前へ目次 次へ PR 10/100 じゅう 数多の雫に如何ほどの悲愴が込められているのか ある時は豪雨となって、ある時は水蒸気となって 水は形態を何度も繰り返し変えながら旅をする 味気のない透明な球体に目を凝らしてみれば 表面の微かな傷も見えてくるはずだ そうして隙間から入り込んだ日光は 球体内部で何度も散乱しては虹を描くのだ 一滴一滴に思慮はあるにも関わらず 我々の目には留まらない、慮る余裕がない 人間も群衆となり国民となれば 誰も一つ一つの灯を掬うことはできないだろう