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よんじゅうよん
無数の向日葵に囲まれた彼女が振り返って笑う
麦わら帽子が飛ばないように右手で押さえながら
彼女が僕の名前を呼びながら何度も手招く
しばらく立ったままで彼女の無邪気な様子を目で追った
僕は首に巻いてきた冷えたタオルで全身の汗を拭きとる
右だけ深いえくぼ、澄んだ声、照れる仕草
娘は亡くなった妻と瓜二つであった
脳内でどっと汚い物質が分泌されるのが分かった
僕は純粋な妻がいることで自分が邪悪に見えた
亡くなって、悲しみと一緒にやってきたのは安堵であった
輝くほど影は深く伸びていく
妻よりも細くて白い彼女の首筋をじっと見つめる




