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3話 私、呪われているみたいです


 城下町に着いた。とても賑わっていて楽しそう。


「ここが、人間の国の城下」


「……ミュニア、あれを」


 第二王女が行方不明。これってもしかして、私の事?


 この国はずっと、私の事を探していてくれた?


「城へ行ってみよう」


「うん」


      **********


 期待していた。私、捨てられたわけじゃないんだって。


 見つかって、歓迎されると思っていた。良かったと言ってくれると思っていた。


「なぜ連れてきた」


「行方不明の王女と知ったので」


「呪われた王女などいらん。おい、牢へ入れておけ」


 頭が真っ白になった。目の前の出来事を受け入れる事なんてできなかった。


 そんな中で、温かい手が触れた。


「そうか。なら、彼女はおれが貰い受ける。悪魔を敵に回したくないなら、どうすれば良いか分かるだろう」


「……勝手にしろ」


「ミュニア、ここから帰ろう」


「……うん」


 ただ、お姉ちゃんに会いたい。それだけだったのに。こんな事になるなんて。こんな事を言われるなんて。


 止まらない涙。城から出てもずっと。


      **********


「ミュニア、確認したい事がある。その、呪いは、本当にまだあるのかだ」


「そんなの、あるに決まってる。だって、呪いは、成長したって、消える事ないから」


 一度呪いを受ければ、成長で、消える事なんてない。


 だから、ずっと呪われてるままだよ。


「天界に行くぞ」


 アディグアがそう言うと、急に景色が変わった。


      **********


 ここは、宮殿だ。天界の。


「アディグア、キサマ、ミュニアを嫁に貰おうなどと」


 天界に帰るや否や、お兄ちゃんが、アディグアに突っかかった。


「あの場ではああ言う他無かっただけだと言うのに、このシスコンが」


「ああ、そうだとも。シスコンだ。シスコンで何が悪い?シスコンのどこに恥じるべき事がある?」


「……それはどうでも良い。そんな事より、ヨジェド、ミュニアの呪いは、もう無いという事で良いな?」


 なんでお兄ちゃんにそれを聞くの?


 何も頭に入ってこない。何も考えたく無い。もう、呪いの話なんて聞きたくない。


「当然だ。オレは、あの王に一番の信頼を受けていた臣下だ。そのくらい、拾ったその日に終わっている」


「と言いながら、王にやってもらったのでは?」


「ギクッ⁉︎」


「ミュニア、もう呪いは無い。あの方が、その程度の呪い如きに遅れを取るような方ではない。天族として育ったのであれば、王を信じてやれ」


「そうだ。この兄と、陛下を信じればいい」


 あの女の子が、でも、そんな事できるようには見えなかった。


「今まで、話した事が無かったが、姫……陛下は、ああ見えて、お一人で魔物の群れを殲滅できる強さの持ち主だ。それに、数少ない癒してでもある。その呪いも、偶然遊びにきていた陛下に頼んで、解いてもらった」


「魔族の王から、ミュニアへと預かっている物がある」


 アディグアから、手紙を貰った。


【ヨジェドの自慢の妹へ


 生まれた時、悪い魔法使いが、君に呪いをかけた。

 あの国は、君を捨てる事を選んだ。でも、ヨジェドは、君を育てる事を選んだ。


 あの呪いは、本来、身に宿した時点で処分対象だ。解呪不可能の呪いだから。ヨジェドは、それを知りながら、僕らに頼んだ。君を助けて欲しいと。

 助けてくれるなら、全てを捨てても良いと。


 僕は、その意志を尊重する。あの子も、その呪いを解きたいと言っていた。それを尊重する。


 管理者の名において嘘じゃ無いと誓う。君の呪いは、完全に消えている。


 最後に、君を助けたヨジェドを大事に。


 管理者の統率より】


 管理者、名前だけ聞いた事がある。私、管理者様に助けられていたなんて。でも、どうして、管理者様が?


「ミュニア、精霊の王に会っただろう」


「あの、穏やかそうな男の子?」


「そうだ。彼が、管理者の統率だ。彼が、陛下と共に、助けてくれた。処分対象ももみ消して」


 私、こんなにもお兄ちゃんに愛されてた。それに、管理者様に王に……今の私は、知らないうちに、こんなにも多い人に助けてもらっていた。


 私が、助けてもらっていた人達にできる事は……


 私は、涙を拭いて、前を向いた。笑った。


「ミュニア、ところで、その、アディグアの伴侶に」


「えっ?あっ⁉︎えっと、私、アディグアになら、良いかも」


「アディグアーーーーーー‼︎‼︎‼︎」


 お兄ちゃんが今まで見せた事のない、怖い顔を見せた。夢に出てきそう。


「き、キサマ、ミュニアがオレの妹だと知って起きながら」


「妹離れしろ、シスコン」


「黙れえーー!キサマの意見など聞いとらんわあー!」


 意見ですらないと思う。どうしよう。お兄ちゃんが、メチャクチャ面白い。


 でも、これ以上、お兄ちゃんの品性を損ねるような事をさせないために止めないと。


「お、お兄ちゃん、結婚くらい好きにさせて」


 間違えた。言う事間違えて、火に油を注いじゃったかも。


「アディグアーー‼︎キサマ、誰の許しを得て、ミュニアに結婚という言葉を教えたあー‼︎」


 えっ、私って、結婚って言葉知らない事になってた?お兄ちゃんの中では?十六歳なのに。十六歳なのに。


「……ヨジェド、流石にその認識はやばい」


「黙れえー‼︎オレ達の姫は、十六になろうと、結婚って何と言っていたわあー‼︎」


 ごめんなさい、管理者様。私、お兄ちゃんが、王への侮辱罪とか言われても庇えません。大事にと、手紙で書いてくださったのに。


「……ねぇ、ヨジェド」


「ゲッ⁉︎ひ、姫様」


 あっ、あの子だ。


「イェリウィヴァから、ミュニアを紹介しろって言われて、一度戻ってみれば」


「これは、王としての権限が残ってたら、侮辱罪にでもなりそうだね」


「お前ら、ほどほどにしとけよ」


「ち、違うんです。あの男が、私の大事な妹を誑かすからなのです!」


「たぶらかす?なぁに?それ」


「君は覚えなくて良いよ。ミュニア、あの手紙読んでくれた?」


「はい。ありがとうございます。私」


「一つだけ追加しておくよ。ヨジェドの、王への数々の暴言、侮辱と疑わしき言動に関しては、一切庇わなくて良いから」


 管理者様、笑顔が怖いです。


「それと、早いけど、結婚おめでとう。イェリウィヴァ、出てきて良いよ」


 とても美しい人。これが、噂に聞く、原初の樹イェリウィヴァ様。


「貴方にとっての試練。乗り越えられた事、大変嬉しゅう思います。姉君と、会う事ができるのを願っております。わたくしは、貴方を天族として、正式に迎え入れたいのです。お受けになって貰えましょうか?」


「はい」


「ミディ達から、ミュニアにプレゼント。ミュニアのおねぇちゃんの部屋への転移魔法具」


「あ、ありがとうございます」


「また、会おうね。次は、ミュニアの結婚式とか。忙しくても、必ず来るから。魔族の国には、帰る事ができないけど」


 アディグアに言っていたのは、そういう事なんだ。魔族の国には帰れないから、会えない。


 なら、わがまま言ってでも、結婚式は天界でやる。


「じゃあね。ミュニア」


「うん。じゃあね」


 私、これでお姉ちゃんに会う。それで、アディグアとの結婚式に、みんなを呼ぶね。


 お兄ちゃんは……王がああ言っているなら、黙ると思う。

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