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そのダンジョンシェルパは龍をも導く  作者: 坂門
その本拠地(ホーム)にて

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その本拠地(ホーム)にて Ⅱ

「【ノーヴァアザリア(ウチ)】の紋章なんて、そこまでのもんじゃないのでは??」


 首を傾げるアザリアに、グリアムはヤレヤレと肩をすくめた。


「リーダーのあんたが何言ってんだ、その紋章の力は絶大だぞ。その紋章(ラウラ)と潜っているだけで、因縁つけられたことがねえんだ。この【忌み子(オレ)】がだぜ。それだけその紋章は、潜行者(ダイバー)達から、一目置かれているってことだよ」


 アザリアは自分達の立場を過少評価しているのか、グリアムの言葉にもあまりピンと来ていないようだった。


「そんな事より、グリアムさんの考える根拠ってやつを教えてよ」


 ラウラにせっつかれ、グリアムはやれやれとばかりに頷く。


「わかったわかった。だがこいつはあくまでも憶測だ。そいつを踏まえてラウラに調べて欲しい」


 一同はグリアムに頷き合う。その姿にグリアムは言葉を続けた。


「【レプティルアンビション】は永遠の二番手(エターナルセカンド)と、繋がっているんじゃねえかな」

(エタ⋯⋯ナ⋯⋯なに??)

(ヴィヴィさん、永遠の二番手(エターナルセカンド)は、【ライアークルーク(賢い嘘つき)】という大パーティーの蔑称です)


 サーラがヴィヴィに耳打ちする横で、アザリアとラウラの表情に緊張が走った。


「グリアムさんは、【ノーヴァアザリア(ウチ)】の紋章に反応しなかっただけで、そう考えたのですか?」


 アザリアの言葉にグリアムが黙って頷くと、ラウラは、ハッ! と何かを思い出していた。


「あ! そう言えば、グリアムさん達を()けている時、リオンに絡まれた」

「リオン? リーダーのリオン・カークスか? 何でまた⋯⋯」

「いやぁ、たまたまなんだけど声掛けられて鬱陶しかったんで、適当にあしらったんだよね⋯⋯それが逆効果だったのかなぁ」


 ラウラは表情を曇らせ、少しばかり落ち込んでしまう。言われてみれば、グリアムにも心当りは確かにあった。


「確かにリオンは【クラウスファミリア(クラウスの家族)】の事をギルドに尋ねたり、オレもリオンの右腕のイヤル・ライザックに絡まれたりと、【クラウスファミリア】にちょっかいを出して来てたな」

「まずったなぁ~」


 苦い顔で頭を抱えるラウラに、グリアムは苦笑いを見せた。


「ラウラの件は、今回の件に関係ねえさ。ヤツらはオレ達の姿を確認したうえで、【クラウスファミリア】と認識したはずだ。【ノーヴァアザリア】と繋がりがあり、【忌み子】のシェルパがいるパーティー。【クラウスファミリア】と分からないほうが、どうかしている。ただ、なんで【ライアークルーク】が、【クラウスファミリア】にちょっかいを出すのかが分からん。ラウラがあしらったってだけじゃ、理由としては弱いだろう」

「たしかに。じゃあ、何でだろ?」


 頭を抱えていたラウラは顔を上げると、今度は逡巡する姿を見せていった。

 ラウラの逡巡する姿に引っ張られ、グリアムやアザリア、サーラまでも難しい顔をしている。なぜ【ライアークルーク(賢い噓つき)】が、【クラウスファミリア(クラウスの家族)】に絡むのか、その理由(わけ)を模索していた。

 だが、グリアムも、サーラも、【ライアークルーク】の事などたいして知りもしないのに、考えてみたところで答えを見出す事など出来る訳はない。それを見かねたのか、アザリアは自身に言いきかせるように口を開いていった。


「まぁ、なんだかんだ言っても、リオンも大パーティーのリーダーだからね。存外、頭キレるところはあるよね」

「ええ~あいつが?」


 アザリアの言葉に、ラウラは盛大に顔をしかめる。その口ぶりから知らない仲ではないのだと、グリアムは理解した。


「ラウラはリオン・カークスと知り合いなのか?」

「う~ん⋯⋯知り合いというか、幼馴染? 子供の頃、良く遊んで貰ってたんだけど、アイツが引っ越してからは疎遠になってた。でも、ダンジョンに潜るようになってからまた顔を合わせるようになって、アイツのパーティーに勧誘されて、なんかイヤだから断って、みたいな」

「へぇ~」

「あ! でも、調べるの問題ないから、心配しないで。まぁ正直言って、大人になってからのアイツ、あんまり好きじゃないんだよね⋯⋯」

「大丈夫だよ、ラウラ。グリアムは、友達いないんでそういうの分からないから」

「分かるわっ!」


 無表情で親指を立てるヴィヴィを、グリアムは睨みつける。


「⋯⋯プッ! ⋯⋯う、ううん、失礼。も、もしかしたらですが、リオンはグリアムさんに何かを感じたのかも知れませんね」


 グリアムとヴィヴィのやり取りに思わずアザリアは吹き出してしまい、ごまかすのに必死だった。だが、その言葉にラウラが何かピンと閃きを感じ取る。


「アイツのアイデンティティって、この世界で、唯一のA(クラス)地図師(マッパー)って事だけでしょう。パーティーは二番手と揶揄されているけど、アイツ自身は現存地図師(マッパー)として、トップにいるって事で、何とか折り合いをつけて自分を保っている感じじゃない」


 首を傾げているグリアム達を尻目に、今度はアザリアがハッと何かに気が付いた。


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