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はちじゅうはち
帽子を被ってベンチに座っていると、突然の通り雨に強く打たれた
あんなに晴れていた空が、嘘のように表情を変えた
楽しんでいるようにも見えたが、僕に悲しみは無かった
何年も前の携帯だが、防水機能があったかは覚えていない
そんなことを考える余裕は残っていた
不思議なもので、僕は一歩もベンチから動かなかった
体のどこがとは言えないが、細胞の一つ一つの重みを感じていた
雑草に乗った雨粒がガラスのように輝いて綺麗だった
ずっと視界に入っていたが、僕はその存在を意識していなかった
その隣には、黒く干上がったミミズの死体があった
コンクリートのミミズも息を吹き返さないかな
戯言を吐く僕の口元はわずかに笑っていた




