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異世界のお嬢様、現代へ転移する  作者: シマウ
第1章 現代転移編
12/14

10話 インターネットお嬢様と衝撃のサプライズ

「めっちゃくちゃ面白れーですわ!!」


私は、自分で言うのもなんだが要領が良い方だ。魔法を会得する為に魔導書を読んだ時も、大体一回読めば覚える事ができる。


 つまり、何が言いたいのかというとーー


「ミ、ミア!もう夕方になっちゃうよ!?そろそろ、休んだ方が……!」

「ちょっと待って!今いいところですの!」

「あはは〜……まあ、娯楽が少なかった世界から来て、インターネット覚えちゃったらこうなるか〜……」


圧倒的な速さで使い方をマスターした私は、ネット廃人予備軍の仲間入りをしていた。


まずはこの世界の成り立ちや、気になる事を片っ端から調べた。文字?アルファベット?


ーー指輪の力で何とかなってた。


やはり私の世界とは全く異なり、科学の発展したこの世界は面白い進化を遂げている。特に、恐ろしい武器の数々には戦慄した。

銃火器や戦闘機など、おそらく魔法よりも厄介で血生臭いだろう。どの世界にも戦いはあるんだなあ、と少し悲しい気持ちになった。


そして、もちろん技術はそちらの方面だけではない。インターネットがある時点で薄々感じてはいたが、まあ娯楽の多いこと多いこと。


特に気に入ったのは、ヌーチューブという動画サイトだ。知りたい事を検索すると、生首で饅頭のようなキャラクターが、おもしろおかしくその情報を解説する動画がたくさん出てきた。

また、次のオススメ動画という欄に興味深い動画が次々と出てきて、これもう無限にーー


「ミ、ミア!今日は他にも、教えたい事がたくさんあるの!!」


ーーパタン、とノートパソコンを強制的に閉じられた。


「ああっ!!何をしますの!!」

「ミア姉、時間見てみなよ……」

「ええっ!?もうこんな時間!?」


午後三時半だった。私がパソコンに触り始めたのって、午前中だったと思うけど……!


「ご、ごめんなさい。つい夢中になりすぎましたわ……!インターネット、恐るべし……!」

「気持ちは分かるけど、あんまりやり過ぎないようにね……?め、目も疲れちゃうから」


こんなに一つの事に熱中したのは久しぶりだった。早く動画の続きが見たい衝動に駆られるが、本来の目的を見失ってはならない。


「あのね、ミアに、ちょっとお願いがあるの」


それは明日から一週間、二人は学校が始まるので、昼間の間はお留守番をお願いしたいという事だった。

お昼ご飯も一人で食べなくてはいけない為、冷凍食品の調理方法や電子レンジの使い方などを優先的に教えたいようだ。


「まあ!それでしたら、二人がいない間に私が掃除や洗濯、家事をいたしますわ。ただの居候では心苦しいし、メイドのお仕事をしてみたかったのよ」

「えっ……!いいの……?それは、すごい助かる……!」


学校に行きながら家事をこなすのは大変だろう。ここは私が、きっと力になれる部分だ。


「私が働き始めるまでの間、任せてほしいですわ!」


という訳で、一通りの家事を教わった。便利なものばかりだったので、元お嬢様の私でも何とかなりそうだ。魔法で応用が効く部分もあるので、きっとかなり時短になる。苦にはならなそうだった。


「ミア姉、もしかして頭いい?」


チヒロが、急にそんな事を尋ねてきた。


「あら、失礼ね。昔から覚えるのは得意ですわ」

「す、すごい……!全部一回で覚えちゃった……!」

「普段はポンコツで面白いのにね〜」

「誰がポンコツですって!?」


そんなやり取りをしていたら、あっという間に日が暮れてしまった。でも今日一日で、だいぶこの世界の事が分かった気がする。

次の目標は、一週間後にコトネ達のお買い物についていく事だ。今度こそ、失敗しないようにしよう。


そして、夕飯の時間。


「ミ、ミア!改めて我が家へ、この世界へようこそ!」

「ようこそ〜!」


「……え?」


そこには、豪華で美味しそうな料理がたくさん並んでいた。


「千尋と話してたの。せっかくだから、歓迎会を開きたいよねって……!」

「本当は昨日の予定だったんだけど、ちょっと事故があったからね〜」


私は、突然のサプライズに驚いた。今日は夕飯の手伝いを申し出ていたのだが、断られていたのだ。チヒロが、ボクが手伝いたいから動画でも見て待ってて、というので、呑気にヌーチューブを見ていたところーー


「……い、いいのかしら?こんなにいただいてしまって……!」

「う、うん!これから、一緒に生活するんだもん。これくらいなんて事ないよ」

「……二人とも、ありがとぅ……」

「あ〜!ミア姉、また泣きそうになってる!」

「こら、千尋!」

「だ、だって、これは嬉しいですわよ……!」


私の為に、こんなに沢山の料理を作ってくれた事。私を歓迎してくれている、二人の気持ちが何よりも嬉しかった。


「じゃあ、いただきます……!」


料理は本当に美味しく、コトネ手作りのハンバーグが特にお気に入りとなった。

三人で笑い合いながら食べる夕食はとても楽しく、忘れられない思い出になったのであった。


宝物が、また一つ増えた。


そして時間は過ぎ、就寝の前、私達は少し雑談をしていた。


「本っ当に美味しかったですわ……コトネがサングリアにいたら、間違いなくナンバーワンシェフですわ……」

「そ、そんな事、ないよ。えへへ。ありがとう。でも、今日は千尋にもかなり手伝ってもらったんだよ?」

「ボクも、お姉に料理教わってるからね!」


えっへん。とそんなやりとりをする二人がとても可愛らしく感じたので、私はこう言った。


「まあ。二人は将来、きっと素敵なお嫁さんになれますわね」


本当に何気なく選んだ言葉だったのだがーー


「ん?」

「え?」


時間が止まってしまったかのような空気になってしまった。コトネとチヒロは顔を見合わせ、ヒソヒソ話を始めた。


「ちょっとお姉、言ってなかったの!?」

「そういえば……!もう、気付いてるものかと……」


「何!?何ですの!?」


するとチヒロが私の前に出てきて、真剣な顔でこう言った。


「……ミア姉、ボクから大事な話があるんだけど」

「き、急にかしこまらないで!?怖いですわ。一体ーー」


「ボク、男なんだ」


さらに空気が凍りついてしまった。


「え、え、え……?そんなに、可愛い顔をしているのに……?」

「……あはは。可愛いだなんて、照れちゃうよ」

「で、でも、服も、女の子っぽい……」

「まあこれは、ボクの趣味っていうか……」


ギギギ、と擬音が聞こえそうな首の動きでコトネの方を向く。


「う、うん。本当だよ」


「ええええええぇぇええええぇええええええええええぇぇええええ!!!!!!」


アミーリアの冒険は、まだ始まったばかりだ。一体これから、いくつの予想外が待ち受けているのだろうか……!


それはまだ、誰にも分からないのであった。


ー第一章 完ー

私は千尋の性別について描写した事はありませんでした。アミーリアが勘違いしていただけです。


あと、幕間を二話ほど挟ませていただきます。


私の作品を読んでいただき、誠にありがとうございます。


もしよろしければ、星、ブックマーク、感想等いただけましたらモチベーションがとても上がります。


これからも、何卒よろしくお願い申し上げます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アミーリアちゃんがこちらの世界の文明の利器にびっくりしているのが、異世界転移あるあるで面白いです。 たまにご令嬢らしからぬ言葉遣いになっているのも、親しみを感じられて好きです。 ネットに嵌…
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