チームメイトと見習いと
この作品は著書『魔法と魔法のマジョレット』と同じ設定を使っています。
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「手伝いに来たよ、お姉ちゃん」
「来てくれたのね。ありがとう、クリスちゃん」
車の整備をしていた手を休め、姉はクリスと言葉を交わす。
「母さんたちももうじき着くから。それにしてもよかったわ」
「なにが?」
「手伝うって決心してくれたこと」
「ボクは最初から中学になったらお姉ちゃんを手伝うつもりだったよ」
「そうね、それもうれしいよ」
姉はグローブを外して手を洗い、クリスの頭の上にポンと手を置く。
「何よりうれしいのは魔法使いの見習いとして手伝ってくれることかな」
頭をなでられて笑顔を浮かべていたクリスの顔が曇る。
「ボクは別に……」
みんなの側でもよかったと言おうとしてクリスは言葉を飲み込む。
今姉が求めているのは魔法使いとしての自分だとクリスは理解していた。
「Hey!その子が新しいチームメイトデスか?」
ガレージの奥から少し肌の濃い男性が姿を見せ、声をかけてきた。
「そうよ。彼はボブ。私たちのチームのドライバーよってもう知っているか」
「うんお姉ちゃん。久しぶりですボブ兄さん」
「ボブ兄と呼んでくだサーイ」
明るく気さくに話す義兄のボブとクリスはあいさつを交わす。
「あいかわらずふしぎな話し方するねボブ兄」
「HAHAHA!ミーは英国紳士を目指していマスから話し方も個性的デース」
「全員そろっているね」
「お父さん!」
「ここでは監督と呼びなさい」
ボブと姉とクリスが会話をしていると、父と母が姿を見せ空気が引き締まる。
「昨日話した通り、今シーズンで私たちは良い成績を残す必要がある」
「万年最下位のクローバークラウンを存続させるためにボブ、クリス頼んだわよ」
厳粛な空気の中、クリスは昨日のことを思い出していた。