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はちじゅういち
心臓の鼓動さえ忘れる僕でも
ふと、槍に貫かれるような痛みに蝕まれる
心理的な疼痛であることは分かっている
それでも脳は、それを現実のように錯覚する
わびしさ、むなしさの苦みを忌避していた僕には
それが過ぎ去るのを待つことしかできなかった
だが、いつしかビールが美味しくなっていったように
この感覚も粋なものではないか、と転じる瞬間があった
曲名もわからないクラシックを流しながら
ソファに深く座り込んだ僕の体はその胸の痛みを
酒のつまみのように、酒を引き立てていることに気付いた




