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さんじゅう
電線の雀が僕に気付いて飛び立った
世話しなく羽をバタつかせて、雫のように翼を閉じて、
高度が下がりそうになるとまた羽ばたいて、
それを繰り返しながら小さい点になって消えていった
水色の空には薄い線のような雲しかなかった
田舎独特の匂いを嗅ぎながら小道を闊歩する
疲労を蓄積した眼や脳に休み時間を与えたい
思えば僕は暇を嫌う節がある
エレベータの待ち時間、信号の停止時間
数十秒すら待てなくなった頭は何を期待しているのだろう
そして、恐ろしいことにこれらは無意識の中で行われている
何か見えないものに自身が操作されているようで、がっくりくる
傀儡より案山子だなとか思いながら、
今は見たものを感じ、見てるものすら頭に入れないようにして
雲のように漂うように散歩を楽しむ




