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異世界のお嬢様、現代へ転移する  作者: シマウ
第1章 現代転移編
9/14

8話 お風呂

誤字報告、誠にありがとうございます!

ひとしきり泣き終えた後。


「コトネ、その……ありがとう。恥ずかしい姿を見せてしまいましたわ……」

「そ、そんな事ないよ!とっても綺麗な、涙だったよ……?」

「ち、ちょっと!追い討ちをかけないでくださる!?」

「ふふふ」


私の顔は、目元も含めて真っ赤になっている事だろう。コトネの顔が真っ直ぐ見れない……!


「も、もう……!でも、ちょっとスッキリしましたわ。本当に、ありがとう」

「うん、良かった。私も、ミアの色んな気持ちが聞けて、う、嬉しかったよ」


……今まで私に姉妹がいた事はないが、もしお姉様がいたらこんな感じだったのかな、と思った。やはりコトネも、長年チヒロの姉をやっている経験があるのだろう。その、頭を撫でられるのが、意外と気持ちよかった。また、機会があれば撫でてもらいたいーー


って、違う違う。


せっかくここまで、見ず知らずの私に優しくしてくれているのだ。早くこの世界に慣れて、二人に恩返しがしたい……!


「そ、その、コトネ。私も泣いてしまったし……疲れたけど、洗浄魔法だけじゃあまりよくないから」

「うん」

「この世界の、お風呂の入り方、教えてくださる?チヒロが上がったら」


一人でできる事は、早く一人でできるようにならないと……!そう思い、私はコトネにお願いした。


「も、もちろん。ちなみに、チヒロなら、ミアが泣いている間にとっくに出てきてたよ」

「え゛っ」

「驚いていたけど、空気を読んで先に自分の部屋に戻ったみたい。ふふっ……今日は、みんな沢山泣いたね」

「明日絶対からかわれますわ……私も人の事は言えないですわね……」


自分が思っていたよりも、長い時間泣いていたようだ。私もちゃんと人の子なんだなあ、と少し感情を取り戻した気分だった。

その後、コトネにお風呂の入り方を教わる為に浴槽へと向かった。


そして、浴槽についたコトネは、おもむろに服を脱ぎ始めた。あっという間に下着姿になりーー


「ってちょっと!?コ、コトネ!?どうして服を!?」

「え?だって、お風呂の事、教えようと……」

「いやいやいや!!裸じゃないとできませんの!?」


コトネは一瞬考える素振りをした後、みるみる顔が青くなっていった。


「......あ、あ、あぁあ......!!ごめんなさい!!私、また早とちりを……!!」

「わざとやってる訳じゃなくて安心しましたわ……」


後で聞いた話によると、この時のコトネは完全にお姉ちゃんモードのスイッチが入っていたらしい。でも流石に、まだ出会って一日しか経っていない人と一緒にお風呂はハードルが高いだろう。その後、きちんと教えてもらった私は、この世界で初の入浴を果たすのであった。


……何がとは言わないけれど、コトネ。結構大きいのね。


ちなみにお風呂のシステムに関しては、意外とすぐに覚えられた。前の世界では、水の魔石と火の魔石を組み合わせてお湯を生み出していた。それが科学に置き換わったようなものだった。この世界ではボタン一つで温度など、様々な設定を変えられるので、とても面白そうだと思った。


(何だか、久しぶりに一人の時間を味わっているような気がしますわ)


私はお風呂が好きだった。誰にも邪魔をされず、考え事ができる場所だからだ。


(気持ちいいですわ〜。コトネが言ってた温泉にも、いつか行ってみたいですわね)


曰く、日本人はお風呂が大好きらしく、各地に天然温泉がたくさん存在するらしい。なんでも、入るとお肌がスベスベになるとかならないとか……もし私がお金を稼げるようになったら、お礼に二人をそういう所に連れて行ってあげたいところだ。


それはともかく……!


(こ、これがシャンプーとリンス……!)


この世界では、髪の毛を洗う為だけの石鹸というか、泡?が存在しており、私も使用してみたところ、髪の質がとても良くなった気がした。とても良い香りがするし、元の世界でこれを広めたらとんでもなく売れるんだろうなあ、と思った。


そんなこんなで、いちいち感動していたら長風呂になってしまった。


「あ!ミア。き、気持ちよかった?」

「ええ。おかげでつい長くなってしまいましたわ。コトネはまだ入っていないのに、ごめんなさい。でも、この国は美容にも手を抜いていないのね……」


そう言って私は、自分の髪を触った。とてもサラサラで満足だ。


「ふつくしい……」


コトネが、顔を赤くしてボソッと呟いた。


「何か言いまして?」

「い、いや、何も……じゃあ、私も入ってくるよ。先に寝てていいからね。お休み」

「分かりましたわ。お休みなさい」


お風呂で体もポカポカだし、泣いたからか、心も清々しい気分だった。今日はもう寝て、明日に備えよう。


その日の夜、私は久しぶりに悪夢を見なかった。

私の作品を読んでいただき、誠にありがとうございます。


もしよろしければ、星、ブックマーク、感想等いただけましたらモチベーションがとても上がります。


これからも、何卒よろしくお願い申し上げます。

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