達が進行してくれる。
天族の王は、可愛くて、無邪気な印象だったのに、今日は、全然違う。
「つなり人?」
「ここではそう言うんだ。繋がった運命の理。その相手の事を、つなり人というんだ。分からなくても堂々としてろ」
「……誓いの言葉を」
「いついかなる時も、転生するその日まで」
「我々は、互いを愛し続ける事を誓います」
「これにて、誓いの儀は終了です。これより、つなり人の絆の儀へと移らせていただきます」
絆の儀は、お祝いの言葉やお祝いの品とかを渡す時間。この時間が、一番長くて、一番楽しい時間。婚姻の儀と誓いの儀は、堅苦しいけど、これは和気藹々としている。
「元三大種族の王として、サプライズを用意しています。ミディ、ゼノン」
「みゅ」
「ああ」
これは、ずっと記憶に残るよ。
今は、昼なんだけど、景色が暗くなった。星が煌めき、氷の結晶が舞う。幻想的な光る蝶が飛び交い、地面には、これも幻想的な光る花々。
まるで、夢の中みたいな景色。
「わぁ」
原初の樹は、実をつける事のない樹。なのに、とても綺麗な、色とりどりの実を実らせている。
その全てが、私達の結婚を祝っての事。
「お姉ちゃん、これ」
「ありがとうございます。約束、果たせましたね。わたくしからも、祝いの品を用意しましたが、この後ですと、見劣りしてしまいそうです」
「そんな事ないよ。私、お祝いで貰うプレゼントは、どれも、測れない価値があるって思うから」
「そうですね」
お姉ちゃんとお父さんからも、プレゼントを貰った。
お兄ちゃんからも。
お姉ちゃんに会いたい一心で天界を飛び出してから、いろんな事があった。それでも、お姉ちゃんに会えた。結婚までできた。
私、天使の姫は、人間の王女のお姉ちゃんに会えて、幸せになれました。
お祝いしてくれたみんなに感謝しかない。お兄ちゃんの笑顔が見れてよかった。
お兄ちゃん、王達と話して、号泣して、それから、スッキリしたような笑顔を見せたんだ。
三大種族の王、ミディリシェル様、ゼノン様、フォル様。今日、この日を区切りに、私は、王の帰る場所を守る天族になります。人間の国と天界と魔族の国を繋げる足掛かりになります。
それが、私の、恩返しです。