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5話 お兄ちゃんごめんなさい。結婚したいです


 アディグアと一緒に計画を立てて、王から貰った、転移魔法具を手に、もう一度お姉ちゃんに会いに行ってみる。今度こそ、お姉ちゃんと会えるように、計画は大事に。


「アディグア、ありがとう。私、アディグアのおかげで、お姉ちゃんに会えるのかも」


「ミュニアが諦めないからだ」


「アディグアがいてくれたからもあるよ。私、アディグアがいてくれたから、人間の国へ行っても、こうして天界へ帰って来れた」


「……」


「だから、ありがとう」


「……今日は熱い。ミュニア、決行は明日の夜だ。必ず成功させる」


 今日は、お兄ちゃんの温情で、アディグアは客室で泊まってもらう事になった。だから、こうして遅くまで計画を練る事ができた。


 アディグア、なんか、そっけないけど、顔が赤かった。


「おやすみ」


「うん。おやすみ」


 今日は良く寝れそう。知らなかった事を知って、助けられている事を知って、私は、より一層前に向く事ができた。


 その悩みを持ち越さないから、きっと良く寝れる。


      **********


 夜は、決行の時間だけど、日中は何も予定がない。だから、遠くには行かないけど、アディグアと出かける事になっている。


 デートと言って良いのかは分からないけど、でも、気合が入っている。今持っている服の中で、一番お洒落な服を選んで、アディグアと出かける。


 ……私、アディグアの事が好きなのかもしれないから、気合が入るのかな。だったら、その気合いを空回りさせないように頑張らないと。


「うん。これが良い」


 お姉ちゃんは、王女だから、お姉ちゃんに会うのにも、この服は良いのかもしれない。


 この服は、二つの勝負服って名付けよう。


      **********


 天界で一番綺麗な景色が見れる場所。お兄ちゃんが、いつもそう言っていた。


 その場所に、初めて来た。


「……ここは、あの方のお気に入りの場所だ。実際に来ると、絶景だ」


 王は、良くこの景色を見ていたのかな。私、今、王と同じ景色を見ているんだ。王は、この景色を見て、何を考えていたんだろう。


 この、天界の街並みを見渡せる景色を見て。


 私は、綺麗だと思った。それに、きらきらしているって。子供っぽい感想だよね。でも、そう思った。


「ミュニア、ここへ連れてきてくれた事、本当にありがとう。ずっと、聞いていた。天界を見渡して、クッキーを食べるとか」


「今度、私達もやってみない?私、いっぱいクッキーを作ってくる。お菓子作りは得意なんだ。お兄ちゃんが昔から教えてくれて」


「ヨジェドも、忘れられないのか。あの方は、甘いものが好物で、良く、こっそり食べている場を発見しては叱っていたそうだ」


 それでお兄ちゃんは……王に、甘いものをもっとあげられたらとか思っていたのかな。私、いつか、王に、手作りお菓子を食べて貰いたい。


 それに、アディグアにも。


「本当に綺麗な景色だ。ミュニア、一つだけ、忘れてはならない事を教える」


「なに?」


「ここが、王の処刑場だ。王は、天界から落ちる前、この景色を見ていた。その時はきっと、今とは違っただろう」


「……でも、それでも嫌いになんてなっていないって思う。だから、初めては、アディグアと。それで、その次は、王達みんなと一緒に、お菓子を持ってここへ来たい」


 私は、前を向いた。俯かなかった。この景色を、真っ直ぐと見た。


「天海、天の海。知ってるか?」


「天界から落ちると行く場所くらいしか。王は、天海を見たのかな?」


「あの方は、ここから良く、天海で泳いだそうだ。って事で、今度来た時は、おれもやって良いか?泳げないあの方が、そこでは泳げたそうだ」


 私、海って知らない。泳いでみたい。水着、今度来るまでに買ってこようかな。


「ずっとここにいたい。でも、もうそろそろ行かないとだよね。準備が必要だから」


「そうだ。準備は必要だ。ちゃんと、計画を立てての準備だ」


「うん。この前のアディグア講習でちゃんと学んだ。でも、帰る前に、一つだけ良いかな?」


 私、初めてで、一番深い意味がありそうな場所には、まだ、できなかった。でも、頬にキスをした。


「昨日の答え。アディグアの想いの答え」


「……ああ。ありがとう。ミュニアの姉に会った後、あの結婚祝いを一緒に見よう」


「結婚してからの方が良いんじゃない?」


「結婚式前に開けてくれと、箱に書いてあった」


「そうなんだ。じゃあ、今度一緒に開けようね」


 アディグアと結婚。お兄ちゃん、どう反応するんだろう。お兄ちゃんは、記憶を捏造して、例え話をしていただけって事になってた。


 王達の意志もあるから、大丈夫だとは思うけど。


「行こう」


「うん。ねぇ、アディグアと結婚したら、私って魔族の国に行くの?」


「それは納得しないだろう。おれは第十王子。王位なんてない。だから、ヨジェドを納得させるには、婿養子一択だろう」


 それしたら毎日お兄ちゃんと喧嘩しないかな。少し心配だけど、でも、楽しそう。


 私は、アディグアと一緒に宮殿に帰った。それで、お姉ちゃんに会うための準備をした。


 今度は、万全な状態って言えるくらいに。

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