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ごじゅうきゅう
彼女の言葉が年を重ねても色褪せずに心を犯す
稚拙な人生の中で紡がれた僅かな尊厳すら砕かれた
指針をなくした頭は意識を閉じようと睡眠を欲し続ける
現実逃避に従って安易に夢へ誘いたいのだ
脳すら自分を諦めるのかと我ながら残念に思う
たらい回しにされて窮屈な夢に押し込まれる
そこは悪夢で無数の矢に射抜かれて血を吐いては唸り続ける
ああ、居場所はどこにあるのだろう
心臓は虚しくも懸命に拍動を繰り返す
ただただ道を歩く
落ちている剣を身体に突き刺して
ひたすら足を前へ前へ
ひとえにそこにあること、在ることを目標に置いて次へ次へ
まずはこの健気な心臓に報いたい