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ななじゅう
金髪で華奢な女性が廊下を歩いている
・・・
時間が止まったかのように突然彼女は立ち止まる
向きを変えて汚れた壁を見つめる
表情から何の感情も読み取れない
美肌というにはやや青白い顔色
彼女はゆっくり首を右に傾けて
静かに口角を上げて微笑んだ
そうして彼女はまた何食わぬ顔で廊下を歩き始める
赤いヒールが印象的であった
・・・
僕は監視カメラでその奇妙な仕草を観察していた
映像を拡大しても壁には何もないように見える
彼女は何を見ていたんだろう
・・・
他の角度からの映像に切り替えて気付いた
この壁は僕の正面の壁だ
薄い壁からはヒールの音は聞こえない




