73/100
ななじゅうさん
僕は夏でも長袖を着る
寒がりなやつだと同僚に笑われる
彼らは鍛えた腕をこれ見よがしに主張する
努力の成果だと思うし、否定するつもりもない
だが、僕の腕にも歴史が詰まっている
子どもの自分には抱えきれない苦悩の日々を
刑務所の壁を削って時間の経過を感じるように
腕に線を重ねて耐え忍んだ
それは家を出るまでのカウントであり
苦痛の吐き捨てにもなっていた
家の柱に身長を記録していくように
僕の腕には過去が刻まれていた
隠しているつもりはない
ただ思い出したい時にだけ見えるように
普段は心の端にしまっておきたいのだ




