1/26
三連詩
【無題1】
桜の海が沈んで言葉の線に触れ
息継ぎする魚の群れに落ちる
かじかむ指先と空の岩場
発火する心には導火線がない
右脳を抱きしめてパンジー
サメの弓に横たわる養老の砦
【無題2】
周波数の塗装に洗剤のメトロノーム
有塩なカタストロフィに瞑る目蓋
猫にカチューシャ
マイノリティなふくらはぎ
飾るは木苺のソプラノ
低音シャギー
【無題3】
消炎が狼煙の灰白月夜に嗤う
木曜のウサギは黒い毛皮で参上
然るべき安穏とした夕餉に立席
作用は赤黒の余命
ぱちぱち鳴る徘徊の手のひら
忘却が破れたアサツキに最奥